初めてのジャムセッションが怖い人へ|準備は「黒本+1曲」で十分

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ジャムセッションに一度は行ってみたい。でも——何を準備すればいいのか分からないし、知らない曲を振られたらどうしようヘタなのに行って白い目で見られたら、と考えるうちに足が止まる。ギターは弾けるのに、ジャズのセッションだけは怖い。そういう方はとても多いです。先に言っておくと、怖さの正体はたいてい「完璧に弾かなきゃ」という思い込みで、準備するものも、守るお作法も、実はごくわずかです。

30秒でわかる結論

準備は「黒本+弾ける1曲」で十分。完璧な演奏も、たくさんの曲も要りません。

持ち物は、ギター・ピック・シールドと、通称黒本(『スタンダード・ジャズ・ハンドブック』)があれば基本は困りません。アンプ・ギタースタンド・エフェクターは、初めての店ではむしろ邪魔になりやすいので持っていかない——これは最初から荷物から外してください。曲もブルースか枯葉あたりを1曲覚えていけば足ります。あとは大倉が繰り返し言う一言に尽きます——「行った時点で勝ち」です。

セッションが怖い「あるある」は、だいたいこの5つ

どれも、準備と考え方でほぼ消えます。ただし最後に一つだけ、行ってみるまで自分では分からないことが残ります——それがこの記事の最後の話です。

あるある1|何を持っていけばいいのか分からない

こんな状態:アンプは要る? エフェクターは? 譜面台は持参?——荷物のことを考え出すとキリがなく、準備の段階で気が重くなる。真面目な人ほど「万全にしてから」と考えて、いつまでも行けません。

なぜ起きる:「たくさん持っていくほど安心」という発想が逆だからです。セッションは限られた時間で何人も入れ替わる場。大きい荷物はむしろ邪魔になり、セッティングに手間取るほど周りに迷惑がかかります。必要なものはごく少数です。

回避策

持っていくのは、ギター本体・ピック・シールド・黒本の4点だけ。ギターは大倉も「必ず持っていってください」と言う唯一の必須品。シールドは「お店のもの使う場合もあるけど、どちらか分からないので一応自分のシールドは持っていきましょう」。楽譜は黒本さえ持っていれば「セッション困らない」というのが基準です。

逆に、外していいもの:ギタースタンド(「基本的にはいらない。お店によったらすごい邪魔になったりもする」)、譜面台(お店のものを使う)、そしてアンプとエフェクター。初めての店ではお店のアンプに直で繋ぐのが基本で、エフェクターは「アンプ直でやるケースがほとんど」。何回か行って慣れてから、電池やモバイルバッテリーで動く小さいものを端に置く——それで十分です。

ここは事前に一人で確定できない:その店のアンプの質や電源環境、慣習は店ごとに違います。とくに大阪のセッションは「お店のアンプに直」が暗黙の了解で、機材を持ち込んで準備していると嫌がられることもあります。行ってみるのが一番早い部分です。

あるある2|曲を知らない・振られたらどうしようと不安

こんな状態:スタンダードを何曲も知らないと参加できないと思っている。知らない曲を「入って」と振られて、フリーズする自分を想像して怖くなる。

なぜ起きる:「全曲できないと恥ずかしい」という思い込みです。実際にはセッションでよくやる曲はそんなに多くありません。「2、3曲知っておけばまずはいい」が基準で、慣れてきても黒本の中で30曲ほど覚えておけば十分です。

回避策

「できる1曲」を用意して行くこと。おすすめはFのブルース——コードが少なく、「Fのブルースだったらできます」と言えば誘導してもらえます。それに加えてスタンダードを1曲、たとえばA列車で行こう(Take the A Train)酒とバラの日々、あるいは枯葉あたりを1曲。定番曲の全体像はスタンダード曲ガイドにまとめています。知らない曲を振られたら、無理せず「知りません」と言えば大丈夫です。曲は、セッションに行ってから知って覚えるのもありです。その日にやっていた曲をメモしておいて、次までに1曲ずつ覚えていく——この順番でも十分です。

ここは一人では判定できない:用意した1曲が「セッションのアンサンブルの中で成立するか」。一人で弾けるのと、人と合わせて成立するのは別物で、人と合わせたときに成立しているかは、一人では確かめられない部分です。

「知らない曲は、知らないとはっきり言っちゃっていい。できない曲やのにできるって言う方が問題がある。」

── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)

あるある3|お作法・マナーが分からなくて怖い

こんな状態:暗黙のルールがありそうで怖い。ソロの順番は? 音量は? 知らずにマナー違反をして嫌われないか、と身構えてしまう。

なぜ起きる:お作法が「たくさんあって難しいもの」だと想像しているからです。実際に押さえるべき点は数えるほどしかなく、迷ったらホストや慣れた人が助けてくれます。慣れないうちは「ある程度サポートしてくれるので安心していってもらうといい」——いつもそうお伝えしています。

回避策——最低限これだけ

  • 参加の流れ=まず名簿に記入。お店に着いたら名簿に名前を書いておくと、順番が来たときにホストが呼んでくれます。手を挙げて立候補する場面は、ほぼありません。
  • セッティングは素早く。「音が出たらオッケー」くらいで、イコライザーは基本触らず、音量は演奏しながら合わせる。時間をかけると周りの迷惑になります。
  • 自分のソロ以外は音量を控えめに。ギタリストは音が大きい人が多い。他の人のソロや伴奏で大きく出すと邪魔になるので、なるべく小さい音で。音量は自分では分からないことが多いので、演奏のあとに「大きくなかったですか?」と周りに聞いてみるのもおすすめです。
  • ステージにいない時に楽器を鳴らさない。他の人の演奏中にウォーミングアップで音を出すのはマナー違反です。
  • ソロは1〜2コーラスでまとめる。ダラダラ長く続けず、スマートに切り上げる。順番は、テーマ(メロディ)を弾いた人→管楽器→ギター→ピアノ→ベース→ドラム、が一般的です。
ここは自分の位置からは分からない:自分の音量が「その場でちょうどいいか」。手元で聞こえる音と、客席や他のメンバーに届く音は別物で、ちょうどいい塩梅は現場で合わせるしかない部分です。だからこそ最初は控えめにして、終わったら周りの誰かに聞くのがベストです。

あるある4|ソロで迷子になったら・失敗したらと思うと動けない

こんな状態:ソロの途中で今どこを弾いているか分からなくなる、テーマを間違える——そんな失敗を想像すると、怖くて名簿に名前を書けない。

なぜ起きる:失敗を「特別な事故」だと思っているからです。実際には誰もが経験することで、プロでもしょっちゅうやります。有名なレコードにも、間違えたままの演奏は残っています。問題は失敗そのものではなく、失敗を引きずったり、顔や手に出して周りに気づかせてしまうこと。迷子も、対処の型を知っていれば戻れます。

回避策

迷子になったら、一旦落ち着いて周りの音をよく聞き、メンバーを見る。困った顔でメンバーの方を見ていれば、上手いこと誘導してくれます。逆に、適当に弾いてダラダラ続けると次のコーラスに入ってしまい、どんどん訳が分からなくなる——止まって周りを見る方が早く戻れます。

失敗しても、顔や手に出さず、引きずらない。「失敗と聞かせない」ことが大事で、気にせず取り戻していけば大丈夫です。止まってしまう癖そのものは「間違えると止まってしまう人へ」で、本番の緊張は「本番で緊張する人へ」で扱っています。

大倉の一言:「別に失敗しても全然いい。失敗してみんな上手くなっていく。」(大倉ギター教室・講師歴20年)

あるある5|一人で行くのが心細い・仲間がいない

こんな状態:周りは常連同士で盛り上がっていそう。知り合いもいないのに一人で飛び込むのは気が重い。誘い合える仲間がいない。

なぜ起きる:「昔の怖いセッション」のイメージが残っているからです。かつては「演奏できなかったら帰れ」と言われる店もありましたが、今はそういう店はほぼありません。厳しいことを言えば客が来なくなり、店として成り立たないからです。むしろ勇気を出して行けば、歓迎される環境になっています。

回避策

「初めてです」と伝えること。初めてと言えば、たいてい満面の笑みで「じゃこの曲やるか」と歓迎されます。不安なら「初心者セッション」と謳っている所を選ぶと、なお安心です。演奏する自信がなければ、まず「今日は聴きに来ました」と言って見学するだけでもいい。大阪ならビーハイブや難波の845など、いろんな店でやっています。

そして——仲間を見つけに行くつもりで行くこと。ジャズは一人でやる音楽ではないので、仲間を見つけてなんぼ。曲が弾けなくてもいい、共通の話題で話せる人が一人できるだけで、その後がまるで違ってきます。

ここは一人では埋められない:ジャズ独特のリズムの雰囲気。これはフレーズを覚えるより、実際に人と一緒に演奏することで身についていくもの。仲間を作りに行くこと自体が、上達の近道でもあります。

「行った時点で勝ち。そういう所に最初勇気出して行くってのがすごい大変だし、もうそこで十分な第一歩踏み出してる。失敗と思わなくていい。」

── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)

家で準備できること・現場でしか身につかないこと

怖さの大半は「準備すれば消える不安」です。ただし、どれだけ家で準備しても、最後まで残るものが下の表の「現場でしか身につかない」側にあります。ここを正直に分けておくと、準備に神経質になりすぎず、行くべきタイミングが見えます。

○ 家で・独学で準備できる

  • 黒本を用意し、持ち物を4点にしぼる
  • 「できる1曲」を作る(Fブルース+定番1曲)
  • お作法を頭で知っておく(素早くセッティング・音量控えめ・ステージ外で弾かない・ソロは1〜2コーラス)
  • 迷子・失敗時の対処の型を知っておく

● 現場でしか身につかない

  • 人と合わせるリズム・タイム感(一緒に演奏して身につくもの)
  • 用意した1曲がセッションのアンサンブルで成立するかの判定
  • 迷子になった時のサインのキャッチと立て直し
  • 自分の音量が客席・他メンバーにどう届いているか
  • 「一歩踏み出す」度胸そのもの

「現場でしか身につかない」は「頑張れば家でもできる」項目ではなく、構造的に、実際に人と合わせないと分からない項目です。とくにリズムは、合っているかどうかを自分の耳だけで判断するのが難しい部分です。

「現場でしか身につかない」の5つのうち、一番引っかかるのはどれですか。用意したFブルースがセッションのアンサンブルの中で成立するかは、一人で弾く限り分かりません——レッスンでは私が伴奏に回って、そこを先に試しておけます。

▶ カルテの実物を1枚(ジャズ経験者の例)ご覧ください

よくある質問

Q. 初めてのジャムセッション、何を持っていけばいいですか?

A. ギター・ピック・シールド、そして黒本(『スタンダード・ジャズ・ハンドブック』)があれば基本は困りません。アンプ・ギタースタンド・エフェクターは、初めての店ではむしろ邪魔になりやすいので持っていかない方がいいです。お店のアンプに直で繋げば大丈夫です。

Q. 曲を全然知らなくても行っていいですか?

A. 行って大丈夫です。まずはFのブルース1曲か、枯葉・酒とバラの日々のような定番を1曲覚えていけば十分です。知らない曲を振られたら「知りません」とはっきり言えば、ホストが弾ける曲に誘導してくれます。できない曲をできると言う方が問題です。

Q. セッションのお作法・マナーで最低限気をつけることは?

A. セッティングは「音が出たらOK」くらいで素早く済ませ、自分のソロ以外は音量を控えめにし、ステージにいない時は楽器を鳴らさない。この3つを守れば十分です。ソロは1〜2コーラスでまとめるとスマート。慣れないうちはホストが助けてくれます。

Q. ソロの途中で迷子になったり、失敗したらどうすればいいですか?

A. 誰でも経験することで、プロでもしょっちゅうあります。分からなくなったら一旦落ち着いて周りの音を聞き、メンバーを見ればサインをキャッチできることが多いです。失敗しても顔や手に出さず、引きずらずに取り戻していけば大丈夫です。

Q. 一人で行くのが不安です。演奏できなくても大丈夫ですか?

A. 大丈夫です。「今日は聴きに来ました」と言って見学するだけでもいい。初めてと伝えると、たいてい歓迎されます。不安なら「初心者セッション」と謳っている所を選ぶと安心です。まずは行くこと自体が大きな第一歩です。

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