リディアン7thのゴールは「#11という特徴音を鳴らすこと」ではありません。「解決しない7thコードの上で、そのスケールらしい”浮遊感”を出せること」です。そのために、やることはこの順番で。
- 曲の中で「解決しない7thコード」を見つける(そこが使いどころ)
- スケールの顔=半音が重なる4音を掴む
- その4音でフレーズのネタを作る(4音が中心・他は”はみ出す”程度)
- 全音上のオーギュメントを足して幅を出す(bopの定番フレーズまで)
- 1つのポジションに寄せて、酒とバラの日々で実際に使う
やらないこと(引き算):
✕ 特徴音の#11を狙って中心に弾かない——「特徴音を意識してそこを中心に」という考え方とは違います。
✕ 残りの音を適当に並べない——4音の外を埋めるだけでは”らしく”なりません。
✕ 最初から複数ポジションに広げない——訳がわからなくなるので、まず1ポジション。
考え方はメロディックマイナー由来のスケールに共通(オルタードも同じ)。まずよく使うのはリディアン7thとオルタードの2つです。
なぜディミニッシュ変換の次にリディアン7thか(30秒だけ理屈)
枯葉で「アプローチノート」と「ディミニッシュ変換」を身につけました。あれは行き先へ向かって進んでいく(解決していく)7thコードへの対処です。ところがスタンダードを弾き進めると、次の壁が出てきます。どこにも解決していかない7thコードです。行き先がないので、これまでのやり方がそのままは効きません。ここで初めて登場するのがリディアン7th。順番が「ディミニッシュ変換の次」なのは、扱う7thコードの性格が変わるからです。
リディアン7thは解決しない7thコードで使う音。実際、酒とバラの日々の2つ目、F→E♭7に行くところ(サブドミナントマイナー)がまさに解決しない7thで、ここがリディアン7thの練習台になります。
手順:5ステップ(この順番で)
【1】使いどころ=「解決しない7thコード」を見分ける
まず、どのコードでリディアン7thを使うのかをはっきりさせます。答えは解決しない7thコード。ii-V-Iのように解決していかない7thコード全般が対象で、行き先がどこかは関係ありません。たとえばF7も解決しなければ対象になります。とくに#11が付いていて解決しないコードなら、「リディアン7th一択ぐらい」です。迷う余地がほとんどありません。
逆に、使ってはいけないサインもあります。コード表記に♭13と書いてある場合です(たとえばC7♭13)。リディアン7thには♭13は入らず、入るのは#11と♮13。だから♭13の表記は「ここはリディアン7thではなく、♭13の入るスケールを使う」という意味の合図で、オルタードやHp↓5(ハーモニックマイナー・パーフェクト5thビロウ)を検討する箇所です。
大倉の断言:♭13は「リディアン7thではない」の合図
「リディアンセブンスには♭13は入らない。#11が入る、♮13やけど。だからここはリディアンセブンスではないよっていうことを示唆してると思う、この♭13って書いてある意味は」。
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
【2】スケールの顔=「半音が重なる4音」を掴む
リディアン7thの構成音は、Dで書くとD・E・F#・G#・A・B・C(度数で1・2・3・#4・5・6・♭7)。ここで多くの人は「特徴の#4を中心に弾こう」としますが、それは違います。このスケールの本当の特徴は、半音が重なるところにあります。
構成音から消去法で絞り込むと、半音が2つ近くに寄っている4つの音が浮かび上がります。DならG#(#4)・A(5)・B(6)・C(♭7)。G#→Aが半音、B→Cが半音で、その2つの半音が隣り合っているのがこのスケールの”顔”です。この4音だけでフレーズを組めると、それだけでスケールらしさが出ます。
この図の使い方:Dリディアン7thを1つのポジション(4〜8フレット)に収めた図。R(濃紺)=ルートD。金色が、これから掴む特徴の4音です。まずこの範囲だけで、スケール全体を1往復してください。
この図の使い方:Dリディアン7thの”顔”の4音(金)。4弦のG#(#4)→A(5)が半音、3弦のB(6)→C(♭7)が半音。この2つの半音が近くに寄っているのが特徴です。まずこの4音だけを、度数を口に出しながら往復します(テンポ不要)。Rの濃紺はルートDの目印です。上のスケール図と同じポジションなので、そのまま繋がります。
※#4はコード上では#11、6は13にあたります。この4音は「近くに寄せてつかむ」のが目的で、全ポジションを一度に覚える必要はありません(まず1ポジション)。
【3】4音でフレーズのネタを作る(中心は常にこの4音)
4音が掴めたら、その4音でフレーズのパターン(ネタ)を作っていきます。ここがいちばん大事なところで、残りの音を適当に足してもダメ。4音が中心で、そこからちょっとはみ出した感じ——このイメージで捉えます。この4音を中心に始めると、いわゆる定番フレーズの形になります。パット・マルティーノのようなプレイヤーのフレーズでも、最初にこの4音から入るものが多いです。
4音のパターンだけだと、最初は「よくある音」に聞こえます。でも単発で置くのではなく、うまく流れの中で使えば、ちゃんと使えるように響く。そこからフレーズを拡大していきます。中心になるのは、いつも金の4音です。
フレーズ例(大倉のタブ譜より):使っているのは特徴4音(#4・5・6・♭7=G#・A・B・C)だけ。並べ替えるだけで8小節ぶんのネタになります。数字はフレット(4弦6・7フレット/3弦4・5フレット)。リズムは8分音符が4つ連続(1〜2拍目)→2拍休み。休みの2拍で次の小節を準備します。8小節目だけ、最後にひと押しの形です。
【4】全音上のオーギュメントを足す=幅を出す
4音が自在になって、フレーズに幅を出したくなったら、そこに美味しいアルペジオを1つ混ぜます(混ぜるのは高難易度なので、急がなくて大丈夫です)。ルートから全音上のオーギュメントです。Dなら全音上=EのEオーギュメント(E・G#・C)。度数でいうと9・#11・♭7で、しかもG#(#11)とC(♭7)は【2】の特徴4音と同じ音。そこに9(E)が加わるだけなので、地続きで足せます。
この図の使い方:Dから全音上=Eオーギュメント(E・G#・C)を2オクターブで。#11と♭7は先ほどの4音と共通、そこに9(E)が乗る形です。4音と同じポジションの中で、5弦から1弦まで一気に駆け上がれます。オーギュメントは長3度の積み重ねで対称的なので、4フレットずつ動かせば同じ形で上にも下にも伸ばせます(=大きな幅のフレーズになる)。
このオーギュメントを使ったbopの定番フレーズが1つあります。♭7から全音上のオーギュメントを斜めに上がって、6に行き、6→5へ降りるという動き。度数の流れでいうと ♭7 →〔Eaug:E・G#・Cの分散〕→ 6 → 5 です。最後が5に落ち着くので収まりがよく、「このメロディックマイナーやリディアン7thに関しては、ここまで覚えておけばフレーズが作れる」。
まずは「♭7 → オーギュメント → 6 → 5」という音の流れだけ耳で掴んでください。
大倉の断言:オーギュメントは「全音上」で考えるのが一番楽
「全音上のオーギュメントと考えるのが一番楽」。オーギュメントはディミニッシュと同じで対称的な形なので、全音下と考えても同じ音。メロディックマイナー由来のスケールでは、このオーギュメントが生きてきます。
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
【5】1ポジションに寄せて、曲で使う(酒とバラの日々)
練習の入口では、ポジションを触らないのがコツです。あちこちのポジションでやると訳がわからなくなるので、いったん1つのポジションに寄せて集中します。慣れてきたら広げてもいいですが、広げるほど見にくくなるので焦らずに。入口はあくまで4音の練習です(上のタブのフレーズ例を参考にしても構いません)。
仕上げは曲です。酒とバラの日々には解決しない7thコードが出てきます(2つ目の F→E♭7 がサブドミナントマイナー)。まずはその1か所に絞って、上でつくった4音とオーギュメントのフレーズを当ててみる。E♭7のような「ペンタでは足りない」箇所でこの考え方が必要になり、そこでリディアン7thが生きてきます。
🎸 今日の練習(これ1つだけ)
Dリディアン7thの特徴4音(G#・A・B・C)だけで、1ポジションの中で短いフレーズを1つ作る。上の指板図①の位置(3〜4弦・4〜7フレット)に寄せて、4音の並べ替え・往復で「よくある音だけど、なんとなく浮く」感じを探します。
できたら明日は、そのフレーズを酒とバラの日々の E♭7 の位置に移して当ててみましょう。このページをブックマークして、明日もここから始めてください。
✅ これができたら次(メロディックマイナー)へ
☐ Dリディアン7thの特徴4音(G#・A・B・C)を1ポジションで止まらず弾ける
☐ その4音を中心にした短いフレーズを1つ作れる(#4だけを狙っていない)
☐ 全音上のオーギュメント(E・G#・C)を1個混ぜて幅を出せる
☐ 酒とバラの日々の E♭7 で、その音を曲に馴染ませてアドリブのメロディにできている
あの4音、曲の中で「メロディ」になっていますか——リディアン7thで一番難しいのは、実際に曲に馴染ませてアドリブのメロディにすることです。レッスンでは酒とバラの日々を一緒に弾きながら、そこを確かめています。
よくある質問(FAQ)
Q. リディアン7thスケールは、どんなコードで使うんですか?
A. 解決しない7thコードです。行き先がどこかは関係なく、ii-V-Iのように解決していかない7thコード全般が対象になります。特に#11が付いて解決しないコードなら、ほぼリディアン7th一択くらいに考えて大丈夫です。ただしコード表記に♭13と書いてある場合は別で、リディアン7thには♭13は入りません(#11と♮13が入ります)。
Q. 特徴音の#11(#4)を狙って弾けば、それっぽくなりますか?
A. いいえ、#11を中心に据えて弾くという考え方ではありません。#4は特徴的に聞こえますが、そこを意識して中心には弾きません。代わりに軸にするのは、スケールの中で半音が重なる4つの音です。この4音でフレーズを組むと、スケールらしさが出ます。
Q. 難しそうです。何から手をつければいい?
A. まず1つのポジションに寄せて、半音が重なる特徴的な4音を練習するところからです。タブのフレーズ例を参考にしても構いません。慣れたら、他のスケール音やオーギュメントを足して幅を出していきます。
Q. リディアン7thだけ覚えればいいですか?
A. 考え方自体は、メロディックマイナー由来のスケールに共通します。オルタードも同じで、まずよく使うのはリディアン7thとオルタードの2つ。半音が重なる音の並びがそのスケールを表している、というイメージは共通です。
Q. カリキュラムのどのあたりで習いますか?
A. 枯葉でアプローチノートとディミニッシュ変換を勉強した、その次です。酒とバラの日々のような、解決しない7thコードが出てくる曲で、リディアン7thを使う練習をしていきます。解決しない7thコードで使う音、という位置づけです。
NEXT LESSON
メロディックマイナー・スケール|オルタード・リディアン7thの”親” →
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大倉ギター教室|大阪市西区南堀江(桜川駅・西大橋駅 徒歩5分/四ツ橋・JR難波も10分圏)