BOSS OC-5 レビュー|オクターバーが“ベース代わり”になる唯一の理由

「ベーシストがいない。でも低音が欲しい」――その悩みに答えてくれる唯一のペダルが BOSS OC-5(オクターバー)です。ポイントは RANGE(レンジ)つまみ=“好きな音域にだけ”オクターブ下を掛けられる機能。これがある市販ペダルはBOSSのオクターバーだけ。低音弦だけをベース化して、ギターとベースをひとりで二役──探しまくった結論として、代わりの利かない1台です。

30秒の結論

  • RANGE機能=指定した音域だけにオクターブ下を付加。5・6弦だけベース化→ベーシスト不在の現場を救う
  • この機能はOC-5・OC-3と、マルチではBOSS GT-1000系にしかない(他メーカーには無い)。
  • 現場のコツは①ベース音はベースアンプへ別出し ②OC-5の前段にコンプ。これで一気に“本物のベース”に近づきます。
  • 使用者はギラッド・ヘクセルマン、ラーゲ・ルンド、カート・ローゼンウィンケル、ロメイン・ピロンなど多数。
  • 市場価格 約2万円(2020年発売の現行機)。
BOSS OC-5 オクターバー(大倉ギター教室)
BOSS OC-5(オクターバー)
目次

BOSS OC-5 とは(オクターブ・ペダルの現行決定版)

OC-5 は BOSS のオクターブ・ペダルの現行機(2020年発売)。原音に対してオクターブ下(2オクターブ下まで)やオクターブ上を重ねられるペダルです。和音にも対応するPOLYモードと、名機 OC-2 のモノフォニック・サウンドを再現したVINTAGEモードを備え、トラッキング(追従)も速い。ギター・ベース両対応です。

そして本機最大の武器が、POLYモードで使える RANGEつまみ「どの音域までオクターブ下を掛けるか」を指定できる機能で、たとえば5・6弦の低音域にだけ効かせれば、低音弦=ベース、高音弦=ギターの素の音という分担がペダル1個で完成します。

BOSS OC-5 の実際のつまみ位置(大倉のセッティング・RANGEで低音弦だけにオクターブ)|大倉ギター教室
大倉の実際のセッティング(つまみ位置)

この機能、本当にBOSSにしかありません

「もっと高音質なオクターバーを使いたい」と他メーカーを探しまくった結論=レンジ指定ができるのはBOSSだけでした(OC-5・OC-3と、マルチではBOSS GT-1000系の内蔵オクターバーのみ)。実はGT-1000内蔵の方が音は良いのですが、本体のバッファーの音がどうしても好きになれず手放し、結局OC-5に戻りました(→ GT-1000CORE レビュー)。音だけなら上があっても、総合ではOC-5――これが長年の結論です。

OC-3 から使い続けて分かったこと

大倉が最初に導入したのは前モデルの OC-3 でした。きっかけはギラッド・ヘクセルマンが使っているのを見たこと。当時から「和音を弾いても個別に検出してくれる」ポリフォニック・モードと音域指定が画期的で、5・6弦だけオクターブ下げてベースのように弾く使い方にハマりました。オクターブ下の音色はどこかオルガンのベースに近い質感で、これがまたジャズに合います。

OC-3 時代から続けているのが「2台のアンプに分ける」運用。OC-5 には原音用とエフェクト音用の出力があり、これを分離すると分離感が劇的に良くなります(1台のアンプにまとめると、どうしても団子になりがち)。この運用が、次章の「ベースアンプ別出し」に進化しました。

“ベース代わり”運用の実際(ひとりで二役)

OC-5 が本領を発揮するのはベーシストのいない編成。とくに歌ものデュオでは決定的で、低音弦でベースライン・高音弦でコードとメロディを弾き分ければ、ふたりの音がバンドのように鳴ります。お客さんから「ベースがいるみたい」「二刀流」「大谷翔平みたいや」と紹介されたことも。大倉自身ベース経験があることも手伝って、今では欠かせない相棒・トレードマークになっています。

現場で効く接続のコツ2つ

① ベース音はベースアンプへ別出し:OC-5 のベース音(エフェクト音)はギターアンプではなくベースアンプに送ると明らかに良い結果になります。ベース側にはリバーブも掛けません。低音の輪郭が立って、本物のベースに一段近づきます。

② OC-5 の前段にコンプ:OC-5 に入る信号を整えてあげると、オクターブ音がすっきり鳴ります。大倉は Empress Compressor MKII を前段に置くことが多いです。さらに上級編として、センドリターンに並列で繋ぎ、ミックスを50%程度にしてレイテンシー(原音の遅れ)を回避する方法もあります(マルチ併用時のテクニック)。

使っているジャズギタリスト

BOSSのオクターバーは現代ジャズギタリストの足元の定番で、ギラッド・ヘクセルマン、ラーゲ・ルンド、カート・ローゼンウィンケル、ロメイン・ピロンらが使ってきました。一時期は「今のギタリストはほとんど使ってたんちゃうか」というほどの普及ぶり。今は手放した人もいますが、使い続けている人も多く、“ギターの音域を拡張する”発想の定番機として定着しています。

なお「ギターを完全にベースの音にする」方向なら、Electro-Harmonix の BASS9 という面白い選択肢もあります(→ EHX BASS9 の記事)。オクターブを“重ねて”音域を広げるOC-5とは似て非なるアプローチです。

こんな人におすすめ

  • ベーシスト不在のデュオ・トリオで演奏する機会が多い人(歌もの伴奏は特に)。
  • ソロギターやルーパー練習で低音の土台が欲しい人。
  • 音域を広げる飛び道具を1個だけ足したい人(弾いていて純粋に楽しいペダルです)。
  • マルチエフェクター派でも「これだけはコンパクトで残す」価値のある1台を探している人。

よくある質問(FAQ)

Q. OC-5 は本当にベースの代わりになる?

A. なります。RANGEつまみで低音弦だけにオクターブ下を掛ければ、低音弦=ベース・高音弦=ギターの分担がペダル1個で完成します。ベース音をベースアンプへ別出しすると、さらに本物に近づきます。ベーシスト不在の歌ものデュオでは決定的に役立ちます。

Q. RANGE(レンジ)機能って何?

A. POLYモードで「どの音域までエフェクトを掛けるか」を指定できるつまみです。高音側はクリアなまま、低音側だけオクターブ下を付加できます。この機能を持つ市販ペダルはBOSSのオクターバー(OC-5・OC-3)と、マルチではBOSS GT-1000系だけです。

Q. OC-3 や OC-2 と何が違う?

A. OC-5 は OC-3 の後継で、トラッキングが向上し、オクターブ上も加えた3オクターブに対応。さらに名機 OC-2 のモノフォニック・サウンドを再現する VINTAGEモードを搭載しています。OC-3 ユーザーだった経験から言うと、基本の使い方はそのままに全体が洗練された進化版です。

Q. 接続順・繋ぎ方のおすすめは?

A. 接続順は歪み・ブースター・コンプの後、空間系の前が基本。コツは①前段にコンプを置いて信号を整える(オクターブ音がすっきりします)②ベース音はベースアンプへ別出し(リバーブは掛けない)の2つです。マルチ併用ならセンドリターンに並列で繋ぎ、ミックス50%程度でレイテンシーを回避できます。

Q. マルチエフェクター内蔵のオクターバーで代用できる?

A. レンジ指定までできるのはBOSS GT-1000系の内蔵オクターバーだけで、音質はむしろそちらが上です。ただ、そのためだけにGT-1000系を選ぶのは大ごとなので、ほとんどの人にはOC-5をボードに足すのが現実解です。「コンパクトじゃないとダメな数少ないペダル」の筆頭です。

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