コンピング入門|チャールストンと1裏3頭の2パターンで、ブルースを1曲通す

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コンピングのゴールは、パターンをたくさん覚えることではありません。2つのリズム型(チャールストンと1裏3頭)を崩さずに、ブルースを1曲通せること。ここが出発点です。前提が2つ、やることは4つ。

前提=4和音の基本フォーム+root37(フォームは知っているもので構いません)と、クリックを2・4に置く練習。四つ切りは先にやっておくのがおすすめです。そのうえで:

  1. パターンの作り方=1拍目と3拍目の2分音符を、ずらす・休符にする
  2. 最初の2つ=チャールストン(1拍目+2拍目の裏)と、1裏3頭(1拍目の裏+3拍目の頭)
  3. Fのブルースを、カラオケ音源で1曲通す=譜例A・B(合格の目安=1曲通せたら)
  4. ボイシングの原則=ルートは控えめに、3度と7度を入れる。テンションはコードトーンへ解決

やらないこと(引き算):

パターン集を最初から順番に全部やらない——パターン数はそんなに要らない。増やしすぎると完全なランダムになる。
低いルート(5弦・6弦)を強調しない——ベーシストとアンサンブルの邪魔になる。
テンションを入れすぎない——ソリストのスケール選択の可能性を狭める。空間を開ける

なぜ「パターンを増やす」より「2つで1曲」なのか(30秒だけ理屈)

コンピングは、元々ピアノの伴奏をギターで真似たものです。ピアノの真似をするような形で、よく音源を聞いて、リズムのタイミングを合わせます。

コンピングには決まったリズムのパターンがなくて、リズムパターンそのものがアドリブだと思ってください——この話は、最後にもう一度出てきます。ただ、決まったパターンがないと言っても、一定の法則性はあります。

大倉の断言:コンピングのパターンもそんなにパターン数って多分いらないと思う、書いてあるほどは。大事なんはそこじゃなくて、まず基本形がしっかりできること。── 大倉(講師歴20年)

手順:4ステップ+編成別(この順番で)

⚠ やりがちな無駄練習:「リズムパターン集を、最初から順番に全部やる」。ジェリー・バーガンジの第4巻『Melodic Rhythms』には、リズムパターンが全部書いてあります。ソロにも応用できるものですが、全部順番にやるのは無理で、多すぎます。法則性を覚えておいて、気に入ったものだけやっていけばいい。

【1】パターンの作り方——1拍目と3拍目の2分音符を、ずらす・休符にする

まず1拍目と3拍目に2分音符を置く。それが基本です。その2分音符をシンコペーションさせたり、休符を入れたりして、リズムパターンを作っていきます。別の言い方をすると、基本的には「1拍目と3拍目の裏の8分音符」——ここだけ知っておいて、それを前後にずらすだけ。パターンは、書いていけば総当たりで作れます。コピーするのも早いですが、機械的に作っていっても構いません。

最初に渡すのは2つ。チャールストン(1拍目と、2拍目の裏)と、1裏3頭(ウカッカー)(1拍目の裏と、3拍目の頭)です。

チャールストン=1拍目+2拍目の裏 1 2 3 4 1拍目 2拍目の裏

図1(チャールストン):1小節を8分音符8つに分けた図。1拍目に4分音符、2拍目の裏に8分音符。あとは休み。

1裏3頭(ウカッカー)=1拍目の裏+3拍目の頭 1 2 3 4 1拍目の裏 3拍目の頭

図2(1裏3頭=ウカッカー):1拍目の裏に8分音符、3拍目の頭に2分音符(3・4拍目を伸ばす)。1拍目の頭と2拍目は休み。

【2】フォーム——root37で始めて、レッスンの5つのフォームへ

この段階で使うフォームは、root37・ドロップ2・テンションなど、知っているフォームで構いません。このページの譜例は、4和音の基本フォーム+root37 のroot37(ルート・3度・7度の3音)で作っています。5弦ルート(5弦R・4弦3度・3弦♭7)と6弦ルート(6弦R・4弦♭7・3弦3度)の2つの形だけです。root37にはルートが入っていますが、ベーシストがいる場合でも、絶対に弾いたらダメということはありません(詳しくは【4】)。

一方、レッスンのFのブルースで実際に使っているフォームは、次の5つです。特にF7の形は重要。譜例A・Bが通ったら、コードをこの5つに置き換えて、同じ12小節を弾きます。図は横型(上が1弦・下が6弦)、ルート=赤3度・7度=金、5度=紺、テンション・オルタード(9・13・♯9・♭5)=緑。1弦・6弦は弾きません。

F7(13thの形) ★ 特に重要

1 2 3 4 5 6 × × 6fr 7fr 8fr 9fr 10fr ♭7 3 13 R

5弦6fr=♭7/4弦7fr=3/3弦7fr=13/2弦6fr=R

B♭7(9thの形)

1 2 3 4 5 6 × × 5fr 6fr 7fr 8fr 9fr 3 ♭7 9 5

5弦5fr=3/4弦6fr=♭7/3弦5fr=9/2弦6fr=5

D7(♯9・♭5の形)

1 2 3 4 5 6 × × 9fr 10fr 11fr 12fr 13fr 3 ♭7 ♯9 ♭5

5弦9fr=3/4弦10fr=♭7/3弦10fr=♯9/2弦9fr=♭5

G7(13thの形)

1 2 3 4 5 6 × × 8fr 9fr 10fr 11fr 12fr ♭7 3 13 R

5弦8fr=♭7/4弦9fr=3/3弦9fr=13/2弦8fr=R

C7(♯9・♭5の形)

1 2 3 4 5 6 × × 7fr 8fr 9fr 10fr 11fr 3 ♭7 ♯9 ♭5

5弦7fr=3/4弦8fr=♭7/3弦8fr=♯9/2弦7fr=♭5

同じ形の平行移動:F7とG7は13thの形(5弦♭7・4弦3度・3弦13度・2弦ルート)、D7とC7は♯9・♭5の形(5弦3度・4弦♭7・3弦♯9・2弦♭5)。B♭7は9thの形(5弦3度・4弦♭7・3弦9度・2弦5度)。どれも3度と7度が入っていて、ルートは、2弦に1つ入っている(F7・G7)か、入っていない(B♭7・D7・C7)かのどちらかです。13thの形と♯9・♭5の形は押さえる形が同じで、F7の形を1フレット上げるとC7の形、G7の形を1フレット上げるとD7の形になります。

【3】Fのブルース12小節を、2パターンで通す(譜例A・B)

練習の型は、カラオケの音源(ジェイミー等)で、ブルース・枯葉などシンプルな曲。合格の目安は「1曲通せたら」です。譜例はFのブルース12小節(F7|B♭7|F7|F7|B♭7|B♭7|F7|D7|G7|C7|F7|C7)。譜例A=チャールストン、譜例B=1裏3頭。

▲ 譜例A=チャールストン

1弦 6弦 1 F7 1拍目 2拍目裏 1 1 2 1 1 2 2 B♭7 1拍目 2拍目裏 1 0 1 1 0 1 1弦 6弦 3 F7 1拍目 2拍目裏 1 1 2 1 1 2 4 F7 1拍目 2拍目裏 1 1 2 1 1 2 1弦 6弦 5 B♭7 1拍目 2拍目裏 1 0 1 1 0 1 6 B♭7 1拍目 2拍目裏 1 0 1 1 0 1 1弦 6弦 7 F7 1拍目 2拍目裏 1 1 2 1 1 2 8 D7 1拍目 2拍目裏 5 4 5 5 4 5 1弦 6弦 9 G7 1拍目 2拍目裏 3 3 4 3 3 4 10 C7 1拍目 2拍目裏 3 2 3 3 2 3 1弦 6弦 11 F7 1拍目 2拍目裏 1 1 2 1 1 2 12 C7 1拍目 2拍目裏 3 2 3 3 2 3

譜例A(Fのブルース・チャールストン):縦に並んだ数字=押さえるコード(root37の3音)。符尾だけ=4分音符、旗つき=8分音符、○つき=2分音符。休符(音を止める)=点つきの斜線が8分、ジグザグが4分、線の上の箱が2分。各小節とも、1拍目に4分音符、2拍目の裏に8分音符。

▼ 譜例B=1裏3頭(ウカッカー)

1弦 6弦 1 F7 1拍目裏 3拍目 1 1 2 1 1 2 2 B♭7 1拍目裏 3拍目 1 0 1 1 0 1 1弦 6弦 3 F7 1拍目裏 3拍目 1 1 2 1 1 2 4 F7 1拍目裏 3拍目 1 1 2 1 1 2 1弦 6弦 5 B♭7 1拍目裏 3拍目 1 0 1 1 0 1 6 B♭7 1拍目裏 3拍目 1 0 1 1 0 1 1弦 6弦 7 F7 1拍目裏 3拍目 1 1 2 1 1 2 8 D7 1拍目裏 3拍目 5 4 5 5 4 5 1弦 6弦 9 G7 1拍目裏 3拍目 3 3 4 3 3 4 10 C7 1拍目裏 3拍目 3 2 3 3 2 3 1弦 6弦 11 F7 1拍目裏 3拍目 1 1 2 1 1 2 12 C7 1拍目裏 3拍目 3 2 3 3 2 3

譜例B(Fのブルース・1裏3頭):縦に並んだ数字=押さえるコード(root37の3音)。符尾だけ=4分音符、旗つき=8分音符、○つき=2分音符。休符(音を止める)=点つきの斜線が8分、ジグザグが4分、線の上の箱が2分。各小節とも、1拍目の裏に8分音符、3拍目の頭に2分音符。コードは譜例Aと同じ。

家で1人で練習するとき:iRealなどの打ち込みではなく、本物の音源(CD)に合わせるのがいい。ピアニストが入っているCDでも、ジェイミーのオケでもいいので、その雰囲気に溶け込むように、ピアニストの真似をしてみます。ジェイミー・エーバーソルドは第1巻の音源。ジェリー・バーガンジの教則本の音源も、個人的によく使います。ピアノレスの演奏の音源(CD・レコード)に混ざってみるのもあり——コンピングがあまり入らないので、その演奏をサポートして、自分がそのバンドに入っている感覚でやると、かなり練習になります。さらにそれを録音して聴き返すと完璧です。

【4】ボイシングの原則——3度と7度を入れ、ルートは控えめに

大体の場合、コンピングする場面ではベーシストがいるので、まずベースの音、ルート音をなるべく弾かない方がいい。具体的には、特に3度・7度の音を入れてください。ベーシストがいる場合でも、絶対に弾いたらダメということはなく、実際に弾く場合もよくあります。ただ、ルートの低い音(5弦・6弦の音)を強調するような弾き方は、必要な時以外は使わない方がいい。

テンションは、必ずコードトーンに解決するように弾く。テンションはかなり難しいアプローチになります。そしてトップノートのボイシングには、かなり気を使ってください。ボイスリーディングが非常に重要になってきます。

邪魔をしない/煽る:ソリストの邪魔をしないコンピングは、テンションを入れすぎないこと、空間を開けてあげること。テンションを入れて弾くと、ソリストのスケール選択の可能性を狭めることになります。上手くハマるとすごくいい演奏になりますが、伴奏でソリストの可能性を狭めるようなことは、なるべくしない方がいい。逆に煽るコンピング(テンションを弾きまくる、コンディミやオルタード派生のトライアドをぶつける、オンコード・代理コード)は、その先の話です。

【5】編成別の一言と、キメ

ギターと歌のデュオ——一番多い形です。音的に制約が生まれたり、ちょっと寂しく聞こえる場面も多くありますが、この寂しさはあえて受け入れて、その空間を楽しむような感じでやっていけばいい。気をつけるのは、テンポがしっかり取れているか、独りよがりにならず相手の音をよく聞いているか、そしてボーカリストに音程(その曲のキー)をイントロでしっかり伝えること。ギターソロの場面は完全なソロギターになるので、いっぱいいっぱいコードを弾きながらメロディを弾こうとせず、シンプルなメロディでもいいので、必ずリズムを崩さないように。

ギターとピアノのデュオ——ピアニストはソロピアノのような感覚で弾く人も多く、そうなるとギターはあまりやることがない。普通に四つ切りをしてあげたり、ベースラインを弾いてあげたりするのが一番いい。

ピアノがいるバンド——ギターとピアノの共存が必要になります。ジョー・パスのようにピアニストと一緒にコンピングしている例もありますが、それはかなり耳を使って隙間を埋めていく形で、結構達人にならないと難しい。セッションなどであえて練習してみるのはありです。

大倉の断言:ギターはもう管楽器のように扱ってもらうのがいい。コードは弾かない

「私の意見としてはギターはもう管楽器のように扱ってもらうのがいい。コードは弾かない。伴奏のコードってのはもう全部ピアニストにお任せしてしまうってのが一番スマートな形」。役割分担をはっきりしておくとトラブルも起きず、いい演奏ができます。一番よくないのが譲り合うような形で、お互い無視して弾きまくるのも絶対にダメです。

── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)

キメ(お決まりの約束事)——「こう来たらこう返そう」というキメがあって、それをどれだけ知っているか。CDを聴けば大体分かりますが、最初はそれがキメかどうかも分からないくらいさりげない。私の経験上、現場で学んだことが多く、はるかに上のレベルのピアニストやドラマーと共演すると「そういうことか」と分かります。現場で覚えていくのが手っ取り早い。

🎸 今日の練習(これ1つだけ)

譜例A(チャールストン)で、Fのブルースを1コーラス、カラオケ音源に合わせて通す。root37の3音で、休符のところは音を止める。1曲通せたら合格の目安です。

テンポ 音源に合わせる(ジェイミー・エーバーソルドの第1巻など)
確認 リズムが崩れていないか/休符で音が止まっているか/低い弦のルートを強調していないか
できたら明日は 譜例B(1裏3頭)で同じ1コーラス→Fのブルースのコードをレッスンの5フォーム(F7の形から)に置き換える→枯葉で同じことを(コードは知っているフォームで)。このページをブックマークして、明日もここから始めましょう。

✅ これができたら次(ベースライン入門)へ

合格の目安=1曲通せたら。テンポは音源に合わせます。

  • ☐ チャールストンと1裏3頭を、リズムを崩さずにFのブルース12小節で通せる
  • ☐ カラオケ音源に合わせて、1曲通せる
  • ☐ root37で、低い5弦・6弦のルートを強調していない(3度・7度が入っている)
  • ☐ できれば、レッスンの5フォーム(特にF7の形)に置き換えて、同じ12小節を通せる
  • ☐ 1拍目・3拍目の2分音符をずらして、自分のパターンを1つ作れる
  • ☐ テンションを足すなら、コードトーンに解決できる
  • ☐ 音源(ソリスト)の邪魔をしていない=テンションを入れすぎず、空間が開いている
    └ ※最後の項目だけは、自分では判定しづらい部分です。伴奏する側で弾いていると、ソリストの可能性を狭めているかどうかは、その場では聴き取りにくいもの。

冒頭で「リズムパターンそのものがアドリブ」と書きました。アドリブといっても、型を2つ覚えたあとに増やしすぎると完全なランダムになる。どれを足すか(気に入ったものだけ)は、音源と一緒に弾いてもらってから決めます。その日のパターンと曲はカルテに書いておきます。

▶ カルテの実物(ジャズ経験者の1枚)を見る

よくある質問(FAQ)

Q. リズムパターンは、いくつ覚えればいいですか?

A. そんなにパターン数は要りません。書いてあるほどは要らなくて、増やしすぎると完全なランダムになってしまいます。大事なのはそこではなく、まず基本形がしっかりできること。パターンは、1拍目と3拍目の2分音符をずらしたり休符にしたりすれば、書いていけば総当たりで作れます。

Q. ルートは弾かないのですか?

A. 大体の場合、コンピングする場面ではベーシストがいるので、まずベースの音、ルート音をなるべく弾かない方がいい。具体的には、特に3度と7度の音を入れてください。ベーシストがいる場合でも、絶対に弾いたらダメということはなく、実際に弾く場合もよくあります。ただ、ルートの低い音(5弦・6弦の音)を強調するような弾き方は、必要な時以外は使わない方がいいです。

Q. テンションはどう入れますか?

A. テンションは、必ずコードトーンに解決するように弾きます。そして入れすぎないこと。テンションを入れて弾くと、ソリストのスケール選択の可能性を狭めることになります。上手くハマるとすごくいい演奏になりますが、伴奏でソリストの可能性を狭めるようなことは、なるべくしない方がいい。空間を開けてあげることも大事です。

Q. ピアニストがいるバンドでは、どう弾きますか?

A. 私の意見としては、ギターはもう管楽器のように扱ってもらうのがいい。コードは弾かず、伴奏のコードは全部ピアニストにお任せしてしまうのが一番スマートな形です。役割分担をはっきりしておくとトラブルも起きず、いい演奏ができます。一番よくないのが譲り合うような形で、お互い無視して弾きまくるのも絶対にダメです。

Q. 家では、どうやって練習しますか?

A. iRealなどの打ち込みではなく、本物の音源(CD)に合わせるのがいい。ピアニストが入っているCDでも、ジェイミーのオケでもいいので、その雰囲気に溶け込むように、ピアニストの真似をしてみます。ジェイミー・エーバーソルドは第1巻の音源。ジェリー・バーガンジの教則本の音源も、個人的によく使います。ピアノレスの演奏の音源に混ざってみるのもあり。さらに録音して聴き返すと完璧です。

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