スケール練習、クロマチック、地味な反復——やった方がいいのは分かっている。でも、つまらない。気づけばギターを手に取る回数が減って、「自分は続かない人間なんだ」と落ち込む。これはあなたの意志の弱さの問題ではありません。基礎練がつまらないのはほとんどの人が通る場所——教室でも、基礎練・スケール練習はつまらないと感じる人が本当に多いです。問題はつまらなさとの付き合い方——ここには、ちゃんと順番があります。
つまらない基礎練を、歯を食いしばって続ける必要はありません。
基礎練はやっておいた方がいい。でも「どうしても苦痛で仕方ない練習は、やらない方がマシ」——嫌々やる練習は、思い切って捨ててください。大事なのは、つまらない基礎を根性で埋めることではなく、楽しく弾ける時間の中に基礎を混ぜていくこと。そして「毎日やらなきゃ」という強迫観念を手放すこと。楽しんで弾いているうちに、いつの間にか練習になっている——それが一番続きます。
「続かない」の裏にある“あるある”は、だいたいこの4つ
たいてい複数当てはまります。そして「いま我慢しているその練習が、自分に本当に必要な苦痛かどうか」は自分では見分けにくい——これがこの記事の最後の話です。
あるある1|スケール練習がとにかく退屈で、手が止まる
こんな状態:スケールを上下に往復する、クロマチックを延々と弾く、コードトーンをひたすら反復する——「大事だ」と分かってはいる。でも音楽をやっている感じがしなくて、10分ももたずに手が止まる。真面目にやろうとするほど、ギターを開くのが億劫になる。
なぜ起きる:単純に、基礎練は多くの人にとってつまらないものだからです。スケールに限らず、たとえばコードトーンの基礎練でも、最初は順調でも段々と飽きてきて、そのまま挫折してしまうパターンがよくあります。つまり、あなたが飽きっぽいわけではなく、そういうものなのです。つまらないのが当たり前だと知らないまま「続かない自分が悪い」と責めるところに、無理があります。
回避策
基礎練だけを孤立させて根性でこなそうとしないこと。おすすめは、楽しく弾いている時間の中に基礎を混ぜる方向です。理想は「練習しているという感覚もなく、ただ好きなことを好きなようにやっているのが、いつの間にか練習になっている」状態。たとえば好きな曲を弾く中でそのスケールを使う、コードトーンを実際のフレーズに落とし込む——楽しさの手前に基礎を置くのではなく、楽しさの中に基礎を溶かすと続きやすくなります。
「基礎練はやっておいた方がいい。でも、どうしても苦痛で仕方ないのであれば、やらない方がマシです。嫌々するような練習は、やめた方がいい。」
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
あるある2|「毎日やらなきゃ」で、逆にギターから離れる
こんな状態:「毎日練習しないと下手になる」と思い込んで、1日でもサボると罪悪感が湧く。その罪悪感がしんどくて、かえってギターケースを開けられなくなる。真面目な人ほど、この“べき論”に締めつけられます。
なぜ起きる:「毎日練習しなければならない」という強迫観念が、音楽との距離を近づけすぎるからです。この強迫観念は、ない方がいい——はっきり言い切れます。音楽とはある一定の距離感を保って付き合うのが長続きのコツで、時期によって距離は変わっていい。近づきすぎると、かえって嫌になって離れてしまいます。
回避策
「毎日やらなきゃ」を、まず手放す。付かず離れず、無理せず続けるのでいい。仕事が忙しい時期は離れて、時間や心に余裕ができた時にまた戻ってくる——そういう波があっていいし、その方がむしろ長く豊かに続きます。一方で、ある時期は集中的に練習した方が伸びる局面もあります。要は「毎日ゼロか百か」ではなく、時期ごとに距離を調整するという発想です。続ける仕組みそのものは 練習を習慣にするコツ でも扱っています。
あるある3|苦痛を我慢して続けて、ギターが嫌いになりかける
こんな状態:「これをやらないと上達しない」と信じて、楽しくない練習を歯を食いしばって続けている。上達より先に、ギターそのものが好きでなくなっていく感覚がある。これは一番避けたいパターンです。
なぜ起きる:「つらい練習ほど価値がある」という思い込みが根にあります。でも、考え方は逆です。苦痛で仕方ない練習は、やらない方がマシ。音楽を長く続けるために一番大事なのは、技術ではなく「ずっと好きでいられること」。嫌いになってまで続けた練習は、その一番大事なものを削ってしまいます。
回避策
「好きでいられるか」を最優先の物差しにする。ただし、ひとつ注意があります。やっているうちに、だんだん楽しくなってくる練習もあるので、食わず嫌いで切り捨てるのはもったいない。だから、とりあえず1回やってみることが大事。まず1回試す→それでも苦痛なら手放す——この順番なら、続けるべき練習と捨てていい練習を、感情に流されずに仕分けできます。
「楽しんでいると、練習しているという感覚もなくて、ただ好きなことを好きなようにやっているのが、練習になっていることもあります。それが一番いいんです。」
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
あるある4|上達の実感がなくて、続ける意味を見失う
こんな状態:練習はしている。でも変わり映えせず、上手くなっている手応えがない。弾くものが同じところをぐるぐる回っているだけに感じて、だんだん飽きて、続ける意味が分からなくなる。
なぜ起きる:理由は2つあります。ひとつは、練習してもなかなか上手くならない時期は、そもそも誰にでもあること。停滞は才能の限界ではありません。もうひとつは練習量です。あまり練習しない人はなかなか上手くなれず、ずっと同じところをぐるぐる回って、飽きて嫌になる。実感が出るほどには積み上がっていない、という単純な事情のこともあります。
回避策
上達しない時期は、そんなに期待せずに練習を繰り返すのがいい。「うまくなろう、うまくなろう」と思い詰め続けるとしんどいので、楽しんで弾きながらでいい。そして、少しでもアドリブが弾けてくると景色が変わります。ジャズっぽいフレーズが自分から生まれてくるのが分かると、どんどん楽しくなってモチベーションも上がりやすい。基礎を「実感の出る楽しさ」に橋渡しする一歩が、アドリブで手が止まる にまとめてあります。
つまらなさは、独学でどこまで乗り越えられる?
教室のサイトですが、独学を否定するつもりはありません。正直に線を引きます。「続ける工夫」は、独学でかなりのところまでできます。本当に一人では埋めにくいのは、下の表の「一人では見極めにくいこと」——その苦痛を続けるべきか手放すべきかの見極めです。
○ 独学でここまでできる
- 「毎日やらなきゃ」の強迫観念を手放す(考え方を変える)
- 楽しく弾く時間の中に基礎を混ぜる工夫
- 苦痛な練習を「1回試してから捨てる」という仕分けの習慣
- 音楽と付かず離れずの距離感をつくる
● 一人では見極めにくいこと
- その苦痛が「必要な退屈」か「要らない練習」か(ここが核です)
- いまが「離れていい時期」か「集中すべき時期」か
- 停滞が「誰にでもある時期」なのか「中身・順番の問題」なのか
- 次の練習に進んでいいタイミングの判断
「一人では見極めにくいこと」は「頑張れば独学でもできる」項目ではなく、構造的に一人では判定しにくい項目です。つまらなさを我慢し続けるかどうかを、独りで抱えて決めなくていい、ということです。
「一人では見極めにくいこと」の4つのうち、あなたに引っかかったのはどれでしたか。「1回試してから捨てる」までは一人でできても、その線引きだけが残ります。レッスンではその練習を聴かせてもらって続けるか手放すかを一緒に決め、振り返りはカルテに残して家で見返せるようにしています。
よくある質問
Q. 基礎練やスケール練習がつまらないのは、自分だけですか?
A. あなただけではありません。基礎練・スケール練習はつまらないと感じる人が多く、これはごく普通のことです。つまらないのが当たり前だと知っておくだけで、「続かない自分が悪い」と責めずに済みます。
Q. つまらない基礎練は、我慢して続けるべきですか?
A. どうしても苦痛で仕方ない練習は、やらない方がマシです。嫌々やる練習はやめた方がいい。ただし、やっているうちに楽しくなる練習もあるので、まず1回試してみて、それでも苦痛なら手放す——という順番がおすすめです。
Q. 毎日練習しないと下手になりますか?
A. 毎日練習しなければならないという強迫観念は、ない方がいいです。音楽とはある一定の距離感を保って、付かず離れずで付き合うのが長続きのコツ。忙しい時期は離れ、余裕ができたら戻る——その波があっていいですし、その方がむしろ長く続きます。
Q. 練習しても上達の実感がなく、続ける意味を見失います。
A. 練習しても上手くならない時期は誰にでもあります。そういう時期はあまり期待せず、楽しんで弾きながら練習を繰り返すのがいいです。少しでもアドリブが弾けてくると、ジャズっぽいフレーズが生まれる楽しさが分かり、モチベーションが上がりやすくなります。
Q. どうすれば基礎練が続きますか?
A. 基礎練だけを孤立させて根性で続けようとしないことです。楽しく弾いている時間の中に基礎を混ぜて、「練習している感覚もなく、好きなことをやっているのがいつの間にか練習になっている」状態を目指すと、一番続きます。
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