アドリブ中に G7 が出てきた瞬間、「ここでどう料理すればジャズっぽくなるんだろう」と手が止まる——ドミナント7thの扱いは、独学でつまずきやすいところです。このページでは、ジャズミュージシャンなら誰もが通るG7の定番リックを1つ、動画・TAB譜つきで覚えます。「たくさん弾ける」より先に、この1つを完全に自分のものにするのが近道です。
このリックを覚えると、ドミナント7th(G7)が出てきた瞬間に、ジャズらしい緊張感を一発で作れるようになります。
核は後半二拍の「3度 → ♭9」の跳躍。3度はコードの骨格、♭9はそこに足す緊張の音で、これはチャーリー・パーカー以来の王道です。やらないこと=フレーズを何個も増やそうとすること。まずはこの1つを、後半二拍を変えずに、考えなくても出るまで手に馴染ませてください。
講師演奏
まずは音で。どんなリズム・ニュアンスで弾くのかを、耳で先につかんでください。譜面の音より、このリズムの雰囲気のほうが大事です。
▲ 大倉による講師演奏(G7のリック1)
フレーズ(リック)
G7で使う定番リックの譜面です。コードフォームに沿ったポジションの近くで弾けるようにしていくと、アドリブでも出てきやすくなります。
原型:後半二拍の 3度(シ)→♭9(ラ♭)が心臓部。TABは上が1弦。
このフレーズのポイント
このフレーズはジャズミュージシャンは必ず使用すると言っても過言ではありません。
特に後半の二拍のパターンが重要です。
G7の3rdからb9への跳躍はチャーリーパーカーを筆頭に多くのジャズミュージシャンに愛されてきました。
なぜこの二拍がそれほど効くのか——ここを度数で見ておくと、応用が一気にきくようになります。G7のコードの骨格(コードトーンのマスター|1357の展開・接続・デジタルパターン)は G(1)・B(3)・D(5)・F(♭7)。この「3度(B)」はコードの色を決める骨格の音です。そこから跳ぶ「♭9(A♭)」は、コードの外側にある緊張の音=テンション。つまりこのリックは、「骨格の音 → そこに足す緊張の音」という、ジャズのアドリブでいちばん大事な流れ(アプローチノート入門|コードトーンへ「どう向かうか」の考え方)を、たった二拍でそのまま音にしたものなのです。ドミナント7thはもともと「不安定 → 安定」へ向かう和音なので、そこに♭9のヒヤッとした一瞬を足すと、解決したときの気持ちよさが際立ちます。
「バップの定番リックは、コードトーンとアプローチノートからできていることが多いんです。チャーリー・パーカーがその手法を主に使っていたからです。フレーズを分析すれば、コードトーンとアプローチノートの使い方がよく分かる——お手本みたいなものだと思ってください。」
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
このリックで練習すること
① 度数で理解する(丸暗記にしない)
前半二拍は導入、後半二拍の「3度(B) → ♭9(A♭)」が心臓部です。3度=骨格の音、♭9=足す緊張の音、と度数で押さえておくと、丸暗記せずに済み、あとで自分で改造できるようになります。「なぜ弾いているか」が分かっているリックは、本番でも出てきやすくなります。
8音の度数はこうなっています。前半二拍が レ・レ♯・レ・ド(5度・♯5・5度・11度)、後半二拍が シ・ラ♭・ソ・ファ(3度・♭9・ルート・♭7)。そして次の小節のミ、つまりCの3度に着地します。シからラ♭へは上へ短6度の跳躍で、ここが耳に残る一瞬です。
② 使い所
G7 → C のようにドミナント7thが解決へ向かう場面(メジャーII-V-Iの「V」など)で使います。♭9の緊張が、次のコードへ解決した瞬間の気持ちよさを引き立てます。気に入ったら、他のキーのドミナント7thにも移していきましょう。ギターはキーを変えると運指の問題が出てくるので、まずは弾きやすいキーだけでかまいません。
③ 変奏(フレーズを変えてみる)
自由に歌えるようになるように、このフレーズの前半の二拍を変更してみましょう。後半二拍(3度→♭9)は動かさないのがコツです。ここが命なので固定し、前半だけを差し替えます。
変更1:前半二拍だけを差し替え(♭7のファから下がって入る)。後半二拍は原型と同じ。
変更2:前半二拍だけを差し替え(3度の半音下、ラ♯から入る)。後半二拍は原型と同じ。
差し替えた前半二拍の中身です。変更1は ファ・レ♯・レ・ド(♭7・♯5・5度・11度)。♭7から下りてきて、そのまま3度のシへ入ります。変更2は レ・ド・ラ・ラ♯(5度・11度・9度・♯9)。3度のシの半音下から上がって入る形で、アプローチノートの基本どおりです。どちらも後半二拍は原型のまま、指一本ぶんも動かしていません。
上の例はよく使用されるパターンです。この他にも変形の例は沢山考えられるので、自分の形を作ってみましょう。
練習の手順:
- バッキングトラック(G7 → C など)を流し、まずは原型をひたすら弾く。後半二拍は必ずこの形で。
- 手に入ってきたら、前半二拍を1パターンだけ差し替える(上の変奏例)。
- それも入ったら、また別の前半に差し替える。少しずつ手数を増やしていく。
- 目標は「考えなくても、自然と出てくる」状態。ワンパターンでも、ソロになっていれば十分です。
大倉の断言:「覚えた」というのは、いつでも自由に使える・考えなくても出てくる・いろんなキーで弾ける・改造できるようになること。単に弾けるようになっただけでは、覚えたうちに入りません。だから焦らなくて大丈夫。── 大倉(講師歴20年)
次に読む・あわせて弾く(ドミナント系リック)
- 🎸 ドミナントリック2[オルタードリック](トライアド分解で覚えるパターン)
- 🎸 コンディミを使用したドミナントリック(対称形で移せるパターン)
- 🗺 ジャズギターのアドリブ手法(コードトーン→アプローチ→リック)(コードトーン → アプローチ → リックの全体像)
この1つのリックを「自分の言葉」にするところまで、一緒に
覚えたつもりでも、本番で出てくるか・ジャズのリズムで弾けているかは、自分では判断しにくい部分です。実際に弾いてもらえば、直すところはだいたい分かります。手ぶらでOK。楽器はこちらで用意します。
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