アメリカの Kiesel(キーセル)にオーダーした、ヘッドレス×セミアコ構造のギターのレビューと、日本からのオーダー方法・納期・木材選びの実録です。私はこれまでKieselに2回オーダーし、1本目(Zeus)は今も現役。結論=「ちゃんとしたヘッドレスが欲しい人」への私のイチオシです。
30秒の結論
- 一言でいうと「万能選手」。とにかく弾くのが楽なギターで、6年経った今も現役です。
- 木材・フレット・指板アール・コントロールまで細部をオーダー可能。しかも納期は早ければ3〜4ヶ月(ルシアー系では異例の速さ)。
- メタル系御用達ブランドですが、コイルタップ+チャンバー構造でジャズにも十分使える音が出ます。
- オーダーは英語メールでOK。先払い(デポジット)→完成時に残額の流れで、梱包も厳重でした。
Kiesel とは/なぜジャズ弾きの私が選んだか
Kieselはアメリカのギターメーカーで、モデルの「型」に対して木材やパーツを細部まで指定してオーダーできるのが最大の特徴です。どちらかというとテクニカル系・メタル系ギタリスト御用達のブランドなので、届いて音を出すまでは正直不安でした。が――想像以上にジャズにも使える音色で、いい意味で裏切られました。
私が探していたのは「ヘッドレスで、セミアコ構造になっているギター」。スタインバーガーで「ヘッドレスの楽さ」に目覚め、そのいいものが欲しくなった流れです(ヘッドレスについての記事参照)。この条件にドンピシャだったのがKieselでした。ちなみに私は試奏せずにオーダーしましたが、音と弾き心地の想像がついていたので、まったく後悔していません。
選んだモデル:Zeus(ゼウス)=ヘッドレス×チャンバー構造
たくさんあるモデルの中から選んだのは Zeus(ゼウス)。ヘッドレスで、チャンバー(セミアコ的な空洞)構造が選択できるモデルです。ボディの形は少しテレキャスターにも似ています。
届くまで分からなかったのがピックアップセレクターの仕様(公式にも他のブログにも情報がありませんでした)。Zeusは2ハム+5点スイッチで、標準ではフロントハム/フロントシングル/フロント+リアのシングルミックス/リアシングル/リアハムというコントロール。馴染みのない並びでしたが、実際使うとコイルタップの音色が使いやすく、これが大正解でした。シングルのミックスポジションでは箱鳴り感が強調されて、四つ切りなどオーソドックスなジャズのプレイに最適です。
弾き心地:弦高1mm以下が成立する精度
めちゃくちゃ弾きやすいです。要因はジャンボフレット・弱めの指板R・作りの精度。精度が高いので1mm以下の弦高セッティングが可能で、テクニカル系御用達なのも納得です。音色は基本太めで、セッティングが少しシビア(急に線が細く感じる瞬間がある)な面はありますが、そこは付き合い方次第です。
オーダーした木材仕様(参考にどうぞ)
Kieselは4A以上のグレードの木材を標準で使っていて、しかも独自ランクが厳しめ(他メーカーの5A・6A相当でも、いい木目しか使わない印象)。私の仕様は以下です。
- ボディ材=ブラック・リンバ(別名コリーナ)――ハイエンドによく使われる、マホガニーに近い特性の材。エキゾチックウッドらしい魅力的な木目です(色違いの「ホワイトリンバ」もあり・音響特性は同じ)。
- トップ材=スポルテッドメイプル――見た目だけで選びました。バクテリアに侵された「病気の木」が独特の美しい模様になったもので、音響特性は普通のメイプルと変わらないそうです。
- ネック材=ローストメイプル――Kieselのネックはカーボン棒が2本入った強い構造なので、ネック向きでない材も選べますが、定番のメイプルに。当時ロースト加工が無料サービス期間で、おまけ付きでした。
- 指板材=ゼブラウッド――ここもほぼ見た目で選択。指板には珍しい材ですが面白い木目です。感触はメイプル指板に近いと思います。
- フレット=ステンレス・24フレット+指板のアール・指板の薄さも指定。アームの有無・コントロール・カラー(私はナチュラル)もここで決めます。
なおピックアップはオリジナルから選びましたが、その後 Bare Knuckle(PAF系)にフロント・リアとも交換しています。Bare Knuckleには550kΩの特注ボリュームポットがあり、これとセットで使うと相性抜群でした。生々しくダイナミクスをしっかり拾う、すごくいいPUです。
日本からのオーダーの流れ・納期・支払い(実録)
以前「オーダーの流れは別記事で」と書いたまま宿題になっていたので、ここでまとめます。
- ① メールで仕様を相談――英語でOK。モデルの型を決め、木材・パーツを詰めていきます。オーダー内容の質問にも、直接聞けばすぐ答えてくれます。
- ② 先払い(デポジット)――最初に半額か2,000ドルを支払いました(どちらだったか記憶が曖昧です。オーダー時に要確認)。
- ③ 製作〜完成連絡――私のときは完成まで約10週+輸送約1週。繁忙期でなければ3〜4ヶ月で手元に届くイメージです(仕様・時期で前後します)。
- ④ 残額支払い→発送――専用ケース入りで梱包はかなり厳重。トラブルなく届きました。
海外オーダーの心得(Kieselの場合)
メールの返信は日本の感覚より遅く、「次の日に返ってきたら早い方」のスケジュール感です。急かさず気長に。それでも納期3〜4ヶ月は、5年待ちのルシアーもある世界では驚異的な速さです。「オーダーメイドを試してみたいけど何年も待てない」人に、Kieselはちょうどいい選択肢だと思います。
6年使った評価(2026年追記)
実はその後Kieselにはもう1回オーダーしていて、計2本作りました。今残しているのはこの1本目だけですが、それは2本目が悪かったからではなく、入れ替えの結果。1本目のZeusは今も全然現役で、教室でもよく弾いています。
6年使っての評価を一言でいうと「万能選手」。とりあえず弾くのが楽で、コイルタップでジャズもいけて、木材選びの楽しさまで付いてくる。ちゃんとしたヘッドレスが欲しい人には自信を持っておすすめできます。
よくある質問(FAQ)
Q. Kieselは日本からオーダーできる?
A. できます。英語のメールで仕様を相談し、デポジット(私のときは半額か2,000ドル)→完成時に残額、という流れです。返信は翌日ペースの「アメリカ時間」なので気長に。梱包は厳重で、輸送トラブルもありませんでした。
Q. 納期はどれくらい?
A. 私の実績で完成まで約10週+輸送約1週。繁忙期や仕様で前後しますが、早ければ3〜4ヶ月で届きます。オーダーメイドとしては異例の速さです。
Q. メタル系のイメージだけど、ジャズに使える?
A. 使えます。コイルタップ(シングルのミックスポジション)で箱鳴り感が強調され、四つ切りなどオーソドックスなジャズにも合います。チャンバー構造を選べばさらに箱寄りに。私は実際にジャズの現場・レッスンで使っています。
Q. 試奏できないのが不安。大丈夫?
A. 私は試奏せずにオーダーして後悔しませんでしたが、これは音と弾き心地の想像がついていたから。基本はできる限り情報を集めてからが鉄則です。精度の高い作り・ジャンボフレット・弱めの指板Rという「現代的で弾きやすい方向」のギターだと理解しておけば、大きく外すことはないはずです。
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このKiesel、教室で弾けます
記事のZeus(Bare Knuckle換装済み)は大阪・西区(南堀江・桜川)の教室にあります。ヘッドレスの楽さ、コイルタップのジャズトーン、気になる方はレッスンで実際に確かめてください。海外オーダーの相談も経験ベースでお手伝いできます。