このページの目的は一つ、コードトーンを徹底的に覚えることです。度数でどう変化するか、なぜ1357を並べ替えて弾くのか——その理屈はコードトーンのマスターに書きました。ここに並べるのは毎日何を弾くかだけ。段階は3つ、メインは③です。
- 段階① 形を覚える:2オクターブのアルペジオを2パターン(低いポジションと高いポジション)
- 段階② 曲に当てる:ブルースの12小節を、1357の上昇で通す
- 段階③ リズムを固定して転回する(メイン):枯葉の8小節で、リズムを1つに決めて、1357→7531→3571…と並べ替えていく
正直に書いておきます。生徒さんには最初は好評ですが、練習量が多く、絶望ポイントです。── 大倉(講師歴20年)
だから引き算します(やらないこと):
✕ 並べ替えを一度に覚えない——まず1357の上昇と7531の下降の2つだけ。
✕ 最初からテンポに合わせない——最初はテンポなしで可。インテンポは先の目標です。
✕ 形をたくさん覚えない——他の形もたくさんありますが、一旦2パターンのみに絞ります。
2回目からは「🎸 今日の練習」へ直行でOK。
なぜ段階③がメインなのか(30秒だけ理屈)
コードトーンは、覚えるのにいちばん時間がかかります。5種類の度数がどう変化するのか、1357をなぜ並べ替えて弾くのか——その理屈はコードトーンのマスターにまとめました。このページはその続きで、覚えるための練習メニューです。
3つの段階のうち、メインは③。リズムを1つに固定して、並べ替えた形を実際のコード進行で弾くところです。①の形と②のブルースは、そこへ行くための道筋として置いています。
量が多いことは、先に書いたとおりです。だからこそ順番があります。まず1357の上昇と7531の下降だけを、テンポなしで。並べ替えを全部やるのは、そのあとです。
手順:3ステップ(この順番で)
【1】段階① メジャー7の形を1つ覚えて、そこから下げる
最初にやるのは、2オクターブのアルペジオを2パターン覚えること。低いポジションと高いポジションの2つです。難易度が高く感じたら1オクターブから始めます。他の形もたくさんありますが、一旦2パターンのみに絞ります。
覚えるのはメジャー7の形だけです。まずはこれだけを覚えて他のコードに応用していく——その際、運指はなるべく変えない。ここがこの段階の要です。
7th=メジャーから7度の音をフラットさせる
マイナー7=メジャーから3・7度をフラットさせる
マイナー7♭5=メジャーから3・5・7をフラットさせる
dim7=メジャーから3・5・7をフラットさせ、更に7をもう半音フラットさせる
実際、押さえる弦の順番と、どの弦で何音弾くかは、メジャー7の形とほとんど変わりません。動くのは、下げた度数の音だけ。覚えるのは1つの形で、あとはどこを下げるかだけです。
図は横型で、上が1弦・下が6弦。赤=ルート、紺=それ以外。度数は △3=長3度、△7=長7度、p5=完全5度、△6=長6度。Cで押さえた例で、低いポジションは5弦3フレットがルート、高いポジションは6弦8フレットがルートです。
■ メジャー7の形(基準)
ここだけを覚えて、あとは下げるだけ。低いポジションは5弦3フレット、高いポジションは6弦8フレットがルート。どちらもルートより下の音から始まって、1・3・5・7の循環で上へ、2オクターブ以上にわたって並びます(低いポジションは5度から、高いポジションは7度から)。低いポジションの白抜きの△3(5弦7フレット)は、4弦2フレットの△3と同じ音。4弦にある3度は、こうして5弦で弾いても構いません。
■ 7thの形=7度を半音下げる
メジャー7と違うのは7度だけ。低いポジションなら5弦2フレット→1フレット、3弦4フレット→3フレット、1弦7フレット→6フレット。ほかの音は動きません。
■ マイナー7の形=3度と7度を下げる
7thの形から、さらに3度を半音下げた形。低いポジションなら4弦2フレット→1フレット、2弦5フレット→4フレット。
■ マイナー7♭5の形=3・5・7を下げる
マイナー7から、さらに5度を半音下げます。低いポジションでは6弦・4弦・1弦の5度が、高いポジションでは5弦・2弦の5度が♭5に変わります。
■ dim7の形=3・5・7を下げて、7度をもう半音
♭♭7は、押さえる場所としては長6度と同じなので、図では△6と書いています。低いポジションでは5弦の開放を使い、高いポジションでは4弦・2弦が△6になります。
【2】段階② ブルースに当てる——まずは上昇だけで
形が入ったら、実際の曲に適応して練習していきます。ここでも難易度が高く感じる場合は1オクターブに限定して練習し、慣れたら2オクターブ弾いていきましょう。
1曲目はFのブルース12小節。上昇のみで、各小節のコードの1・3・5・7を2オクターブ上がります。
譜例A(Fのブルース・上昇のみ):8分音符8つで、そのコードの1357を2オクターブ上昇。拍の下のラベルは度数で、2オクターブ目は「オクターブ上」とだけ書いています。6小節目はBdim7。10小節目のC7は5弦3フレットから、12小節目のC7は6弦8フレットから——同じコードでも別の場所で弾いています。
2曲目はB♭のブルース。こちらは上昇と下降が混ざります。同じ1357でも、下りは1753、途中には3175の下降も出てきます。
譜例B(B♭のブルース・上昇と下降):4小節目は1753で下降、9・11小節目は3175で下降。ほかの9小節は1357の上昇。6小節目はEdim7。
【3】段階③ リズムを固定して、順に転回していく(ここがメイン)
ここがこのページの中心です。決まりは2つだけ。コード進行に合わせて練習することと、リズムパターンは固定すること。
リズムは、たとえば次の3つ。どれか1つに決めて、その日はそれで通します。
リズム例1:1拍目から8分音符4つ(1・1裏・2・2裏)で4音を弾いて、3・4拍目は休み。まずはこれで。
リズム例2:1拍目の裏から入って、2拍目の裏、3拍目、3拍目の裏。1拍目の頭と2拍目の頭は休みです。
リズム例3:1拍目を付点4分音符で伸ばしてから、2拍目の裏・3拍目・3拍目の裏に8分音符。4拍目は休み。
並べ替え(転回)は、上昇系が5つ・下降系が4つ。まずは1357の上昇と7531の下降から始めて、順に転回していきます。
上昇系(↑)
13573571571371353517
下降系(↓)
7531531731751753
紺で塗った2つ(1357の上昇・7531の下降)が入口。3517は最後が7度で終わるので、次のコードの3度へ半音でつながります——コードトーンのマスターでデジタルパターンと呼んでいる並びと同じです。
譜例は枯葉の最初の8小節(Cm7・F7・B♭M7・E♭M7/Am7♭5・D7・Gm7・G7)。同じ8小節を、並べ替えだけ変えて弾きます。
譜例C(枯葉の8小節・1357の上昇):8分音符4つ+4分休符2つ。各小節、そのコードの1・3・5・7を順に上がります。
譜例D(同じ8小節・7531の下降):7度から始めて、5・3・1と下りていきます。譜例Cと音は同じで、並べる順番だけが逆向きです。
譜例E(同じ8小節・3571):3度から始めて、5・7・1と上がります。1音目がルートではなくなります。
リズムを変えるとどうなるか、1つだけ見ておきます。
譜例C′(譜例Cと同じ音で、リズムだけ変えた例):音の並びは譜例Cとまったく同じで、リズムをリズム例2に置き換えたもの。リズムを決めてしまえば、あとは音の並びだけに集中できる——固定する理由はここにあります。
曲は枯葉だけではありません。練習のポイント(下)の1つ目が「スタンダードのコード進行を使用」——枯葉と同じことを、It Could Happen to You の進行でも練習します。まずは最初の8小節を、1357の上昇で。
譜例F(It Could Happen to You の最初の8小節・1357の上昇):枯葉と同じやり方を、別の曲の進行で。8分音符4つ+2分休符。前半4小節はE♭M7→Edim7→Fm7→F♯dim7と、ディミニッシュを挟んでルートが半音ずつ上がるので、ポジションは1フレットずつ上がるだけですが、小節ごとに形が変わります。ここでも決めたリズムは変えません。
・スタンダードのコード進行を使用
・インテンポで即座に出てくるようにする
・決まったパターン、リズムを使用
・毎日コツコツ練習する
・音域はなるべく色々試してみる
このうち「インテンポで即座に出てくるようにする」は到達目標です。入口はテンポなしで可。ゆっくり考えながら弾けたら、まず一つ合格。テンポを付けるのはその次で、速さは自由、間違えないことを優先します。
「音域はなるべく色々試してみる」も忘れずに。同じコードでも、低いポジションで弾く日と高いポジションで弾く日をつくると、段階①で覚えた2つの形が両方とも使われます。
大倉の断言:目的は、コードトーンを徹底的に覚えること
この練習メニューは、コードトーンを徹底的に覚えるためのものです。メインは、リズムを固定して、展開形を実際のコード進行で練習すること。最初はテンポなしで構いません。あとは毎日コツコツ練習する——それだけです。
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
🎸 今日の練習(これ1つだけ)
枯葉の最初の8小節を、1357の上昇で、リズムを1つに決めて通す(譜例C)。リズムは例1でも例2でも構いません。決めたら、8小節の最後まで変えないこと。
できたら明日は同じ8小節を7531の下降で(譜例D)。そのあと3571(譜例E)、そして音域を変えて。このページをブックマークして、明日もここから始めましょう。
✅ これができたら次(アプローチノート)へ——並行で進んでOK
全部できてから次へ、ではありません。コードトーンは覚えるのに時間がかかるので、アプローチノートと並行して進めます。
☐ そこから運指をなるべく変えずに、7th・マイナー7・マイナー7♭5・dim7の形に変えられる
☐ Fのブルース12小節を、1357の上昇で通せる(1オクターブでも可)
☐ 枯葉の8小節を、リズムを固定したまま1357の上昇で弾ける(テンポなしで可)
☐ 同じ8小節を、7531の下降でも弾ける
☐ 決めたパターンが、インテンポで即座に出てくる
この先にあるもの:ここは「徹底的に覚える」段階です。この先にコードトーンの接続(一つのコードが終わったら、次のコードの一番近い音へ繋ぐ)があり、そこにアプローチノートを追加したりもします。
▶ 接続=コードトーンのマスター【4】ランダム接続 / ▶ アプローチノート入門
冒頭に「絶望ポイント」と書いたのは、ここで手が止まる人がいるからです。量を減らすのか、並べ替えの順番を変えるのか、その日の弾き方を聴かないと決められません。決めた中身はカルテに残します。
よくある質問(FAQ)
Q. 1オクターブで練習してもいいですか?
A. 大丈夫です。難易度が高く感じる場合は1オクターブに限定して練習し、慣れたら2オクターブ弾いていきましょう。形も同じで、他の形もたくさんありますが、まずは低いポジションと高いポジションの2パターンだけに絞ります。
Q. リズムは自分で変えてもいいですか?
A. その日の中では変えないでください。決まったパターン、リズムを使用する——これがこの練習の条件です。リズムを1つに決めてしまうと、意識が音の並びだけに向きます。別のリズムを試すのは、1つのリズムで最後まで通せるようになってからにしてください。
Q. 全部のキーでやりますか?
A. キーを機械的に一周するのではなく、スタンダードのコード進行を使用します。曲を選べば、その中でいろいろなコードが出てきます。もう一つのポイントが「音域はなるべく色々試してみる」こと。同じコードでも、低い場所と高い場所の両方で弾いてみてください。
Q. テンポはどのくらいで練習しますか?
A. 最初はテンポなしで可です。ゆっくり考えながら弾けたら、まず一つ合格。そのうえで、練習のポイントには「インテンポで即座に出てくるようにする」があります。これは到達目標で、テンポを付けるときの速さは自由、間違えないことを優先します。
Q. どこまでできたら次へ進みますか?
A. 全部できてからではありません。コードトーンは覚えるのに時間がかかるので、アプローチノートと並行して進めます。この練習の先にあるのがコードトーンの接続(一つのコードが終わったら、次のコードの一番近い音へ)で、そこにアプローチノートを追加していきます。
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