ベースラインのゴールは、コードを一緒に鳴らすことではありません。ルートと5度の2ビートを、レガートで(音を途切れさせずに)弾けること。これが全てに優先されます。前提が1つ、やることは4つ(+予告が1つ)。
前提=ルートと5度の位置の把握(このベースラインが、そのいい練習になります)。コードを足すときは4和音の基本フォーム(6弦を中指で押さえる形とroot37)を使います。そのうえで:
- ルートと5度の2ビート(1拍目ルート→3拍目5度・2分音符)=譜例A・B
- 3度も使う(繋がりがいい場面だけ)=譜例C
- 1拍目にコードを足す(綺麗に全部鳴らなくていい)=譜例D・E
- 4拍目にアプローチノート(次のコードのルートへ半音で)=譜例F・G
- 予告:4ビート(ウォーキング)は型で=譜例H〜J
やらないこと(引き算):
✕ コードを綺麗に鳴らすことに時間を使わない——コードはなくてもさほど問題にならない。
✕ 3度を主役にしない——ベースラインはルート・5度が圧倒的に多い。
✕ いきなり4ビートに行かない——アプローチノートの発展形が分かってから、型で覚える。
なぜコードより先に「レガート」か(30秒だけ理屈)
ギターとピアノのデュオでは、「普通に4つ切りしてあげたりだとか、あとベースライン弾いてあげたりってすると一番いい」。ジャズの土台になり、色んな曲に応用できるので、教室では初期段階のうちにやります。生徒も楽しんで取り組んでいます。
ベースラインで大事なのは、音を途切れさせないこと。「音を途切れさせたらあかんくて、常にレガート、音滑らかに繋いでいく風にした方がグルーブする」。コードを一緒に鳴らすかどうかは、その後の話です。
このページは2ビートがメインです。4ビート(ウォーキング)は、最後に予告として型を3つだけ載せています。
手順:4ステップ+予告(この順番で)
【1】ルートと5度の2ビート——1拍目ルート、3拍目5度
2ビートの最初は、ルート・5度から。1拍目にルート、3拍目に5度。どちらも2分音符で、次の音まで伸ばします。ほとんど5・6弦を使います。5度はルートと同じあたりのフレットで取ります(ルートの上に行く小節も、下に行く小節もあります)。譜例Aは、Cの2-5-1-6。
譜例A(Cの2-5-1-6・ルートと5度):符尾の先に○=2分音符(2拍伸ばす)、○なし=4分音符。R=ルート、5=5度。紺=小節のコード。Dm7はレ(5弦5)からラ(6弦5)へ下がり、G7はソ(6弦3)からレ(5弦5)へ上がる。
同じことを枯葉(Gm)の最初の8小節で。Am7♭5の小節は、5度の代わりに♭5(ミ♭)を弾きます。
譜例B(枯葉の最初の8小節・ルートと5度):符尾の先に○=2分音符(2拍伸ばす)、○なし=4分音符。♭5=Am7♭5の減5度。最後のGm7はソをオクターブ上(4弦5)で取って、レ(5弦5)へ。
【2】3度も使う——繋がりがいい場面だけ
ルート・5度ができたら、次にルート・3度も合わせてみます。ただし、ベースラインとしてはルート・5度が圧倒的に多いので、そちらをメインに使いながら、メロディックな場面(3度に行った方が繋がりがいい・意味合いがある場合)は3度を優先します。
譜例C(枯葉・3度を使う):符尾の先に○=2分音符(2拍伸ばす)、○なし=4分音符。3=長3度、♭3=短3度。最後のGm7はレ(5度・4弦開放)からシ♭(短3度)へ。
【3】1拍目にコードを足す——綺麗に全部鳴らなくていい
ベースの1拍目に、同時にコードを鳴らします。使うのはroot37、6弦を中指で押さえるフォーム、基本フォームが中心(4和音の基本フォーム+root37)。「6弦を中指、残りの3つは全部人差し指」の押さえ方は、小指と薬指が自由になるのが一番のメリットで、ウォーキングベースラインを混ぜたコードアプローチをするときに有利です。人差し指を6弦に持ってくると、レガートができなくなります。
コードは綺麗に全部鳴らなくても大丈夫。フォームもこれにこだわる必要はなく、全部の箇所に入れなくても構いません。
譜例D(Cの2-5-1-6・コードを足す):符尾の先に○=2分音符(2拍伸ばす)、○なし=4分音符。縦に並んだ数字=1拍目に鳴らすコード(最低音がルート)。G7は6弦ルートの3音(R・♭7・3=root37)。3拍目は5度だけ。
譜例E(枯葉・コードを足す):符尾の先に○=2分音符(2拍伸ばす)、○なし=4分音符。D7の小節は♭9(2弦4)入りのフォーム。最後のGm7はベースだけ。
慣れたら、コードの場所を半拍後ろにしたりします(譜例D-2)。
譜例D-2(Cの2-5-1-6・コードを半拍後ろに):譜例Dと同じ4小節・同じフォームで、コードを鳴らす位置だけを半拍うしろへ。ベースとコードを分けて書いています。下向きの符尾=ベース(1拍目ルート・3拍目5度、○=2分音符。譜例Aと同じ)、上向きの符尾=コード(1拍目の裏に、旗つき=8分音符)。ルートを伸ばしている間にコードが入ります。
【4】4拍目にアプローチノート——次のコードのルートへ半音で
発展形は、アプローチノートを足すこと。「1拍目・2拍目がルート→3拍目で5度→4拍目に次のコードへのアプローチノート」。譜例では、ルートを2分音符(1・2拍目)にして、3拍目に5度、4拍目に次のコードのルートへ半音(上または下)から近づく音を置きます。コードも入れて練習します。
譜例F(Cの2-5-1-6・アプローチノート):符尾の先に○=2分音符(2拍伸ばす)、○なし=4分音符。ap=次のコードのルートに半音で近づく音(Dm7の小節はソ♯→ソ、G7はド♯→ド、CM7はソ♯→ラ、A7はミ♭→レ)。1小節目はコード付き。繰り返して弾く。
譜例G(枯葉・アプローチノート):符尾の先に○=2分音符(2拍伸ばす)、○なし=4分音符。アプローチを入れる小節と入れない小節が混ざっている。3小節目(B♭M7)は3度→5度。譜例Eのコードを足して練習する。
【5】予告:4ビート(ウォーキング)は型で
4ビートは、この発展形が分かってきてから。「4ビートに関してはもう型で覚えていくのがいいんじゃないか」。ここでは型を3つだけ。譜例H=ルート・(ルートか3度)・5度・アプローチ(2ビートの発展形の2拍目にルートか3度を入れて、4分音符にした型)。譜例I=枯葉で、同じ型に半音の上行・下行を混ぜたもの(スケールで下がる小節もあります)。譜例J=主にスケールで上下する型(後半には譜例Hと同じ型も混ざります)。ベースラインを弾くときは「絶対走らない」ことも意識します(これは上級者向けの話です)。
譜例H(Cの2-5-1-6・4ビート):4分音符(CM7の1拍目だけ8分音符2つ)。R=ルート、3=3度、5=5度、ap=次のコードのルートへのアプローチ。
譜例I(枯葉・4ビート・その1):4分音符。1小節目のCm7で2拍目にミ♮(長3度・6弦開放)を弾いているのは、あえてです。コントラバスのベースラインでよくある形で、ポール・チェンバースもレイ・ブラウンも多用しています。F7はファ→ソ→ソ♯→ラと上がり(ソからは半音ずつ)、B♭M7のシ♭へ。
譜例J(枯葉・4ビート・その2):4分音符。9=9度、7=長7度、♭7=短7度、13=13度、♭9=♭9度。最後のGm7はド♯からCm7のド(頭)へ戻る。
大倉の断言:音を途切れさせたらあかん。常にレガートで繋ぐ
「音を途切れさせたらあかんくて、常にレガート、音滑らかに繋いでいく風にした方がグルーブする」。ベースラインを混ぜたコードアプローチでは、6弦を中指で押さえる形が有利で、人差し指を6弦に持ってくるとレガートができなくなります。
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
🎸 今日の練習(これ1つだけ)
譜例A(Cの2-5-1-6)を、音を途切れさせずに弾く。1拍目ルート、3拍目5度、どちらも次の音まで伸ばす。できたら譜例B(枯葉の8小節)。コードはまだ足さなくていい。
✅ これができたら次(コードソロ・ソロギター入門)へ
2ビートがメイン。4ビートは予告まで。テンポの指定はありません。
- ☐ 1拍目ルート・3拍目5度の2ビートを、Cの2-5-1-6と枯葉の8小節で弾ける
- ☐ 音を途切れさせずに(レガートで)次の音へ繋げられる
- ☐ 3度を使う小節を、ルート・5度と使い分けられる
- ☐ 1拍目にコードを足しても、ベースラインが崩れない(コードは綺麗に鳴らなくてもOK)
- ☐ 4拍目のアプローチノートで、次のコードのルートに入れる
- ☐ 走らずに、グルーヴしている
└ ※最後の項目だけは、自分では判定しづらい部分です。音が合っているかは分かっても、走っているかどうか、グルーヴしているかどうかは、弾きながらでは聴き取りにくいもの。
最後の☐、走っていないか、グルーヴしているかは、弾いている側からは分かりにくいものです。レッスンでは私がベースラインだけを聴いて、走った場所や音が切れた場所をその場で指し、カルテに残します。
よくある質問(FAQ)
Q. ギターでベースラインを弾くのは、どんな場面で使いますか?
A. ギターとピアノのデュオでは、「普通に4つ切りしてあげたりだとか、あとベースライン弾いてあげたりってすると一番いい」。ジャズの土台になり、色んな曲に応用できるので、教室では初期段階のうちにやります。コード進行を耳で追えるようになりたい人にも、まずベースラインを聞くことを勧めています。
Q. コードを一緒に鳴らさないとダメですか?
A. いいえ。ベースラインでは、コードコンピングの優先度は低いです。まずはしっかりとベースラインをレガートで弾くこと。これが全てに優先されます。コードはなくてもさほど問題にはなりません。足すときも、綺麗に全部鳴らなくても、全部の箇所に入れなくても大丈夫です。
Q. 3度はいつ使いますか?
A. ルート・5度ができたら、ルート・3度も合わせてみます。ただ、ベースラインとしてはルート・5度が圧倒的に多いので、そちらをメインに使います。3度に行った方が繋がりがいい、意味合いがある場面(メロディックな場面)では3度を優先します。譜例Cがその例です。
Q. 4ビート(ウォーキングベース)はいつから始めますか?
A. アプローチノートを足した発展形が分かってきてからです。4ビートは型で覚えていくのがいいと考えていて、このページには型を3つ(譜例H〜J)だけ載せています。2ビートがメインで、4ビートはその先です。
Q. コードはどのフォームで足しますか?
A. root37、6弦を中指で押さえるフォーム、基本フォームを中心に使います。「6弦を中指、残りの3つは全部人差し指」の押さえ方は、小指と薬指が自由になるのが一番のメリットで、ウォーキングベースラインを混ぜたコードアプローチをするときに有利です。人差し指を6弦に持ってくると、レガートができなくなります。
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