21212アルペジオは、4和音のアルペジオを「1本の弦に2音→1音→2音→1音→2音」で弾く運指です。ギタリストのティム・ミラー(Tim Miller)の「2-1-2アルペジオ」で、整理されているので弾きやすく、応用の幅もかなり広い——コードトーンだけでなくスケールにも使えて、かなり面白いサウンドが得られます。私はレッスンで、必要な生徒に紹介しています。
上級編で、必須ではありません。コードトーンの練習メニューの2つの形を覚えたあとに、弾き方を変えるつもりで試してください。やることは5つです。
- 5弦ルートの形を覚える(5種類・Cで)
- 弾き方:2音の弦はハンマリング、ピッキングは1本の弦に1回
- 6弦ルートの形も覚える(5種類)
- 練習の順番:ゆっくり→4つ目の音に少しアクセント。テンポは決めない。目標は自由に使えること
- フラグメント:実際の演奏では一部分を切り出して、フレーズに使う
やらないこと(引き算):
✕ 練習メニューの2つの形より先にやらない——21212はそこから派生した弾き方です。
✕ ピッキングの型にこだわらない——ティム・ミラーの運指ですが、実際は柔軟でいい。ピックだけでも大丈夫です。
✕ テンポを決めない——目標は速さではなく、自由に使えることです。
2回目からは「🎸 今日の練習」へ直行でOK。
21212とは(30秒だけ理屈)
21212は、4和音(1・3・5・7)のアルペジオを、1本の弦に2音、次の弦に1音、また2音、また1音……と並べて弾く運指です。5弦ルートなら5本の弦に2・1・2・1・2で、21212。私の動画では「2121」と呼んでいますが、正確には21212です(6弦ルートなら2・1・2・1・2・1)。
ギタリストのティム・ミラーの弾き方で、本人の教本の題は『2-1-2 Arpeggio Technique』(教室にも置いています)。本人が一部を公開しているので、私の動画でも紹介しました。特別なことではありませんが、整理されているので弾きやすく、応用の幅もかなり広い。コードトーンだけでなくスケールにも応用できて、かなり面白いサウンドが得られます。
▶ 動画で見る:4和音のアルペジオを楽に弾く運指(動画では「2121」)
Dm7で、運指とピッキングを実際に弾きながら説明しています。
実は、練習メニューで覚えた形とほとんど同じです。違うのは3度を弾く場所だけ。5弦ルートなら、低いポジションの形をルートから弾き、4弦の3度を5弦で取る(練習メニューに書いた「運指の別案」)と、そのまま21212になります。6弦ルートも、高いポジションの形の3度を6弦で取り、1弦のルートで止めると同じ並びです。
新しい形を覚えるというより、覚えた形の弾き方を変える——だから派生の弾き方で、上級編です。
手順:5ステップ(この順番で)
【1】5弦ルートの形を覚える(5種類)
まずは5弦ルート。Cで押さえた例で、ルートは5弦3フレットです。5弦から1弦へ、2音・1音・2音・1音・2音=21212。図の外にある「音数」の列が、その弦で弾く音の数です。
作り方は練習メニューと同じで、メジャー7から下げるだけ(7th=7度、マイナー7=3・7度、マイナー7♭5=3・5・7度、dim7=さらに7度をもう半音)。弦ごとの音の数は、5種類とも変わりません。
図の見方:上が1弦・下が6弦、数字はフレット。赤=ルート、紺=それ以外。金の輪=ルートと同じ弦で取る3度(練習メニューの形との違いはここだけ)。度数の 3=長3度、7=長7度、♭♭7=dim7の7度(押さえる場所は長6度と同じ)。
【2】弾き方:2音の弦はハンマリング、ピッキングは1本の弦に1回
ピッキングも、ティム・ミラーの弾き方です。賛否が分かれるところですが、効率よく弾くために、ピッキングが独特です。動画と同じ形を2フレット下げたCm7で書きます(動画はDm7・5弦5フレットから)。
譜例1(Cm7・5弦ルートを上って下りる):TABの上の記号=↓ピックでダウン、↑ピックでアップ、m中指で弾く、Hハンマリング、Pプリング。TABの下は度数。
下り:全部アップ。2音の弦は1音目だけを弾いて、2音目はプリング。
どちらも、1本の弦につき、ピッキングは1回だけです。
これも練習は必要ですが、慣れると楽です。ピックと指の併用(ハイブリッドピッキング)は、今は主流の弾き方です——基礎まとめでも触れています。
【3】6弦ルートの形も覚える(5種類)
6弦ルートは、6弦8フレットがルート。6弦から1弦へ、2音・1音・2音・1音・2音・1音で、最後は1弦のルートで終わります。弾き方は5弦ルートと同じ考え方——2音の弦はハンマリング、ピッキングは1本の弦に1回です。
図の見方は5弦ルートと同じ。金の輪=ルートと同じ6弦で取る3度。
譜例2(CM7・6弦ルートを上って下りる):上りは9音(最後は1弦のルート)、下りは2弦から。記号は譜例1と同じ。6弦のルート→3度と、2弦の5度→7度がどちらも4フレット離れるので、指を大きく開きます。
【4】練習の順番:ゆっくり→4つ目の音にアクセント
練習は、まずゆっくり。慣れてきたら、4つ目の音に少しアクセントを付けます(譜例1なら、3弦3フレットのシ♭)。テンポは決めません。目標は速さではなく、自由に使えることです。
ここまでの譜例は、形を覚えるために端から端まで(フルレンジで)弾いています。実際の演奏では、次の【5】のように一部分を使います。
【5】フラグメント:一部分を切り出してフレーズに
実際の演奏では、フルレンジのアルペジオを使うことは少なく、一部分を使ってフレーズにします。ティム・ミラーは、これをフラグメントと呼んでいます。形が手に入ったら、曲のコードでも、一部分を切り出して試してみてください。ほかのコードも、すべて同じ考え方で弾けます。
譜例3は、Cm7(5弦ルート)の形から一部分を切り出した例です。
譜例3(Cm7・5弦ルートのフラグメント):1小節目は形を端から端まで。2小節目は下の半分(5〜3弦)、3小節目は上の半分(3〜1弦)だけを切り出します。4・5小節目は上の半分を上って下りる形を、繰り返して続けます。TABの下は度数。
ティム・ミラーのメソッドでは、コードトーン以外の音も使っていきます。譜例4は、同じ2・1・2・1・2の並びのまま、3か所の音を変えた形です(4弦のソ→ラ、2弦のミ♭→ファ、1弦の2音目のシ♭→ラ)。
譜例4(同じ並びで、コードトーン以外の音も):金の太字=コードトーン以外の音(11=ファ、13=ラ)。1小節目は端から端まで、2小節目は下の半分(5〜3弦)、3小節目は上の半分(3〜1弦)。
どの音をどう使うかは、レッスンで詳しくやっています。
大倉の断言:目標は、自由に使えること
21212は、覚えた形の弾き方を変えるだけで、4和音のアルペジオがぐっと楽になる弾き方です。テンポは決めず、ゆっくりから。自由に使えるところまで行けば、それで十分です。
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
🎸 今日の練習(これ1つだけ)
Cm7の5弦ルートを、譜例1のとおりに上って下りる。中指が難しければ、ピックだけで構いません。
できたら明日は同じ5弦ルートでCM7(3度と7度が半音上がるだけ)。そのあと6弦ルート(譜例2)へ。このページをブックマークして、明日もここから始めましょう。
✅ ここまでできたら——あとは自由に使う段階です
☐ 6弦ルートの5種類も弾ける
☐ 上りは2音の弦をハンマリング、下りは全部アップで、1本の弦に1回のピッキングで弾ける(ピックだけでも可)
☐ 4つ目の音に少しアクセントを付けて、上り下りを続けられる
☐ 形の一部分(フラグメント)を切り出して、フレーズに使える
☐ 曲のコードに合わせて、21212の形を自由に使える
本線はこちら:21212は派生の弾き方です。コードトーンの練習の本線は、リズムを固定して転回する練習と、次のコードの一番近い音へ繋ぐ練習です。
21212は、私がレッスンで必要な人にだけ紹介している弾き方です。紹介した日の内容はカルテに残すので、家でも見返せます。
よくある質問(FAQ)
Q. ピックだけで弾いてもいいですか?
A. 大丈夫です。中指を使う弾き方はティム・ミラーの運指ですが、実際は柔軟に対応していいと感じています。中指が難しければ、普通にピックで弾いてしまえば大丈夫です。
Q. 練習メニューの2つの形と、どちらを先に覚えますか?
A. 練習メニューの2つの形が先です。21212はそこから派生した弾き方で、違うのは3度を弾く場所だけ。形を覚えてから、弾き方を変えるつもりで試してください。必須ではありません。
Q. どんな人に向いていますか?
A. 全員がやる練習ではありません。私はレッスンで、必要な生徒に紹介しています。面白い弾き方なので、人によっては刺さります。
Q. 速く弾くための練習ですか?
A. 速さが目的ではありません。テンポは決めず、まずゆっくり。慣れたら4つ目の音に少しアクセントを付けます。中指を使わずピックだけでも、困らない速さでは弾けるようになります。目標は、21212の形を自由に使えるようになることです。
Q. ほかのキーやコードでも使えますか?
A. 使えます。ほかのコードも、すべて同じ考え方で弾けます。このページはCで書いていますが、形をずらせばどのキーでも同じです(動画のDm7は、Cm7の5弦ルートの形を2フレット上げたものです)。
Q. いつも端から端まで(フルレンジで)弾くのですか?
A. 実際の演奏では、フルレンジのアルペジオを使うことは少ないです。一部分を切り出して、フレーズに使います。ティム・ミラーは、これをフラグメントと呼んでいます。
Q. スケールにも使えますか?
A. 使えます。応用の幅がかなり広く、コードトーンだけでなくスケールにも応用できて、かなり面白いサウンドが得られます。
NEXT LESSON
◀ コードトーンの練習メニュー(2つの形) | ◀ コードトーンの覚え方と練習の順番 | ▶ 基礎まとめ(ピッキング) | 🗺 全体地図
独学で進めるのが不安になったら、教室の料金と仕組みや予約の取りやすい曜日・時間帯だけでも見ておいてください。
大倉ギター教室|大阪市西区南堀江(桜川駅・西大橋駅 徒歩5分/四ツ橋・JR難波も10分圏)