「枯葉(Autumn Leaves)」は、ジャズを始めた人が最初に取り組むことの多いスタンダードです。私の教室でも、アドリブの練習曲として最初に使うのがこの曲。セッションでもよく演奏されるので、1曲覚えておくと参加しやすくなります。このページでは、コード進行・演奏スタイル・この曲のポイント・練習の順番・参考音源をまとめました。
枯葉は、私のレッスンでアドリブの最初の1曲としてよく使う曲です。コード進行はほぼⅡ-Ⅴ-Ⅰ(メジャーとマイナー)だけ、しかもメロディが3度でできています。
まずは各コードの3度だけで1周弾けるようにして、そこへアプローチノート、D7でのdim変換と1つずつ足していきます。やらないこと=最初からスケールで考えること。3度が見えていれば、スケールを知らなくてもソロは取れます。
枯葉のコード進行
キーはGマイナー(B♭メジャーと同じ♭2つ)。A(8小節)を2回くり返したあと、BとCが8小節ずつ続く、全部で32小節です(AABC)。私のレッスンで使っている進行を載せています。
A(1〜8小節目)
A(9〜16小節目)
B(17〜24小節目)
C(25〜32小節目)
最初の8小節は、Cm7→F7→B♭M7がB♭メジャーのⅡ-Ⅴ-Ⅰ、Am7♭5→D7→Gm7がGマイナーのⅡ-Ⅴ-Ⅰ。ルートはC→F→B♭→E♭→A→D→Gと、ほぼ4度ずつ進んでいきます(E♭→Aだけは増4度)。Cの27〜28小節目はコードが2拍ずつ変わり、Ⅱ-Ⅴが全音ずつ下がっていきます(Gm7→C7、Fm7→B♭7)。
演奏スタイル(テンポ、リズム)
ミディアムテンポの4ビート(スウィング)で演奏されることが多い曲です。実践編のソロ例は♩=120です。インストではGマイナーで演奏されることが多いので、まずはこのキーで覚えておくと、セッションでも困りません。
枯葉のポイント
- ほぼⅡ-Ⅴ-Ⅰだけでできている:メジャーとマイナーのⅡ-Ⅴ-Ⅰがくり返し出てきます。ジャズで一番よく出てくる進行を、1曲の中で両方練習できます。
- メロディが3度でできている:テーマのメロディ、特にAメロは3度へのアプローチでできています。だから3度を狙って弾くと、アドリブでも自然と枯葉らしく聞こえます。
- D7→Gm7でdim変換を練習できる:D7→Gm7は、7thコードから解決するドミナントモーション。私のレッスンでは、ここにdim変換を入れる練習をします。手前のAm7♭5→D7はただの4度進行(Ⅱ-Ⅴ)で、解決ではありません。
「まずはこの8つのコード進行だけでいい。とりあえず3度で。3度なら絶対迷わず弾ける、というのが強いんです。」
欲張ると、いくらでもやり方があるぶん悩んで手が止まります。1パターンでもできたら勝ち。そこを足がかりに増やしていけば十分です。
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
この曲で練習すること
枯葉を「テーマが弾けた」で終わらせず、アドリブの練習曲として使うための順番です。上から1つずつ進めてください。
① まずは各コードの3度だけで1周
最初の8小節で、各コードの3度を1つずつ弾きます。タブを見なくても弾けるようになるまで、これだけで何度も。コードの場所(フォーム)が分かっていることが前提です。
枯葉の最初の8小節・3度だけ:Cm7=E♭、F7=A、B♭M7=D、E♭M7=G、Am7♭5=C、D7=F♯、Gm7=B♭。TABは上が1弦。4小節目のGは2弦8フレットでも同じ音です。
3度が見えにくいときは、先にコードトーンのマスター|1357の展開・接続・デジタルパターンで、コードの形と3度の位置を確認しておきます。
② 3度へアプローチノートで向かう
3度が弾けたら、そこへ半音下から・上の音から・挟み込みで向かいます。4拍目から入って、1拍目で着地。3つの向かい方のTABと練習の順番は、枯葉で弾くアドリブ1コーラス|アプローチノートとdim変換の実践にまとめています。アプローチの型そのものはアプローチノート入門|コードトーンへ「どう向かうか」で。
③ D7でdim変換を入れる
6小節目のD7では、D7の3度F♯から始まるディミニッシュ(F♯dim7)を弾いて、Gm7に解決させます。仕組みはディミニッシュ変換(dim変換)|7thの3度から弾く・必ず解決するで説明しています。枯葉では、最初はGm7のD(5度)かB♭(3度)に着地させるとうまくいきやすいです。
④ 1コーラスのソロ例で、流れの中で使う
①〜③を入れた32小節のソロ例(TAB)も用意しました。丸ごと覚える必要はありません。気に入った1〜2小節を抜き出して、自分の枯葉に入れてみてください(枯葉で弾くアドリブ1コーラス|アプローチノートとdim変換の実践)。
枯葉は弾いたことのある人が多いぶん、「なんとなく弾けている」で止まりやすい曲です。レッスンでは実際に1コーラス弾いてもらって、着地が遅れる小節や、D7で手が止まる小節を一緒に探し、その日に直したことをカルテに残しています。
教室では、枯葉と並行してFのブルースでコードトーンを固め、枯葉のあとはDays Of Wine Roses酒とバラの日々などでリディアン7th(リディアン7thの使い方|解決しない7thコードと「半音が重なる4音」)に進むことが多いです。セッションに持っていく最初の1曲にするなら、初めてのジャムセッションが怖い人へ|準備は「黒本+1曲」で十分も参考にしてください。
枯葉について
作曲はジョゼフ・コズマ(Joseph Kosma)、フランス語の詞はジャック・プレヴェール。原題は「Les Feuilles mortes(枯れ葉)」です。メロディは1945年、ローラン・プティのバレエ『ランデヴー(Le Rendez-vous)』の音楽として使われたのが最初で、1946年のマルセル・カルネ監督の映画『夜の門』で歌として登場しました。映画ではイヴ・モンタンが口ずさみ、イレーヌ・ジョアキムの歌声で歌われます。
その後ジョニー・マーサーが英語の詞をつけて「Autumn Leaves」になり、1955年にはピアニストのロジャー・ウィリアムズの演奏が、アメリカのビルボードのチャートで1位になりました。ジャズでも1950年代から多くの名演が生まれています(下の参考音源)。
枯葉の参考音源
同じ枯葉でも、演奏する人によってまったく違う景色になります。まずは定番の演奏と、ギタリストの演奏を聴き比べてみてください。
定番の演奏
キャノンボール・アダレイ『Somethin’ Else』(1958年録音・ブルーノート)
ジャズの枯葉といえば、まずこの演奏。マイルス・デイヴィスがミュートのトランペットでテーマを吹き、キャノンボールのアルトサックスとマイルスが、それぞれソロを取ります。
ビル・エヴァンス・トリオ『Portrait in Jazz』(1959年録音)
ピアノ・ベース・ドラムの3人が対等にからみ合うトリオ。スコット・ラファロのベースの動きにも耳を向けてみてください。
アーマッド・ジャマル・トリオ(1955年録音)
ドラムのいないピアノトリオで、ギターのレイ・クロフォードが入っています。マイルスは、キャノンボールの盤の枯葉のアレンジを、ジャマルから思いついたと語っています。
ギタリストの演奏
ジョー・パス『Virtuoso No. 4』(1973年録音)
ギター1本で、メロディ・ベース・コードを同時に弾くソロギター。コードソロの参考になります(ギター1本でジャズらしく弾きたい|コードソロ・ソロギター入門)。ジョー・パスについてはジョーパス[Joe Pass]で紹介しています。
ジム・ホール&ロン・カーター『Alone Together』(1972年のライブ録音)
ギターとベースだけのデュオ。ドラムもピアノもいないので、2人でリズムとハーモニーを分け合っています。
ジュリアン・レイジ『Gladwell』(2011年)
現代のギタリストによる、3分ほどの短い枯葉です(Julian Lage[ジュリアンレイジ]現代のジャズギタリスト紹介)。
ギラッド・ヘクセルマン(2018年・モスクワでのライブ)
ギター・ベース・ドラムのトリオ。ピアノがいないぶん、ギターがテーマもソロもハーモニーも受け持っています。客席から撮られた動画です(Gilad Hekselman [ギラッドヘクセルマン]現代のジャズギタリスト紹介)。
次に読む・あわせて弾く
- 🎸 枯葉で弾くアドリブ1コーラス|アプローチノートとdim変換の実践(練習譜4本と1コーラスのソロ例)
- 📘 アプローチノート入門|コードトーンへ「どう向かうか」
- 📘 ディミニッシュ変換(dim変換)|7thの3度から弾く・必ず解決する
- 🎵 Days Of Wine Roses酒とバラの日々(枯葉の次に取り組むことの多い曲)
- 🗺 ジャズスタンダードを学ぼう!(ほかの定番曲の一覧)
枯葉の1コーラスを、セッションで弾ける形まで一緒に
3度への着地、D7のdim変換——1小節ずつなら弾けても、1コーラスつなげると崩れるのが枯葉です。どこで着地が遅れているか、リズムがどう崩れているかを、実際に弾いてもらいながら、その場で一緒に確認します。手ぶらでOK。楽器はこちらで用意します。
体験レッスンを申し込む →大阪市西区南堀江/桜川駅・西大橋駅から徒歩5分(四ツ橋・JR難波も10分圏)・手ぶらOK