メロディックマイナー・スケール|オルタード・リディアン7thの”親”

🔖 現在地:応用スケール(上級)> メロディックマイナー・スケール(オルタード・リディアン7thの”親”)

メロディックマイナーのゴールは、オルタードやリディアン7thを「別々のスケール」として1つずつ暗記することではありません。メロディックマイナーを1つ弾き込めば、開始音を変えるだけで、どちらも”同じ並びの別名”として手に入ります。メジャーダイアトニックのチャーチモード(ドリアンなどがメジャースケールの開始音違い、という考え方)と同じです。やることはこの5つ、順番どおりに。

  1. メジャースケールとの違いは1つだけ=3度が半音下がる、を体で覚える
  2. 弾き慣れたキー(C・F・G など)で、メロディックマイナー本体をポジション化する
  3. 派生を「開始音」で理解する=オルタード=半音上リディアン7th=5度上のメロディックマイナー
  4. オルタード・リディアン7thは表暗記ではなく定番フレーズ(リック)から入る
  5. 実際のコードで判断する=解決しない7th→リディアン7thマイナーへ向かうV7→オルタード

やらないこと(引き算):

オルタード・リディアン7thを別スケールとして表から全ポジション暗記しない——結局メロディックマイナーの派生です。
ハーモニックマイナーを先にやらない——順序はメジャー→メロディックマイナー→その次にハーモニック。ここでは混ぜません。
全キーを一気にやらない——まずはC・F・G・B♭・E♭など、よく使うキーから。

ここは3本の柱(アプローチノート・コードトーン・メジャースケールの基礎)が身についてから取り組む、上級向けの内容です。モーダルインターチェンジとも絡みます。焦らずどうぞ。

📍 このページの目次: なぜ”派生スケール”を1つずつ覚えないのか 手順:5ステップ 🎸 今日の練習 ✅ 到達チェック FAQ

2回目からは「🎸 今日の練習」へ直行でOK。

なぜ”派生スケール”を1つずつ覚えないのか(30秒だけ理屈)

ジャズで使う「難しそうなスケール」――オルタード、リディアン7th。名前が多くて挫折しがちですが、実は種類はそんなにありません。オルタードもリディアン7thも、根っこはぜんぶメロディックマイナー1つ。開始音が違うだけで、中身の音使いは同じです。だから「派生を1つずつ暗記する」のではなく、親であるメロディックマイナーを弾き込む——これが遠回りに見えていちばんの近道です。

大倉の断言:コンテンポラリー(ビバップ以降)系のジャズでは、「メロディック・マイナーがもう主役みたいな感じです」。ここに、よく使うリディアン7thもオルタードも含まれています。── 大倉(講師歴20年)

手順:5ステップ(この順番で)

⚠ やりがちな無駄練習:「オルタードやリディアン7thの表を見ながら、いきなり全ポジションを上下する」。このあたりのスケールは、表を見て弾いてもかっこよくは弾けません。解毒は2つ——①親のメロディックマイナーを弾き込む/②派生は定番フレーズから入る。ステップ【4】でその橋を渡します。

【1】メジャースケールとの「1音違い」を掴む

メロディックマイナーは、身がまえるほど新しいスケールではありません。メジャースケールから見て、3度の音が半音下がるだけ。たとえばCメジャー(C・D・E・F・G・A・B)のE を E♭にすれば、それがもうCメロディックマイナー(C・D・E♭・F・G・A・B)です。まずはこの「たった1音の違い」を、耳と指で確実に掴みます。

メジャー メロディック マイナー C D E F G A B C D E♭ F G A B 3度だけ半音↓ 1 2 ♭3 4 5 6 7

この図の使い方:いつものメジャースケールを弾き、3度(Cなら E)だけを半音下げる。これでメロディックマイナーです。まずは「1音違い」を耳で確かめてから、ポジションへ広げます。

【2】本体を、弾き慣れたキーでポジション化する

1音違いが掴めたら、ポジション編で手に入れたメジャースケールの各ポジションを、3度を半音下げたまま弾いていきます。いきなり12キーではなく、まずはC・F・G・B♭・E♭といったよく使うキーから。派生の話(次のステップ)は、この本体が指に入っていないと空回りします。ここが土台です。

大倉の断言:ジャズっていう音楽をそこそこやっていこうと思うのであれば、まずメジャースケール、全キー全ポジション。プラスメロディックマイナーを全ポジション全キー、てのが必須」。ここまでやるだけでものすごく大変で、逆に言えばそれ以上はやらなくていい、ということです。── 大倉(講師歴20年)

運指の基本形は、この2つから入ります(表記=R:ルート・△:メジャー・p:完全。形はどのキーにも平行移動できます)。

1 2 3 4 5 6 R △2 ♭3 p4 p5 △6 △7 R △2 ♭3 p4 p5 △6 △7 R 3fr 4fr 5fr 6fr 7fr 8fr

①5弦ルートの基本形(3ノート・パー・ストリング=各弦3音):Cメロディックマイナーで作図。5弦3フレットのR(C)から始めて、各弦3音ずつで2オクターブ上のRまで。まずこの形を、つまらず弾けるまで弾き込みます。

1 2 3 4 5 6 △7 R △2 ♭3 p4 p5 △6 △7 R △2 ♭3 1fr 2fr 3fr 4fr 5fr 6fr

②オルタードに変換しやすい形:Gメロディックマイナーで作図(4弦ルート)。ルートの半音下=△7が1弦と4弦で見えるので、「半音上のメロディックマイナー=オルタード」の変換(【3】参照)がこの形だと掴みやすくなります。

【3】「開始音」で派生を理解する=1つで3つ分

ここがこのページの核心です。同じメロディックマイナーを、どのコードの上で・どの音から弾き始めるかで、名前が変わります。新しいスケールを覚えるのではなく、開始音を変えるだけ。実例を2つ見てみましょう。

  • D7 の上でオルタードを弾きたい半音上の E♭メロディックマイナーを、D から弾く。これが「Dオルタード」。
  • F7 の上でリディアン7thを弾きたい完全5度上の Cメロディックマイナーを、F から弾く。これが「Fリディアン7th」。
① D7 の上で弾くなら ここから開始 E♭ F G♭ A♭ B♭ C D E♭メロディックマイナー(Dの半音上)を D から弾く = Dオルタード ② F7 の上で弾くなら ここから開始 C D E♭ F G A B Cメロディックマイナー(Fの完全5度上)を F から弾く = Fリディアン7th どちらも新しいスケールではなく、メロディックマイナーの”開始音違い”です。

この図の使い方:まず「オルタード=半音上のメロディックマイナー」「リディアン7th=完全5度上のメロディックマイナー」の言い換えを口で言えるように。指は【2】の本体のまま、鳴らす場所(コード)が変わるだけです。

大倉の断言:オルタードもリディアン7thも、別スケールとして難しく考えなくていい

「オルタードスケールっていうのは、結局メロディックマイナーの派生。メロディックマイナーをしっかり弾ければ、開始音が違うだけで中身は一緒の音使いになるので、わざわざ別のスケールとして難しく考える必要はない」。

── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)

【4】派生は”表暗記”でなく、定番フレーズから入る

オルタードやリディアン7thは、スケール表を上下してもかっこよくは鳴りません。まずは定番フレーズ(リック)を覚えて、そこからスケールを馴染ませるのが近道です。土台のメロディックマイナーを弾き込むほど、リックも「中身が同じ音」として手に入っていきます。

フレーズの掴みどころは「半音が重なるところ」。メロディックマイナー由来のスケールは、この半音の重なりがそのスケールらしさを表していて、そこに現れる特徴的な4音でネタを作ると、少ない音でも”それらしく”聞こえます(詳しくはリディアン7thのページで)。

▶ まず1つ手に入れるなら

D7→Gm7 で使えるオルタードのリック(実例2つ)が、この土台の一番わかりやすい入口です。あのリックは「Dオルタード」という別物ではなく、半音上の E♭メロディックマイナーを D7 の場所で鳴らしているだけ――と分かると、一気に覚えやすくなります。

【5】実際のコードで、どの顔を出すか判断する

最後は、曲の中での使い分けです。むずかしく考えず、原則はこの2本立てです。

リディアン7th
解決しない7thコードに。どこへ解決するかは関係なく、解決しない7thが対象(例:サブドミナントマイナーの場面、♯11がついて解決しない7th)。
オルタード
マイナーへ向かうV7に(例:D7→Gm)。この場面では♭9・♯9・♭13・♯11のオルタードテンションが合い、ここは「オルタード一択」です。

共通の注意は「ちゃんと着地する」こと。オルタード系は緊張感を出す音なので、次のコードのコードトーンへ解決させて初めて活きます(着地の土台=コードトーン)。緊張を出して、着地する――その一往復が使い方の芯です。

🎸 今日の練習(これ1つだけ)

弾き慣れたキーを1つ選び、メロディックマイナーだけを1ポジションで弾き込みます(メジャーとの違いは3度だけ=Cなら E を E♭ に。メジャーとの往復はしなくて大丈夫、メロディックマイナーのみでOKです)。上の①5弦ルートの基本形から始めるのがおすすめ。派生に進む前の、いちばんの土台づくりです。

テンポまずテンポなしで、E♭に着地する響きを耳で確認。通せたらメトロノームを2・4に(テンポの指定はありません)
回数メロディックマイナーを、つまらず弾けるまで(つっかえた所だけやり直し)
チェックポジションが見えてきたか(指板の形として掴めているか)/メジャーとの響きの違いが自分で聞き分けられるか

これが安定したら、同じキーで【3】の言い換え(オルタード=半音上/リディアン7th=5度上)を口で復唱。発展(かなり上級者向け)=メロディックマイナーのダイアトニックコードをアルペジオで弾く練習。練習法としてはこれが最も有効で、3和音・4和音ともにできたら最高です。このページをブックマークして、明日もここから始めましょう。

✅ これができたら次(リディアン7th/オルタードのリック)へ

☐ メジャーとメロディックマイナーの違い(3度が半音下がる)を口で言える
☐ 弾き慣れた1キーで、メロディックマイナー本体が1ポジション止まらず弾ける
☐ 「Dオルタード=半音上のE♭メロディックマイナー」のように、派生を言い換えられる
☐ D7→Gm の場面で、オルタードの音をフレーズとして入れられる
☐ そのオルタードが“緊張感として鳴り、次のコードへ着地”して聞こえている
└ ※この最後の項目は、録音しても自己判定が難しい部分です。「スケールを上下できている」のと「オルタードとして鳴らせている」のは別物で、その境目は自分では聞き取りづらいもの。

テンポ・回数の細かい指定はありません。つまらず弾けること・ポジションが見えてくることを目安に。

1キーがつまらず弾けるようになったら、次はD7→Gmでオルタードを一節、と進みます。ただ☐の最後、それが緊張感として鳴って着地しているかは私が聴いて確かめる部分です。レッスンでは、やったことをその日のうちに書き残して、家でも同じ感覚をたどれるようにしています。

▶ 実際のレッスンカルテ(ジャズ経験者の1枚)を開いてみる

よくある質問(FAQ)

Q. メロディックマイナーって、メジャーと何が違うの?

A. メジャースケールから見て、3度の音が半音下がるだけです。ただこの中に、よく使うリディアン7thやオルタードが含まれるので、コンテンポラリー系ジャズでは主役級の重要なスケールになります。

Q. オルタードやリディアン7thも、別々に覚えないとダメ?

A. 基本は要りません。どちらも結局メロディックマイナーの派生で、開始音が違うだけで中身は同じ音使いです。メロディックマイナーをしっかり弾ければ応用が効きます。ただし「開始音を変えるだけで別の顔として鳴らせているか」は、自分では判別しづらい部分です。

Q. メロディックマイナーとハーモニックマイナー、どっちを先に?

A. 必須の順番は、メジャースケールを全キー全ポジション、次にメロディックマイナーを全ポジション全キー、その次にハーモニックマイナーです。ただしビバップ系が好きな人は、ハーモニックマイナーを優先して覚えてもかまいません。

Q. オルタードはどこで使うの?

A. マイナーへ向かうドミナント7th(例:D7→Gm)で使い、この場面ではオルタード一択です。一方、解決しない7thコードにはリディアン7thが対象になります。ただし、緊張感がちゃんと出て次のコードへ着地して聞こえているかは、録音でも判定が難しいところです。

Q. スケール表を見ながら、全ポジション暗記すべき?

A. このあたりのスケールは表を見て弾いてもかっこよくは弾けません。まずは定番フレーズから入り、土台のメロディックマイナーを弾き込むのが近道です。仕上がり具合は自分では聞き取りづらいので、一度聴かせてもらうのが確実です。

NEXT LESSON

リディアン7thの使い方|解決しない7thコードと「半音が重なる4音」 →

スケール:ポジション編 スケール:使い方編 ディミニッシュ変換 ロードマップ オルタードのリック(D7→Gm7) 🗺 全体地図

独学で進めるのが不安になったら、教室の料金と仕組みだけでも見ておいてください。

大倉ギター教室|大阪市西区南堀江(桜川駅・西大橋駅 徒歩5分/四ツ橋・JR難波も10分圏)