テンションコードのゴールは「一覧表を丸暗記する」ことではありません。どのコードにどのテンションが使えるかを法則で自分で導けて、代表的なフォームで押さえられて、スタンダード1曲に当てはめられることです。前提が1つ、やることは5つ。
- 求め方=法則4つ(核は最初の2つ=キーの中の音 × コードトーンの全音上)で導く。表は覚えない
- ドミナントは種類が多い=セカンダリードミナントの一覧と「解決しない7th=9・♯11・13」を手元に置く
- 付け方=基本フォーム(root37)にテンションを足す。足す位置は決まっている(5弦ルート=2弦の9系/6弦ルート=2弦の11・13系と1弦の9)
- フォーム集=レッスンで配っている必須12フォーム(5弦ルート7・6弦ルート5)を覚える
- 枯葉1曲に当てはめる=原コード→使える音→選んだテンション→フォーム
やらないこと(引き算):
✕ 一覧表を丸暗記しない——法則で導けるから、キーが変わっても同じ。
✕ 四和音(基本フォーム)が反射で出ないうちに進まない——テンションコードの多くは基本フォームにテンションを足したもの。
✕ 「どこで・どれを選ぶか」はこのページでは扱わない——進行の中でⅤ7に絞って選ぶ練習は 251進行とテンションの使い分け(準備中) へ。
初心者にとってテンションは必須ではありません——ただ「覚えて弾きたい」という憧れは、脱初心者への入口です。だからこそ順番を守って。
なぜ「覚える」より先に「導く」のか(30秒だけ理屈)
テンションは種類が多く見えますが、使える音の決まり方はたった4つの法則です。法則で導ければ、キーが変わっても、知らないコードが出てきても、その場で答えが出ます。だから順番は、求め方→付け方(足す位置)→フォーム→曲。一覧表を先に丸暗記すると、キーが変わった瞬間に手が止まります。
手順:6ステップ(この順番で)
【1】前提=四和音(基本フォーム)が反射で出ること
テンションコードの多くは、基本フォームにテンションを足したものです。だから土台は maj7・m7・7・m7♭5・dim7 の基本フォーム(5弦ルート/6弦ルート)。ここがまだあやしい人は、先に 4和音の基本フォーム+root37 に戻ってください。テンションは「あってもなくてもいい」もので、プロでも1357の四和音の展開形だけでかなりのサウンド感を出しています。
【2】使えるテンションの「求め方」——暗記せずに導く(レッスン資料と同じ内容)
どのコードにどのテンションが使えるかは、コードごとに丸暗記するものではありません。法則から自分で導けます。ここに書くのは、教室のレッスンで実際に配っている資料と同じ内容です。
まず言葉の整理から。テンションは2種類に分かれます。
テンションの条件(法則4つ)
- 調性の中の音であること(keyのダイアトニック)
- 和音構成音の長2度上の音であること(=コードトーンの2フレット上の音)
- 同音程のナチュラルとオルタードは同時に使えない(例:♭9と9は不可。♭9と11は可)
- ドミナントコードではオルタードテンションも使用可能
実際にやってみます(KeyC・CM7)。CM7のトライアドはドミソ。
- ルート「ド」の全音上=レ → Cメジャースケール内 → 9thとして使える
- 3度「ミ」の全音上=ファ♯ → keyのスケール外 → 使えない
- 5度「ソ」の全音上=ラ → スケール内 → 13thとして使える
この方法をダイアトニックコード全部に当てはめると、次の一覧になります。
※表はKeyCで表記。他のキーでも、法則1・2を当てはめれば同じように導けます。「導けること」が大事で、表そのものは覚えなくて大丈夫です。
【3】ドミナントの求め方=セカンダリードミナントの一覧と「解決しない7th」
ドミナント(7thコード)は、法則4で「オルタードも可」になるぶん使える音が多くなります。曲の中ではⅤ7以外の場所にもドミナントが出てくるので、ここは一覧を手元に置いておくのが早い。
セカンダリードミナント(Ⅴ7以外の場所に出てくるドミナント)ごとの一覧を、レッスン資料から載せておきます。基本は通常のドミナントと同じで全種類使えます。使える音が多いので、実際に音を出してみて気持ちいいテンションを使うのがおすすめ。傾向としては法則1・2に多く当てはまる音の方がよく使われます(♯11は使えますが少し注意が必要です)。
メジャーkeyのセカンダリードミナント(KeyCで表記)
Ⅴ7/Ⅱ(A7→Dm7):ダイアトニック=9th・♯9th・♭13th/その他=♭9th・♯11th
Ⅴ7/Ⅲ(B7→Em7):ダイアトニック=♭9th・♯9th・♯11th・♭13th
Ⅴ7/Ⅳ(C7→FM7):ダイアトニック=9th・13th/その他=♭9th・♯9th・♯11th・♭13th
Ⅴ7/Ⅴ(D7→G7):ダイアトニック=9th・♯9th・13th/その他=♭9th・♯11th・♭13th
Ⅴ7/Ⅵ(E7→Am7):ダイアトニック=♭9th・♯9th・♭13th/その他=♯11th
マイナーkeyのセカンダリードミナント(KeyCマイナーで表記)
Ⅴ7/♭Ⅲ(B♭7→E♭M7):ダイアトニック=9th・13th/その他=♭9th・♯11th
Ⅴ7/Ⅳ(C7→Fm7):ダイアトニック=9th・♯9th・♭13th/その他=♭9th・♯11th
Ⅴ7/Ⅴ(D7→Gm7):ダイアトニック=♭9th・♯9th・♯11th・♭13th
Ⅴ7/♭Ⅵ(E♭7→A♭M7):ダイアトニック=9th・13th/その他=♭9th・♯9th・♯11th・♭13th
Ⅴ7/♭Ⅶ(F7→B♭7):ダイアトニック=9th・♯9th・13th/その他=♭9th・♯11th・♭13th
そしてもう一つ、覚えておくと便利な結論があります。解決しない7thコード(どこへも向かわない7th)は解釈が多岐に渡り色々使えますが、ほとんどの場合 9・♯11・13 のテンションを使います——これはちょうどリディアン7thの音です。
【4】付け方=基本フォームにテンションを足す——足す位置は決まっている
付け方で一番実用的なのは、いま押さえている基本フォーム(root37)に、テンションの音を足すことです。1・3・5・7のどれかを近くのテンションに置き換える考え方もあり、それも正しいのですが、難易度が高く、ドロップ2でテンションを作る手順になります。ここでは「足す」で進めます。
そして、足す音が来る場所は決まっています。5弦ルートなら、root37(ルート=5弦・3度=4弦・7度=3弦)の上の2弦。6弦ルートなら、root37(ルート=6弦・7度=4弦・3度=3弦)の上の2弦と1弦。図にすると、フォーム集12個に共通する法則性がそのまま見えます。
この図の使い方:いま押さえている基本フォーム(root37)の上に、金の場所の音を足すとテンションコードになります。5弦ルートなら2弦が9系(♭9・9・♯9。6th/13thは3弦)、6弦ルートなら2弦が11・13系(♯11・♭13・13)で9は1弦。フォーム集12個は、この位置に音を足しただけの形です。
ここで効いてくるのが前提のフォームです。6弦を中指で押さえるフォームは指が空くので、テンションを足しやすい。別の押さえ方と比べて、こっちが圧倒的に有利で自由度が高いのです。この位置に音を足してできた「よく使う形」を、次のフォーム集にまとめました。
【5】よく使う必須のテンションコード 12フォーム(レッスン資料と同じ)
教室のレッスンで配っている「よく使う必須のテンションコードのフォーム」12個です。5弦ルートが7つ(1弦・6弦は弾かない)、6弦ルートが5つ(5弦は弾かない・⑪だけ1弦も使う)。多くは、基本フォームにテンションを足した形です。
図は横型(上が1弦・下が6弦・フレットは左から右)。ルート=赤、テンション=金、それ以外のコードトーン=紺。フレット番号はCで押さえた場合(5弦ルート=5弦3fr、6弦ルート=6弦8fr)で、形はそのまま平行移動すれば全キーで使えます。
5弦ルート(1弦・6弦は弾かない)
① M7(9)
Cで:5弦3fr=R/4弦2fr=△3/3弦4fr=△7/2弦3fr=9
Ⅰmaj7・Ⅳmaj7に。9thは2弦。
② 6(9)
Cで:5弦3fr=R/4弦2fr=△3/3弦2fr=△6/2弦3fr=9
maj7の7度を下げて6th+9th。古い曲(スウィング期)のⅠに。
③ m7(9)
Cで:5弦3fr=R/4弦1fr=♭3/3弦3fr=♭7/2弦3fr=9
Ⅱm7・Ⅵm7に。④の△3を1フレット下げる(Rの2フレット下)。
④ 7(9)
Cで:5弦3fr=R/4弦2fr=△3/3弦3fr=♭7/2弦3fr=9
ドミナントの基本形。
⑤ 7(♯9)
Cで:5弦3fr=R/4弦2fr=△3/3弦3fr=♭7/2弦4fr=♯9
④の2弦を1フレット上げるだけ。
⑥ 7(♭9)
Cで:5弦3fr=R/4弦2fr=△3/3弦3fr=♭7/2弦2fr=♭9
④の2弦を1フレット下げるだけ。
⑦ 7の2弦=♭9/9/♯9
Cで:5弦3fr=R/4弦2fr=△3/3弦3fr=♭7/2弦2fr=♭9/2弦3fr=9/2弦4fr=♯9
④⑤⑥は同じ形。2弦だけを♭9/9/♯9のどれかに(同時には鳴らさない=法則3)。
6弦ルート(5弦は弾かない・⑪は1弦も使う)
⑧ 7(13)
Cで:6弦8fr=R/4弦8fr=♭7/3弦9fr=△3/2弦10fr=13
6弦ルートの基本形。13thは2弦。
⑨ 7(♭13)
Cで:6弦8fr=R/4弦8fr=♭7/3弦9fr=△3/2弦9fr=♭13
⑧の2弦を1フレット下げる。
⑩ 7(♯11)
Cで:6弦8fr=R/4弦8fr=♭7/3弦9fr=△3/2弦7fr=♯11
解決しない7th(9・♯11・13)の代表形。
⑪ m7(9)
Cで:6弦8fr=R/4弦8fr=♭7/3弦8fr=♭3/2弦8fr=p5/1弦10fr=9
6弦ルートのm7(9)=③の6弦ルート版。9thは1弦(Rの2フレット上)。Ⅱm7・Ⅵm7に。
⑫ M7(♯11)
Cで:6弦8fr=R/4弦9fr=△7/3弦9fr=△3/2弦7fr=♯11
Ⅳmaj7(リディアンの響き)に。
【6】スタンダードで当てはめる——枯葉(Autumn Leaves・B♭)の例
求め方(【2】【3】)で使える音を出し、フォーム集(【5】)で押さえる——この流れを、枯葉(Autumn Leaves)の最初の8小節と後半の1か所で通します。キーはB♭(正確にはGマイナーと考えます)。まずコード譜で、原コードとテンション入りの例を見てください。
小節ごとに、法則で使える音・選んだ音(例)・フォーム集の番号を並べると次のとおりです。
法則で使える音:9・11(13も使えるが7thの音と当たるので注意) 選んだ音(例):9・11 フォーム:③ m7(9)/⑪ m7(9)(6弦ルート)
法則で使える音:9・13(+法則4でオルタードも可) 選んだ音(例):9・13 +alt(オルタードも可) フォーム:④ 7(9)/⑧ 7(13)。オルタードなら⑤⑥⑨
法則で使える音:9・13 選んだ音(例):9・13 フォーム:① M7(9)
法則で使える音:9・♯11・13 選んだ音(例):9・13・♯11 フォーム:① M7(9)/⑫ M7(♯11)
法則で使える音:11・♭13 選んだ音(例):足さない(四和音のまま) フォーム:12フォームには無い→素の四和音で
法則で使える音:SD表 Ⅴ7/Ⅵ=♭9・♯9・♭13(その他=♯11) 選んだ音(例):♭9・♯9・♯11・♭13 フォーム:⑥ 7(♭9)/⑤ 7(♯9)/⑨ 7(♭13)/⑩ 7(♯11)
法則で使える音:9・11 選んだ音(例):9・11 フォーム:③ m7(9)/⑪ m7(9)(6弦ルート)
法則で使える音:ほとんどの場合 9・♯11・13 選んだ音(例):9・♯11・13 フォーム:⑩ 7(♯11)/⑧ 7(13)
見てほしいのは、選んだテンションが【2】【3】の法則と一致していることです。KeyCの表をB♭に読み替えると、Ⅱm7=Cm7、Ⅴ7=F7、Ⅰmaj7=B♭maj7、Ⅳmaj7=E♭maj7。D7はGmへ向かうセカンダリードミナント(Ⅴ7/Ⅵ)なので、SD表の行がそのまま当てはまります。E♭7はどこへも解決しない7thなので、9・♯11・13。
大倉の断言:テンションより先に、四和音でどこまでできるか
「実際のミュージシャンはそこまでテンション使ってない場合のが多い。1357度の4和音での展開形でかなりのサウンド感出せる」。12フォームの多くは、基本フォームにテンションを足しただけ。だから土台の四和音が反射で出るほど、テンションは簡単になります。
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
🎸 今日の練習(これ1つだけ)
枯葉の最初の8小節(Cm7→
① まず素の四和音(基本フォーム)で通す → ② 上のコード譜のテンション入りのコード(例)で、フォーム集の形に置き換えて通す(Am7♭5だけは四和音のまま)→ ③ 1コードずつ、四和音とテンション入りを交互に鳴らして響きの差を聴く。
✅ これができたら次(オープントライアド)へ
- ☐ 法則4つを言えて、CM7=9th・13thを自分で導ける
- ☐ ドミナントは「セカンダリードミナントの一覧」と「解決しない7th=9・♯11・13」で使える音を出せる
- ☐ テンションが来る位置(5弦ルート=2弦の9系/6弦ルート=2弦の11・13系と1弦の9)を言えて、基本フォームに足して押さえられる
- ☐ 必須12フォームを、Cで図を見ずに押さえられる(まず5弦ルートの①〜⑦から)
- ☐ 枯葉の最初の8小節を、コード譜のテンション入り(例)で通せる
- ☐ 足したテンションが、曲の中で濁っていないかを聴き分けられている
└ ※最後の項目だけは、録音しても自己判定が難しい部分です。濁って聞こえたとき、それが音の選び方(テンション)のせいか、押さえ(ミュート)のせいかは、自分では切り分けづらいもの。
法則どおりに置いた9thや13thが、枯葉の流れの中で本当に気持ちよく鳴っているか。ここだけは録音を聴き返しても切り分けにくいので、レッスンでは同じ8小節を一緒に鳴らして確かめます。
よくある質問(FAQ)
Q. テンションコードは、覚えないとジャズは弾けませんか?
A. 結論から言うと、初心者にとっては必須ではありません。まずは四和音の基本フォームで十分に曲が弾けます。「テンションコードを覚えて弾きたい」という憧れは脱初心者への入口ですが、順番は四和音→求め方→フォーム。なお入れた音が曲の中で濁っていないかは、自分では判断しづらい部分です。
Q. 使えるテンションは、どうやって求めますか?
A. 法則で導けます。キーの中の音であること、コードトーンの全音(2フレット)上であること、同じ度数のナチュラルとオルタードは同時に使わないこと、ドミナントではオルタードも使えること。CM7ならルートの全音上のD(9th)と5度の全音上のA(13th)が使えて、3度の全音上のF♯はキーの外なので使えません。表は覚えなくて大丈夫ですが、導いた音が実際に気持ちよく響くかは、弾いて確かめる必要があります。
Q. テンションコードのフォームは、いくつ覚えればいいですか?
A. レッスンで配っている「よく使う必須のフォーム」は12個です。5弦ルートが7つ、6弦ルートが5つで、多くは基本フォームにテンションを足した形です。資料の順に、5弦ルートの7つから覚えていきます。押さえられるようになっても、曲の中でどの形を選ぶかは慣れが要ります。
Q. どのコードにテンションを入れればいいですか?
A. 使える音の求め方はこのページで導けますが、「どこで・どれを選ぶか」は別の練習です。まずは進行の中のⅤ7に絞って、メジャーに解決するか・マイナーに解決するかで選ぶ練習が近道で、それは「251進行とテンションの使い分け」のページにまとめています。
Q. 枯葉のAm7♭5には、どのテンションを付けますか?
A. 法則で導くと11thと♭13thが使えます。ただ、よく使う12フォームにはm7♭5のテンション形がないので、まずは素の四和音(基本フォーム)で弾いて大丈夫です。足すなら、実際に鳴らして響きを確かめるのが確実です。
NEXT LESSON
オープントライアド|三和音を”開いて”弾く、ソロとコードワークの新しい響き →
◀ 4和音の基本フォーム+root37(テンションを足せる土台) | ▶ 251進行とテンションの使い分け(準備中) | ▶ コードトーンのマスター(1357の展開・接続) | ◀ ロードマップ | 🗺 全体地図
独学で進めるのが不安になったら、教室の料金と仕組みだけでも見ておいてください。
大倉ギター教室|大阪市西区南堀江(桜川駅・西大橋駅 徒歩5分/四ツ橋・JR難波も10分圏)