ギターシールドの自作|必要な工具・はんだ・作り方を現役プロが解説

ギターのシールド(ケーブル)は、実は自分で作れます。しかも一度できるようになると、コスパが圧倒的で、もう普通の値段で買う気がしなくなるほど。好きな長さで作れて、断線したら自分で直せて、こだわりのパーツも選べる――いいことだらけです。

この記事では、シールドを自作するメリット・必要な工具・はんだ(ハンダ)の選び方・作り方の流れ・おすすめのプラグとシールド線まで、現役プロが実際に作って使ってきた知識をまとめます。ハンダ付けは練習が要りますが、難しすぎることはありません。1本あたり30分〜1時間もあれば作れます。

30秒の結論

  • 自作のメリットは「好きな長さ・コスパ・こだわりパーツ・自分で修理できる」の4つ。Belden 8412 なら市販の約半値(2,000円弱)で作れます。
  • 絶対に必要な工具は半田ごて・ハンダ・ニッパー・カッターナイフ。半田ごては一番安いもので十分です。
  • ハンダは基本なんでもOK(100均でも可)。定番は「ケスター44」、私の愛用は Dutch Boy のオールド。ただし音より“ハンダ付けの腕”のほうが大事です。
  • 仕上げに熱収縮チューブを使うと、プラグ根元が補強されて断線しにくくなります。
  • ハンダが苦手なら、ハンダ不要のソルダーレスという選択肢も。教室では製作のご依頼・お手伝いも受けています。
目次

ギターシールドを自作する4つのメリット

① 好きな長さで作れる
2mのシールドや、パッチケーブルの微妙な長さなど、既製品にはない「いま自分に必要な長さ」で作れます。

② コストパフォーマンスが圧倒的
これは本当に大きい。例えば定番の Belden 8412 は楽器店で3m・約4,000円ですが、同じスペックで自作すると――シールド線(切り売り)約480円×3m=約1,440円+プラグ約250円×2=約500円で、同じものが約半値の2,000円弱で作れてしまいます。他のシールドも計算すると、だいたい2倍くらいの価格差がありました。

③ こだわりのパーツを使える
主にプラグですが、いろいろなメーカーから様々な種類が出ています。既製品はだいたい同じようなパーツなので、自分好みの機能やデザインを選べるのは自作ならでは。

④ 自分で修理できるようになる
構造と仕組みが分かるので、接触不良も15分もあれば自分で直せます。シールドの調子が悪くなるたびに捨てて買い替える人がいますが、非常にもったいない(昔はそういう人からよくもらっていました)。すぐ使わなくても、パーツに分けて取っておくと後で使えて便利です。

自作に必要な工具

絶対に必要なもの

  • 半田ごて
  • ハンダ
  • ニッパー
  • カッターナイフ(または線の被膜を剥く「ワイヤーストリッパー=線剥き機」があると楽)

あると便利なもの

  • ハンダ吸い取り線
  • シールドチェッカー(導通チェック用)
  • ピンセット
  • BOSSのコンパクトエフェクターのような“ジャックのある箱”(プラグを挿して固定しながら作業できるので、作りやすさが段違い)

絶対に必要なものは揃えましょう。これらはギターの配線をいじるときにも使えるので、持っておいて損はありません。道具さえ揃えば、あとは低コストで作れます。

はんだごて・はんだの選び方

半田ごては一番安いもので十分です。高いものには温度調整機能などが付いていますが、精密機器を作るときに使う機能なので、ケーブル製作には必要ありません。

ハンダは基本なんでもいいです。厳密にはハンダの種類で音は変わるのですが、100均にも置いてあるもので十分。一般的に楽器・エフェクターに使われる定番は「ケスター44」です。私は人に頼まれて製作するものにはケスター44を使っていますが、自分用にはDutch Boy(ダッチボーイ)のちょっとオールドのハンダが好きで、それを毎回使っています。

ただ正直に言うと、私自身はハンダの音の違いを比較してもよく分かりませんでした(笑)。それよりも、ハンダ付けの腕を磨くことが、いい音のするシールドの一番のコツだと思います。こだわりたい人はケスター44から試してみてください。

作り方の流れと、仕上げのコツ(熱収縮チューブ)

大まかな流れは、①シールド線を必要な長さにカット → ②被膜を剥いて中の芯線と「編組シールド(網状の線)」を分ける → ③編組シールドをまとめてよじる → ④芯線と編組シールドをプラグの所定の端子にハンダ付け → ⑤導通チェック、という順番です。

ここで覚えておきたいのが編組シールド(あみ線)の処理。被膜の中の網状の線をきれいにまとめてよじり、芯線とショートしないように処理してからハンダ付けします。ここが雑だとノイズや接触不良の原因になります。そして仕上げに、プラグの根元に「熱収縮チューブ」をかぶせて熱で縮めると、配線が保護されて根元の断線に強くなります(一番断線しやすいのがプラグの付け根なので、ここの補強は効果的です)。

所要時間と、初心者へのアドバイス(失敗談つき)

1本作るのにかかる時間は、準備と片付けを含めて30分〜1時間。難しすぎることはないので、まずは一度試してみてください(使うジャックによっては少し難易度が高いものもあります)。

よくある失敗は、できたと思っても音がしっかり出ない・ハンダが甘くて使っているうちにハンダが取れて断線すること。ここは練習あるのみです。最初は1本ダメにするくらいのつもりで、ハンダ付けに慣れていきましょう。

ハンダが苦手なら「ソルダーレス」という手も

「ハンダ付けはどうしても苦手…」という人には、ソルダーレス(solderless=ハンダを使わない)ケーブルという選択肢があります。専用のプラグとケーブルを使い、ネジ留めなどでハンダなしに組み立てられるタイプです。工具も最小限で済み、長さの調整もしやすいのがメリット。

私自身、ライブ現場でケーブルが断線したとき、ソルダーレスのおかげでお店のハサミを借りてその場で修理できたことがあります(六角レンチさえ持っていれば直せました)。エフェクターボードのパッチケーブルにも向いています。ハンダ付けのハードルが高いと感じるなら、まずソルダーレスから入るのもアリです。

おすすめのプラグ

本当にたくさんの種類が売られていますが、私がよく使うおすすめを紹介します。

  • ノイトリック(Neutrik)のプラグ:最近ではハイエンドのシールドにもよく採用されているプラグで、非常に頑丈で使いやすい。私自身、このプラグでのトラブルは一度もありません。普段使いのプラグはほぼこれで統一しています。
  • サイレントプラグ:プラグにスイッチが付いていて、アンプのボリュームを下げなくても抜き差しできる優れもの(ギターに挿さっているときだけ信号が通ります)。片方だけこれにしておくだけでも便利です。詳しくは サイレントプラグについて にまとめています。

おすすめのシールド線(キャラクター比較)

まずは定番から使ってみましょう。私が実際に自作して使ってきたシールド線を、音のキャラクター付きで紹介します。

  • Belden 8412:低域・中域にピークがあり、ギターとの相性が非常に良い。一番スタンダードなシールドです。
  • モンスターケーブル:品番にもよりますが、基本的に低域をブーストしたような感じ。頑丈な印象です。
  • オヤイデ電気(Oyaide):オーディオ用ケーブルがメインの会社。フラットな特性で、レンジの広いクリアな音。私が今メインで使っているケーブルの一つです。
  • ジョージL’s(George L’s):201という品番が細いシールドで、使っている人が多い。音質はフラットでクリア。細くて取り回しがいいので、エフェクターボードやスイッチャーのパッチケーブルとして使うのが主になります。
  • モガミ(MOGAMI):Belden 8412 と似た特性ですが、ベルデンよりちょっとだけクリアな音になります。
  • カナレ(CANARE):誰もが一度は使ったことのある定番で、他に比べて非常に安い。音は特に特徴がないので「とりあえず」という人にはおすすめです。

この他にもありますが、手に入りにくいものやマニアックなものになるので今回は割愛します。各ケーブルの選び方・長さ・プラグの基礎は ギターシールドの基礎知識 もあわせてどうぞ。

製作のご依頼・レッスンでの実演も

「興味はあるけど、自分でハンダ付けは不安…」という方へ。教室ではシールドの製作のご依頼や、作り方のレッスンでの実演も受けています。通ってくださっている生徒さんには材料費のみで製作することもありますし、リクエストがあればレッスン内で一緒に作ることも可能です。サイレントプラグ付きの特注ケーブルなども相談してください。

よくある質問(FAQ)

Q. シールドを自作するメリットは?

A. 好きな長さで作れる・コスパが圧倒的(Belden 8412なら市販の約半値)・こだわりのパーツを選べる・自分で修理できるの4つです。特に、接触不良を15分で直せるようになるのは大きなメリットです。

Q. 自作に必要な工具は?

A. 絶対に必要なのは半田ごて・ハンダ・ニッパー・カッターナイフ。半田ごては一番安いもので十分です。あると便利なのはハンダ吸い取り線・シールドチェッカー・ピンセット、そしてプラグを固定できるジャック付きの箱(BOSSのコンパクトエフェクターなど)です。

Q. ハンダは何を使えばいい?

A. 基本なんでもOKで、100均のものでも十分です。定番は「ケスター44」。厳密には音が変わるとされますが、それよりもハンダ付けの腕のほうが音への影響が大きいです。まずは付け方の練習を優先してください。

Q. 熱収縮チューブは必要?

A. 必須ではありませんが、あると断線に強くなります。プラグの根元に熱収縮チューブをかぶせて熱で縮めると、一番断線しやすいプラグ付け根が補強されます。仕上げに使うのがおすすめです。

Q. ソルダーレスケーブルとは?

A. ハンダを使わずに組み立てられるケーブルです。専用プラグをネジ留めなどで固定するタイプで、工具が最小限で済み、長さの調整も簡単。ハンダ付けが苦手な人や、エフェクターボードのパッチケーブルに向いています。現場での応急修理にも便利です。

Q. 1本作るのにどれくらいかかる?

A. 準備と片付けを含めて30分〜1時間が目安です。難しすぎることはありませんが、ハンダ付けは練習が必要。最初はうまく音が出なかったり、ハンダが甘くて断線したりするので、慣れるまで何本か練習するつもりで取り組んでください。

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ケーブルの自作、教室で一緒にやれます

大阪・西区(南堀江・桜川/なんばからも近い)の教室では、シールドの製作・お手伝い・作り方の実演をしています(生徒さんは材料費のみ/サイレントプラグ付きの特注も相談可)。「自分のボードに合う長さで作りたい」など、機材まわりのことも気軽にどうぞ。手ぶらで通える本格レッスンです。

体験レッスンのお問い合わせ →

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