オスカー・ピーターソンのバンドで名を上げたハーブ・エリスは、いわゆる”正統派”のジャズギタリストです。派手な速弾きで聴かせるタイプではなく、スウィング感とブルースフィーリングで心地よく歌わせる人。ジョーパス[Joe Pass]と2本のギターで共演した「Jazz Concord」でその魅力にノックアウトされた——という大倉自身の体験も交えて、聴きどころを整理します。
ハーブ・エリスは「速さ」ではなく「スウィングとブルース」で聴かせる正統派。まずは分析より、耳で浴びるのが近道です。
とっかかりはジョーパスと2本のギターで共演した「Jazz Concord」。2本のギターの絡みが分かりやすく、心地よいスウィングをそのまま体で感じられます。やることは1つ——難しいフレーズを拾う前に、まずリズムに体を預けて聴くこと。気持ちいいと思えたら、もう半分は入っています。
ハーブエリスの主な活動
本名はMitchell Herbert Ellis/1921年8月4日生まれ/2010年3月28日没。アメリカ、テキサス州生まれ。
1953年から58年までオスカーピーターソンのバンドのギタリストを務める。
1957年から1962年まではエラ・フィッツジェラルドとの共演を重ねる。
1960年代から1973年まではスタジオミュージシャンとして活躍。
1973年からは再びジャズギタリストとして活動する。
ハーブエリスの使用ギター
Gibson ES-175
Gibson ES-165 ハーブエリスモデル
Gibson ES-165 ハーブエリスモデル
ハーブエリスが使用していたES-175をベースに制作されたギターです。ゴールドパーツが使用されており、フロントのみのピックアップになっています。
前期のモデルはPUがボディーに直接マウントされています。後期のモデルはフローティングのミニハムの仕様です。
何種類かのバリエーションがあり、元々はフロント1ハム仕様だったのですが、2ハムのES-165も存在するようです。
ハーブエリスのスタイル
いわゆる正統派です。ジョーパス[Joe Pass]とよく似たスタイルで、歯切れのよいバップフレーズを弾きます。ブルースフィーリングも特徴的です。
ハーブ・エリスの一番の魅力は、なんといってもスウィング感。同じフレーズでも、拍のどこに音を置くかで”雰囲気”はまったく変わります。ジャズ特有の心地よい”訛り”は、拍をほんの少し後ろに置く感覚——レイドバック——から生まれる、と教室では説明しています(→ レイドバック入門|スウィング感と「後ろで弾く」感覚)。速く弾く技術より、まずこの気持ちよさを耳で掴むのが先です。
ハーブエリスのおすすめアルバム
沢山の作品を残しています。私自身がよく聞いていたのは「Jazz Concord」です。ジャズギターの名盤と言われており、もう一曲目の「Look for the Silver Lining」からノックアウトされました。
このアルバムでは、なんとジョーパス[Joe Pass]と共演しており、2本のギターの掛け合いは聴きごたえたっぷりです。メンバーは、Herb Ellis(gt)/Joe Pass(gt)/Ray Brown(ba)/Jake Hanna(dr) という豪華な面々です。
▲ 参考動画(Herb Ellis)
「リズムが悪いと、どんなに良いフレーズを弾いても意味がない。逆に言うと、リズムさえ良ければ、どんなフレーズを弾いてもかっこいい——そういう話になるんです。」
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
だからこそハーブ・エリスを聴くときは、フレーズを拾うより先に、あのスウィング感から盗むのが近道です。
ハーブエリスの参考動画
教則動画です。基本的な内容が中心なのですが、よくスウィングしており心地よいです。
▲ 教則動画(よくスウィングしていて心地よい)
オスカーピーターソンのバンドでのハーブエリスです。ドラムレスの編成なので、パーカッシブにギターを叩いている所から始まります。昔、動画がなかった頃に真似をしようと研究したことがあったので、この動画で答え合わせができました。
▲ オスカー・ピーターソン・バンド時代(ドラムレス編成)
ハーブ・エリスから学ぶこと・聴きどころ
① スウィング感を耳で盗む
ハーブ・エリスを聴くときの主役は、フレーズそのものよりリズムの気持ちよさです。まずはドラムやベースが刻むスウィングに体を預け、「ここが気持ちいい」と感じる場所を探してみてください。その心地よさの正体が、拍を少し後ろに置くレイドバックです。理屈で分析するより先に、耳コピで音源を繰り返し浴びるのが、遠回りに見えて一番の近道です(→ 耳コピの運用|何を・どうコピーするか)。
② ブルースフィーリング
正統派バップの中に、ブルースの泥臭さが自然に混ざるのがハーブ・エリスの持ち味です。速いフレーズを覚えるより、ひとつの音をどう歌わせるか——チョーキングやニュアンスの付け方に耳を向けると、学べることがたくさんあります。
③ 2本のギターの”絡み”を聴く
「Jazz Concord」のジョーパス[Joe Pass]との2ギター編成は、伴奏とソロがどう役割を交代するかがとても分かりやすい教材です。片方だけを追うのではなく、2本がどう会話しているかを聴くと、コンピング(伴奏)の引き出しが増えます。
大倉の断言:スウィングを身につける方法は、結局この3つに尽きます——音源を聴くこと・誰かと一緒に演奏すること・良いドラマーと演奏すること。これが全てです。── 大倉(講師歴20年)
次に読む・あわせて聴く
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あの”スウィング感”を、自分の手に入れるところまで一緒に
スウィングやレイドバックは、独学だと「合っているのか」が自分では判断しにくい部分です。教室では、実際に弾いてもらいながら、リズムのどこを直せばぐっと良くなるかを一緒に確認します。手ぶらでOK。楽器はこちらで用意します。
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