ここ数年、使用しているミュージシャンが爆発的に増えてきている Strymon(ストライモン)のエフェクター。ギター用リバーブの定番として「Big Sky」「Blue Sky」「Flint」の3機種がよく挙がり、「結局どれを買えばいいの?」と迷う人がとても多い機種です。この記事では、まずこの代表3機種(Big Sky / Blue Sky / Flint)の違いを比較し、後半で同じく Strymon のリバーブである NightSky・Cloudburst も紹介します(ラインナップは年々広がっています)。
結論(2026年版)
- 最初の1台に迷ったら Strymon Flint(市場価格 約5.3万円〜)。ダークで密度が濃く、王道のオーソドックスなリバーブ。どこに設定しても破綻しない定番。
- 現在の大倉のメイン=本命は Strymon BigSky MX(2024年の新世代・約10.8万円)。IRリバーブや2系統同時掛けまで1台でこなす全部入り。
- 明るくきらびやかな飛び道具なら Strymon blueSky(約6万円前後)。シマー・モジュレーションが得意なハイファイ系。
※この記事はもともと数年前に書いたものです。3機種比較という骨格はそのままに、長く使ってきた今の正直な結論と最新情報を加えて書き直しています。当時の見立ては「歴史的なメモ」として残しつつ、現在のスタンスは下のまとめに記しました。価格はいずれも2026年6月時点の目安で、変動するので購入時に再確認してください。
ストライモン[Strymon]とは
公式によると2005年からのブランドで、比較的新しいギターエフェクターメーカー。空間系のコンパクトエフェクターを中心に販売しています。どれもデジタルエフェクターですが、クオリティが物凄く高い。最近のDSP技術は本当に凄いです。歪み系も現在では発売されており、僕自身も非常に気になっています。
ストライモン[Strymon]のリバーブ比較
リバーブだけで三種類(Big Sky / Blue Sky / Flint)。どれも素晴らしい機種です。購入を検討するときは、この三種類を比べてみるのがおすすめ。それぞれキャラクターがはっきり違うので、自分がどんな音が欲しいかで選ぶとハズしません。
Big Sky
一番多機能なリバーブです。今では良く耳にするシマーモードを広めた立役者がストライモンのリバーブ。そのシマーモードを中心に十二種類のリバーブモードがあります。かなり特殊なものもありますが、Big Sky でしか出せないサウンドも沢山あるので、欲しい音色があれば他に選択肢はありません。逆に言うと、特殊なリバーブが必要なければ Big Sky は要らない、とも言えます。
キャビネットのシミュレーション
リバーブから直接ミキサーに送る場合などに使う、ギターアンプのスピーカー応答カーブのシミュレーション機能。普通はリバーブにこんな機能はついていませんが、さすがストライモン、痒い所に手が届く仕様です。(正確には「フルのアンプシミュレーター」ではなく、PAや直接録音向けのスピーカー応答フィルターです。)
デメリット:本体が大きい/値段が高い/多機能すぎて使いこなすのが難しい。
【更新】「12種類」は初代 Big Sky、現行は BigSky MX(2024)
この記事で書いた「12種類」は初代 Big Sky(2013年)のことで、これは今でも正しい数字です(Room / Hall / Plate / Spring / Swell / Bloom / Cloud / Chorale / Shimmer / Magneto / Nonlinear / Reflections の12マシン)。なお、シマーサウンド自体を「発明」したのはストライモンではなく、もともとは Brian Eno/Daniel Lanois が80年代に切り拓いたもの。ストライモンはそれをペダルで手軽に使えるようにして一気に広めた立役者、というのが正確なところです。
そして現在の現行機は新世代の Strymon BigSky MX(2024年・市場価格 約10.8万円)。マシン数は初代と同じ12種ですが、中身をまるごと刷新したのがポイントです。Strymon公式によると7つが新開発アルゴリズムで、完全新規が Impulse(IR=畳み込みリバーブ)と Chamber の2タイプ、Spring/Plate/Hall/Room/Shimmer が新規ハンドクラフト(この“7つの新開発”から「19種」と紹介されることがありますが、公式の総数は12種です)。さらに 2系統のリバーブを同時に走らせられる(直列/並列/スプリット)、24bit/96kHz・800MHz トライコアARMで処理能力が大幅アップ、USB-Cで自作IRも読み込める、などが進化点。詳しくは → Strymon BigSky MX 徹底レビュー。
※初代 Big Sky(中古/流通在庫)は生産終了のため、現在の価格(約7万円台)は流通在庫・実勢価格です。2026年6月時点の目安で変動します。
Blue Sky
この三種類の中では一番バランスが良い機種。Big Sky ほど多機能ではなく、Flint よりはモードが多い、ちょうど中間の立ち位置です。リバーブは三種類「plate」「room」「Spring」。ホールタイプがないのが残念ですが、room モードでセッティングを上手くするとホールリバーブのようにも使えます。
リバーブモード
それぞれのリバーブタイプに「ノーマル」(一番普通、ほぼこれで使用)/「mod」(フェイザーみたいな効果で広がり・うねりを加える)/「shimmer」(オクターブ上などを重ねて独特の世界観を演出)が選べます。
【補足・正確には】mod と shimmer は「3つの排他モード」ではなく、独立した Mod スイッチ(off/light/deep)と Shimmer ノブで、組み合わせて使えます。またシマーの音程はリバーブタイプ依存で、Plate=オクターブ上、Room=オクターブ+5度、Spring=オクターブ下、と一律ではありません。
入出力:ステレオで in/out 可能。背面スイッチでモノラル in/ステレオ out、ステレオ in/モノラル out などの設定もできます。
バッファー:ストライモンのエフェクトを踏むだけで音が良くなるという人がいます(バッファーが優秀だから)。裏設定でバッファードバイパス(オフでもバッファーを通す)/トゥルーバイパス(完全に原音)を切り替えできます。リバーブなので基本オンのままの人が多いですが、知っていると便利です。
【更新】V2 でシマーの設定が自由になった
初期の旧型はモジュレーションやシマーの設定が固定でしたが、新しい blueSky V2 では専用の Shimmer ノブが付き、シマーの効き具合を自由に作り込めるようになりました。きらびやか系の表現の幅が大きく広がっているので、これから買うなら V2 がおすすめです(市場価格 約6万円前後・2026年6月の目安。変動するので購入時に再確認)。単体レビューは → Strymon blueSky レビュー。
Flint
リバーブとトレモロが一緒になったペダル。音色はこの中で一番ダークで密度が高く、ジャズギターに向いています。今回はリバーブの記事なのでトレモロは深く触れませんが、三種類のトレモロが選択できます。Fenderアンプのリバーブとトレモロを取り出したような、王道で安心感のある響きです。
Flint のリバーブの種類
本体スイッチは ’60s/’70s/’80s と表記。正式名称は ’60s Spring Tank(スプリング)/’70s Electronic Plate(プレート)/’80s Hall Rack(ホール)で、「’60s=スプリング、’70s=プレート、’80s=ホール」と理解するとわかりやすいです。Blue Sky ほど細かいセッティングはできませんが、シンプルにストライモンのリバーブを使いたい人におすすめ。
さらに Color つまみで響きの明暗(明るさ)を調整できます。「ダークすぎる」と感じたらここで微調整すれば、幅広いギター・ジャンルに対応できます。
バッファ:他シリーズ同様、隠しコマンドでトゥルー/バッファードバイパス切替、ステレオ in/out、ゲイン等を細かく調整できます。
【更新】最新の V2 について
最新の Flint V2 も、リバーブ・トレモロの基本の音そのものは旧型と変わりません。違いは MIDI 対応(300プリセット)を中心に、新ARM DSP・JFET入力・トレモロのスピード拡張など、ハードウェアとコントロール面の強化です。「音質で旧型が劣る」ということはないので、MIDIが要らなければ中古の旧型でも十分。市場価格は約5.3万円〜(V2/2026年6月の目安)。単体レビューは → Strymon Flint レビュー。
Strymon のリバーブはこの3つだけじゃない(NightSky・Cloudburst)
上で比べた Big Sky / Blue Sky / Flint は定番ですが、Strymon のリバーブはこの3つだけではありません。現在は次の機種も加わり、選択肢がぐっと広がっています。
- Strymon NightSky(市場価格 約7.0万円):シマーやスペースリバーブを自在に作り込める多機能シンセシス・リバーブ。オクターブ上下や音揺らしなど“作り込み系”の飛び道具で、普段使いより実験的な音作りに向きます。→ Strymon NightSky レビュー
- Strymon Cloudburst(市場価格 約4.4万円・2023年発売):小型筐体のアンビエント・リバーブ。目玉は Ensemble 機能で、演奏を48の周波数帯で解析して倍音を足し、ストリングス(弦楽合奏)のような厚みを生みます。Decay/Mix/Tone/Pre-Delay/Mod も備え、コンパクトながら本格的。大倉も試奏したことがあり、小さな箱で豪華なアンビエントが出せる人気機です。
- Strymon BigSky MX(市場価格 約10.8万円):前述のとおり初代 Big Sky の新世代フラッグシップで、IRリバーブや2系統同時掛けまで1台で完結(大倉の現メイン)。→ Strymon BigSky MX 徹底レビュー
つまり今の Strymon のリバーブは、シンプル定番=Flint/中間バランス=blueSky/コンパクトなアンビエント=Cloudburst/作り込み多機能=NightSky/全部入りフラッグシップ=BigSky MX、という幅広いラインナップ。用途で選べるようになっています。
ストライモン[Strymon]のリバーブの比較まとめ
リバーブ品質:どれもとても高いクオリティ。カタログスペック的には Big Sky > Blue Sky > Flint ですが、シンプルなリバーブ効果を比べると、(執筆当時)僕は Blue Sky が一番好きでした。
- Big Sky:あらゆるリバーブタイプが使用可能/プリセット・拡張性が高い/キャビネット(スピーカー応答)シミュレーションつき/ややサイズが大きく値段も高い。現行は BigSky MX。
- Blue Sky:基本のリバーブ三種類/シマー・モジュレーションモード有り/リバーブ音の細かいセッティングが可能/Big Sky より安価で Flint とほぼ同価格。
- Flint:リバーブ3種類/トレモロ3種類/リバーブとトレモロが両方必要な人におすすめ/リバーブ専用機より(主観だが)細かいセッティングができない分ちょっと劣る/値段は Blue Sky とほぼ同じ。
【正直な追記】長く使った今の結論
上の「Blue Sky が一番好き」は数年前の正直な感想で、歴史的なメモとして残しておきます。ただ、その後ずっと使い込んだ結果、考えは変わりました。当教室の大倉は Flint と blueSky を両方所有した経験から、こう話しています。「blueSky は最初こそ機能が多くて面白いが、“綺麗すぎる”と感じることが多かった。オーソドックスなリバーブを求めると、結局 Flint に戻った」。この考えは今でも変わりません。
つまり今の棲み分けは、普段使いのど真ん中は Flint、明るくきらびやかな“飛び道具”が欲しいなら blueSky。そして、もっと多彩に・高解像度で1台にまとめたいなら、現メインは Strymon BigSky MX です。大倉は発売日に楽器屋で1音出した瞬間に買ってしまったほどで、なかでも実空間の響きを読み込む IRリバーブ(鍾乳洞の環境音データを愛用)と、2系統同時掛けを多用しています。「リバーブ単体機としては BigSky がやっぱり最強の音が鳴る」というのが現在の実感です。
多機能=正解ではなく、結局オーソドックスが残る――というのが現場の本音。だからこそ、最初の1台は Flint、本命の全部入りは BigSky MX、明るい色付けが欲しいときは blueSky、という順番で考えると失敗しにくいです。
👉 もっと深掘りするなら
→ リバーブの選び方完全ガイド(ハブ)/→ リバーブの種類完全ガイド(Hall/Plate/Spring/Shimmer/Cloud)/→ リバーブのかけ方・設定のコツ(mix/decay/接続順)/ディレイも一緒に1台で欲しいなら → EarthQuaker Devices Avalanche Run レビュー/作り込み系の多機能機なら → Strymon NightSky。
実機を鳴らして、あなたの音に合う1台を選びませんか?
大阪・西区(南堀江・桜川/なんばからも近い)の大倉ギター教室では、Flint・blueSky・BigSky MX をはじめ各種リバーブを実際に鳴らしながら、あなたの音に合う設定を一緒に探せます。手ぶらでOK・本格ギターで体験できます。
よくある質問(FAQ)
Q. Strymon の Big Sky と Blue Sky の違いは?
A. Big Sky は12種類のリバーブマシンを積んだ最上位の多機能機で、特殊な響きや拡張性が魅力(現行は新世代の BigSky MX)。Blue Sky は Plate/Room/Spring の基本3種+シマー・モジュレーションに絞った、明るくハイファイなバランス型です。多彩さ・高解像度なら Big Sky 系、明るくきれいな色付けなら Blue Sky、と選び分けます。
Q. Strymon のリバーブ3機種、最初の1台はどれがいい?
A. 迷ったら Strymon Flint(市場価格 約5.3万円〜)。ダークで密度が濃く、どこに設定しても破綻しないオーソドックスな定番で、ライブでの使い勝手も抜群です。明るくきらびやかな飛び道具が欲しいなら blueSky、1台で多彩にやりたいなら BigSky MX が候補になります。
Q. Strymon BigSky MX は旧 Big Sky と何が違う?
A. マシン数は初代と同じ12種ですが、中身をまるごと刷新(Strymon公式いわく7つが新開発アルゴリズム)。完全新規は Impulse(IR=畳み込みリバーブ)と Chamber の2タイプで、Spring/Plate/Hall/Room/Shimmer が新規ハンドクラフトです。さらに2系統のリバーブ同時掛け、24bit/96kHz・処理能力の大幅向上、USB-Cでの自作IR読み込みが進化点。大倉の現在のメイン機です。
Q. Strymon Flint と blueSky はどっちがいい?
A. 普段使いのオーソドックスなリバーブなら Flint、明るくきらびやかなシマー系なら blueSky です。両方を所有して使った経験では、blueSky は綺麗すぎると感じることが多く、普通のリバーブを求めると結局 Flint に戻りました。
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