ディミニッシュ変換(dim変換)とは、ドミナント7th(G7・D7など)のところで、そのコードの「3度」から始まるディミニッシュを弾く手法です。むずかしい理論の話ではなく、「音」の話です。「めっちゃ楽して弾こうというシステム」です。だから覚えるのは簡単で、あとは使いこなすだけ。やることはこの5つ、順番どおりに。
- 使う場所を覚える=ドミナントモーション(5→1/4度に向かう7thコード)。基本ここでしか使えません
- その7thコードの3度の位置を、コードの形から見つける
- 3度から始まるディミニッシュ(dim7)を弾く。dim7は3フレットごとに同じ形で移動できる
- 必ず次のコードに解決する——これが絶対の縛り
- 枯葉のD7→Gmなど、実際の曲で「ここでは必ずdimを入れる」と決めて練習する
やらないこと(引き算):
✕ ディミニッシュスケール(8音)を丸ごと弾こうとしない——ここで扱うのはdim7のコードトーン(4音)。別物です。
✕ ほったらかしにしない——弾いたdimは必ず次のコードへ解決させる。放置すると「間違えて」聞こえます。
✕ 3フレットずらしを最初から使わない——常に使えますが運指が難しく、とっさには出ません。まずはワンポジションで。
位置づけ:アプローチノートの次に習得するのが目安の手法です(土台=コードトーン)。枯葉での具体的な当てはめは枯葉で弾くアドリブ1コーラス|アプローチノートとdim変換の実践で扱います。
2回目からは「🎸 今日の練習」へ直行でOK。
なぜコードトーンとアプローチのあとにdim変換か(30秒だけ理屈)
dim変換は、7thコードの音を「ちょっと外して」戻ってくる手法です。だから土台に、7thコードの3度がどこにあるか(=コードトーン)と、着地音へ向かって必ず戻るという感覚(=アプローチノート)が要ります。この2つができていれば、dim変換は驚くほど簡単に足せます。逆に言えば、そこが未消化のままだと「弾いたけど合わない音」に聞こえてしまいます。だから順番は「コードトーン・アプローチが先、dim変換はその次」です。
手順:5ステップ(この順番で)
【1】使える場所は基本1つ=ドミナントモーション
dim変換は、基本ドミナントモーションのときしか使えません。使う場所はここだけ、とまず覚えてください。ドミナントモーションとは5から1へ行く流れ——G7からCへ行きたくなる、あの落ち着く動きです。もう少し広く言うと「4度に向かう流れ」。G7からC(Cが4番目)、A7ならD(4番目)へ、というように、7thコードが4度上へ進むところが目印です。
厳密には、A7→D7のようにドミナントのまま進む場合は「ドミナントモーション」とは呼びません。ただしdim変換は同じように使えるので、ここでは「4度に向かう7thコード」をまとめてドミナントモーションと考えて大丈夫です。まずは「7thコードで、4度上に進むところ」を探す——これが最初の一歩です。
【2】7thコードの「3度」から始まるディミニッシュを弾く
dim変換の中身はこれだけです。7thコードの3度から始まる、ディミニッシュのコードトーンを弾く。たとえばD7なら、まずD7のコードを押さえて3度の位置を確認し、そこから始まるディミニッシュの形に入っていきます。コードを押さえた状態から、人差し指でそのまま入れると楽なので、そこから始まる動きにするのがコツです。
この図の使い方:上=D7を5弦ルートの形(ルート・3度・♭7)で押さえて、3度(金・4弦4フレット)の位置を確認します。下=その3度から始まるdim7の形。D7から見ると♭9・3度・5度・♭7の4音で、まずは2・3・4弦だけで覚えます。捉え方は自由ですが、「5弦ルートのときの、3度から始める形」と覚えるといいです。赤い輪のルートは目印で、今回の練習では弾きません。
なぜ3度から始めると成立するのか——ここは深掘りせず「そういうシステム」として受け取ってOKです(理屈は上級の理論ページで扱います)。大事なのは、この一手で7thコードのサウンドがぐっとジャズらしくなること。使う弦は1・2・3・4弦だけで十分です。低い方(5・6弦)へ行ってもあまり使いません。
6弦ルートのコードに来たときは、形が変わります。後から覚えれば十分です——広げていけば、結局は同じ形が出てきます。
この図の使い方:上=A7を6弦ルートの形で押さえて3度(金・3弦6フレット)を見つけ、下=そこから始まるdim7の形(A7から見て3度・5度・♭7・♭9)。こちらは1・2・3弦を使います。5弦ルートの形と同じように、規則的な並びで練習します。
dim7は「3フレットごとに同じ形」——ここがギターの最大の得
ディミニッシュ(dim7)は全部が短3度=1音半ずつで積み上がっています。12音を4で割った、すごく人工的でシンメトリー(左右対称)なコード。だからギターの上では、同じ押さえ方が3フレットごとにそっくり繰り返します。ずっと同じ鏡が続いているイメージです。
この図の使い方:Ddim7(D・F・A♭・B)の4音フォーム。左(3〜4fr)と右(6〜7fr)はまったく同じ押さえ方で、鳴る4音も同じ。この形を3フレット単位で上下させるだけで、指板中に同じdimが散らばっているのが分かります。まずは1つの形(ワンポジション)を、テンポなしで音を切らさず往復。3フレットずらしは慣れてからで十分です。
※dim7の押さえ方は、実質3パターンほどしかありません(シンメトリーだから)。まずは1つを完璧に。
【3】絶対のルール:必ず「次のコード」に解決する
ここがdim変換のいちばん大事なところです。弾いたdimは、必ず次のコードに解決させる。言い換えると、dimの音でほったらかしにしてはいけない。解決させずに放置すると、理屈は正しいのに「間違えて」聞こえてしまいます。まずは「必ず解決」——これを徹底してください。
解決先は、次のコードのコードトーンです。たとえば枯葉のD7→Gmなら、Gマイナーのコードトーンへ着地させます。ありがたいことに、この場面ではGmのコードトーンが3フレット付近に集中しているので、そこへ向かって降りていけば自然に解決します。アプローチノートで身につけた「着地から決める」感覚が、そのままここで効いてきます。
この図の使い方:D7のあいだは紺の音(3度から始まるdim7)を弾き、Gm7の1拍目で金の音を弾きます。ここでは金をGm7の短3度(シ♭・3弦3フレット)と5度(レ・2弦3フレット)にしています。他のコードトーンでももちろんいいのですが、経験的に、最初はこの2つをターゲットにしたほうがうまくいくことが多いです。
【4】規則的に練習する——ランダムに弾かない
dim7はめちゃくちゃ規則的なスケール(人工物)です。こういうものを練習するときは、ランダムに弾かないのがコツ。実際に使うときはランダムに崩す場面もありますが、練習では規則的なフレーズを弾いたほうが、結果的に良くなることが多い——この人工的なやつは特にそうです。
1つ目のフレーズはシンプルに上下するだけで十分です。順番を決めて、行って戻る。これをワンポジションで。3フレットずらしは常に使えますが運指が難しく、とっさには出ないので優先度は低い。まずは1つの形をしっかりです。
譜例A(D7・3度から始まるdim7を規則的に):1小節目=上って戻る/2小節目=4音ずつ組にして、1音ずらして上る/3小節目=2音ずつ下がる。3小節ともファ♯・ラ・ド・ミ♭の4音だけを、並べ方を変えて弾きます。テンポなしで音を切らさず、ワンポジションで。
大倉の断言:規則的なものは、規則的に練習する
「dimみたいなめちゃくちゃ規則的なスケールを練習するときは、ランダムに弾かないこと。基本的には規則的なフレーズを弾くほうが、結果的に良くなることが多い。この人工的なやつはそう。初期段階では、規則的に練習してあげることです」。
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
【5】実際の曲で=枯葉のD7→Gmに当てはめる
仕上げは実曲です。枯葉を例にすると、ドミナントモーションはD7からGマイナー(Gm)へ行くところ。(手前のAm7♭5→D7は、ただの4度進行=ツーファイブで、ドミナントモーションとは呼びません。7thコードのD7から解決するところがドミナントモーションです。)
練習のコツは、「D7のところでは必ずdimを入れる」と縛りをかけること。ほかを多少犠牲にしてでも、そこだけは無理やりdimを入れられるようにします。入れる箇所の手前から準備しておくと弾きやすく、慣れてくると考えずに出せるようになってきます。
譜例B(D7→Gm7・フレーズ①〜⑦):1小節目(D7)の音はF♯dim7の4音(ファ♯・ラ・ド・ミ♭)だけです(フレーズ④の最後のレは着地の先取り)。着地はGm7の5度(レ・2弦3フレット)か短3度(シ♭・3弦3フレット)——フレーズ①=5度/フレーズ②=5度/フレーズ③=5度/フレーズ④=5度/フレーズ⑤=短3度/フレーズ⑥=5度/フレーズ⑦=短3度。フレーズ④は8分休符から入り、2〜4音目が3連符。最後のレはGm7の1拍目まで伸ばします(括弧の数字)。
- まずは全部弾いてみる
- 全部覚える必要はありません——法則を覚えるようにします
- 特に最初は、フレーズ①②③(4弦4フレットの3度から始まるもの)を使えるようにします
- ゆっくりと、自分でもフレーズを作ってみます
なお、コード進行そのものは覚えてしまわないと弾けません。iReal Proで確認するのは全然アリですが、それに頼りきると「これがないと弾けない」状態に陥りがち。最初の確認はよくても、進行は自分の頭に入れていきましょう。
大倉の断言:簡単。でも「使いこなす」がすべて
「dim変換は、めっちゃ楽して弾こうというシステムだから、めちゃくちゃ簡単です。覚えること自体はすぐ。これだけでも結構弾けるようになります。でもね、使いこなすということがやっぱり大事。簡単に手に入るぶん、そこで止まる人が多い。実際の曲で”必ず入れる”縛りをかけて、無理やりにでも出せるようにしていくと、だんだん自分のものになりますよ」。
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
🎸 今日の練習(これ1つだけ)
枯葉のD7→Gmの2小節だけを取り出す。①まずは譜例Bのフレーズ①〜③をそのまま弾いて、実際に使ってみる——3度から始まるdim7をワンポジションで弾き、Gmのコードトーン(3フレット付近)へ必ず解決。②次の段階として、自分でもフレーズを作成してみます。
できたら明日は、入れる箇所の手前から準備して入るところまで。このページをブックマークして、明日もここから始めましょう。
ちなみに、ここで身につけたdim変換はそのまま先の学習に繋がります——仕組みとしては、ここで弾いているのはHP5のダイアトニックに出てくるdim7。マイナーに解決するドミナントで使う「HP5」というスケールに、この型がそのまま含まれています。いま仕込んだ型が、後で倍になって効いてきます。
✅ これができたら次(リディアン7の使い方)へ
☐ 7thコードの3度の位置を、コードの形からすぐ見つけられる
☐ dim7のワンポジションの形を、テンポなしで音を切らさず上下できる
☐ 弾いたdimを次のコードのコードトーンへ解決させられる(放置しない)
☐ その解決が“フレーズとして”自然に聞こえている
※パターンは1つでOK——たくさんの型を覚えるより、1パターンを進行の中で使えることが合格ラインです。
dim変換を教えていて毎回思うのは、D7で1パターン通せた人がつまずくのはその先——ほかのドミナントでも同じ型がとっさに出せるか、です。入れどころはレッスンでいま弾いている曲に合わせて決め、振り返りは生徒ごとの学習ページに残ります。
よくある質問(FAQ)
Q. ディミニッシュ変換って、結局なにをするの?
A. ドミナントモーション(4度に向かう7thコード)のところで、その7thコードの3度から始まるディミニッシュ(dim7のコードトーン)を弾く——理論というより「音」の手法です。仕組みは「楽して弾こう」というシステムなので簡単。ただし弾いたdimは必ず次のコードに解決させてください。放置すると理屈が正しくても間違って聞こえます。
Q. ディミニッシュ「スケール」とは違うの?
A. 別物です。ここで使うのはディミニッシュの「コードトーン(4音)」。ディミニッシュスケールは8音の別のもので、そのまま弾くとアウトしすぎて唐突に聞こえがちです。まずはコードトーンによるこの変換から入るのが王道で、凝りすぎないほうがうまくいきます。
Q. ギターだと覚えるのは大変?
A. むしろギターは有利です。dim7は全部が短3度(1音半ずつ)でできたシンメトリーな形なので、同じ押さえ方が3フレットごとにそっくり繰り返します。押さえ方も実質3パターンほど。まずはワンポジションを1つ、規則的に上下する練習から始めてください。3フレットずらしは便利ですが運指が難しいので後回しでOKです。
Q. 枯葉のどこで使えばいい?
A. D7からGマイナーへ行くところ(ドミナントモーション)です。手前のAm7♭5→D7はただの4度進行なので対象外。練習では「D7では必ずdimを入れる」と縛りをかけ、Gマイナーのコードトーン(3フレット付近に集中)へ解決させます。曲を通した具体的な組み立ては、枯葉の実践ページで扱っています。
Q. 簡単と聞いたのに、なんだか浮いて聞こえます。
A. 多くは「解決していない(ほったらかし)」が原因です。dimは外して戻る音なので、次のコードのコードトーンへ着地させて初めて成立します。逆に言うと、ちゃんと解決できていれば、ハマっているのは自分でも分かります。浮いて聞こえるうちは、まず「必ず解決」を徹底してください。
NEXT LESSON
リディアン7thの使い方|解決しない7thコードと「半音が重なる4音」 →
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独学で進めるのが不安になったら、教室の料金と仕組みだけでも見ておいてください。
大倉ギター教室|大阪市西区南堀江(桜川駅・西大橋駅 徒歩5分/四ツ橋・JR難波も10分圏)