ヘッドレスギターについて|「楽さ」は正義。メリット・弱点・おすすめブランド

個人的にヘッドレスギターが大好きで、レッスンでもジャズの現場でもよく使っています。そのせいか生徒さんからの質問も多いので、よくある質問への解答+愛用者目線のおすすめメーカーをまとめました。結論から言うと――いまのヘッドレスに、これといった弱点はほぼありません。「楽さ」は正義です。

30秒の結論

  • 最大の魅力は楽なこと=左右バランスが良くヘッド落ちせず、軽く、取り回しがいい。長時間弾く人・狭い現場・小柄な人に特に向きます。
  • 音は倍音が少し減ってすっきりした印象(長所でもあり弱点でもある)。
  • 弦はいまは普通の弦でOK(専用ダブルボールエンドの時代は終わりました)。
  • 値段は10万円超が大半。安く試すなら Spirit by Steinberger、本格派は Kiesel・Moffa・ストランドバーグ
  • 注意点はひとつだけ=持ち替え直後はポジションが取れません(すぐ慣れます)。
目次

ヘッドレスギターとは(起源はスタインバーガー)

ヘッドレスギターは、その名のとおりヘッド部分がない特殊なデザインの楽器です。起源は1980年代初頭、Steinberger(スタインバーガー)が最初にヘッドレスデザインを発表し、これが後のトレンドを作りました。当時のSteinberger製は現在100万円近い高値で取引される貴重なギターになっています。

Steinbergerのライセンスはその後いろいろなメーカーを渡り歩き、現在は「Spirit」ブランドから手頃な価格で販売されています。そして近年、Kieselやストランドバーグなどによってヘッドレスの仕組みは大きく洗練され、かつての弱点はほぼ解消されました。私自身の遍歴も、スタインバーガー→KieselMoffaのヘッドレスと進んで、今に至ります。

ヘッドレスギターのメリット

とにかく「楽」(一番の理由)

私がヘッドレスを使い続ける一番の理由は楽だからです。ヘッドがない分、左右のバランスがめちゃめちゃ良く、構えたときのヘッド落ちが基本ありません。重量も軽くなり、体への負担が少ない。弾きやすさにこだわって設計されたモデルがほとんどなので、長時間弾く人には最高のギターです。

そして取り回しの良さ。ジャズの現場は狭いステージが多いので、小ささはそのまま武器になります。自宅のレコーディング作業でも、小さいほうが何かと快適です。

チューニングが速くて安定する

ヘッドがないので従来のペグはなく、ボディ側のチューナーで合わせます。慣れると通常のペグよりチューニングが安定し、素早く合わせられて使いやすいです。小技をひとつ:Steinbergerのブリッジはつまみが少し硬いので、テフロンワッシャーを入れるとスムーズに回るようになります。

ヘッドレスギターのボディ側チューナー部分

弦は「普通の弦」が使えます

昔は専用のダブルボールエンド弦しか使えませんでしたが、今はアタッチメントも売られていて、そもそも現在販売されているほとんどのヘッドレスはアタッチメントなしで通常の弦が使えます。弦交換も慣れれば普通のギターより速い(私はヘッドレス5分・通常10分くらい)。弦選びは弦のガイドのとおりで大丈夫です。

音と弱点の話(正直に)

音は、ヘッドがない構造ゆえに倍音が少し減って、すっきりした印象になります。これは長所でもあり弱点でもある――輪郭がはっきりして扱いやすい一方、通常ギターの豊かな倍音感が欲しい人には物足りないかもしれません。このあたりは好みです(MoffaのHeraのように「ヘッドレスのソリッドっぽくなる感じ」を構造で解消しようとするモデルも出てきています)。

実用上の注意はひとつだけ。普通のギターから持ち替えた直後は、ポジションが取れません。ヘッドという視覚的な目印がなくなるので、最初は1フレットずれたりします。これは数日で慣れる類のものなので、試奏で「あれ?」となっても心配いりません。

扱い方(スタンド・ケース)

  • スタンド:通常の置き型スタンドは問題なく使えます。ただしHERCULESなどヘッドを引っ掛ける吊り下げ式・壁掛け式は使えません。モデルによってはスタンドなしで壁に立てかけても結構安定します(スタンド推奨ではありますが)。
  • ケース:ヘッドレス用の社外ケースは一般にはほぼありません。小ぶりな楽器なので純正ケースを使うのが正解。しっかりした純正が付属することが多いです。

値段とおすすめメーカー(愛用者目線)

価格帯は10万円超のモデルが大半で、その分いいギターが多い印象です。以前「メーカー紹介は別記事で」と書いていた宿題を、ここでまとめて回収します。

  • Spirit by Steinberger――値段を抑えてヘッドレスを試したい人の入口。まずこれで「楽さ」を体験するのはアリです。
  • Kiesel――「ちゃんとしたヘッドレス」が欲しい人への私のイチオシ。仕組みが洗練されていて弱点がほぼなく、木材まで細かくオーダーできます。私はスタインバーガーからの乗り換えで、試奏せずに買って後悔しませんでした。
  • Moffa――ヘッドレス対応のArmonia、貴重なセミアコヘッドレスのHeraがあります。私もヘッドレスのセミソリッドを所有。繊細で美しい、ルシアーものの世界です。
  • Soulezza――数少ない「箱系ヘッドレス」の工房。ちっちゃいフルアコのような音で、ヘッドレスで箱物を探している人にぴったり。
  • ストランドバーグ(.strandberg*)――独特の台形ネックは、慣れてしまえばめちゃくちゃ弾きやすいです。生徒さんが使っているモデルもすごく良くて、私も1本買おうかなと思っているくらい。試奏だけでも「ヘッドレスってこんなんなんだ」が分かるのでおすすめです。

よくある質問(FAQ)

Q. ヘッドレスギターのメリットは?

A. 楽なことです。左右バランスが良くヘッド落ちせず、軽く、取り回しがいい。チューニングも速く安定します。長時間の練習、狭いステージ、小柄な人・女性に特に向いています。

Q. デメリット・弱点は?

A. これといった弱点はほぼなくなりました。強いて言えば倍音が少し減ってすっきりした音になること(好みが分かれる点)と、持ち替え直後はポジションが取りにくいこと(すぐ慣れます)。吊り下げ式スタンドが使えない点も覚えておきましょう。

Q. 弦は専用のものが必要?

A. 今は普通の弦が使えます。専用のダブルボールエンドが必要だったのは昔のSteinbergerの話で、現行のほとんどのヘッドレスはアタッチメントすら不要です。

Q. ジャズでヘッドレスは使える?

A. 使えます。私自身がジャズの現場で愛用しています。狭い店での取り回しの良さはむしろ武器ですし、箱系の音が欲しければ Soulezza や Moffa の Hera のようなホロウ系ヘッドレスという選択肢もあります。

Q. 最初の1本にはどれがいい?

A. 安く試すなら Spirit by Steinberger。しっかりした1本なら Kiesel(オーダーで好みに作れます)かストランドバーグ。箱系の音が欲しいなら Soulezza を探してみてください。

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