グラント・グリーン(Grant Green)は、ウェスのようなオクターブ奏法もコードソロも使わず、ひたすらシングルノートで歌い続けた珍しいギタリストです。だからこそ、「コードトーンだけで、ここまでメロディックに歌える」——その一点を耳で確かめるのに、これ以上ないお手本になります。このページでは、彼のスタイル・使用ギター・おすすめアルバム・参考動画を紹介しつつ、「彼から何を学べるか(=自分の練習にどうつなげるか)」までまとめます。
1935年6月6日生まれ/1979年1月31日没/ミズーリ州セントルイス出身
グラント・グリーンは「コードトーン中心のシングルライン」でジャズを歌わせた代表格。派手なことをしていないのに、こんなに歌える——その理由を聴き取れると、自分のアドリブが変わります。
彼のソロは、コードの骨格の音(コードトーンの覚え方と練習の順番|ジャズギターで次のコードへ迷わず繋ぐ)を、リズムとスウィング感で歌わせているのが核心です。やらないこと=いきなり音を詰め込むこと・コードソロやオクターブに手を広げること。まずは彼を聴いて、「少ない音でも、リズム次第でこんなに歌える」という感覚を耳に入れてください。
グラントグリーンのスタイル
彼は60年代、70年代とでは演奏スタイルの変化がありました。60年代は「ハードバップ」、70年代では「ファンキージャズ」と言われるスタイルをプレイしています。ブルージーなプレイも特徴で、管楽器のように流れるシングルラインも得意としています。
ここで注目してほしいのが、同時代の他のギタリスト——ウェス・モンゴメリーが好んで取り上げていたオクターブ奏法やコードソロを、彼はほぼ使わないという点です。使うのは、ひたすらシングルノート。つまり彼のソロは、コードの骨格の音(コードトーンの覚え方と練習の順番|ジャズギターで次のコードへ迷わず繋ぐ)とその周りのわずかな音だけで組み立てられています。それでいて、あれだけ歌って聴こえる。「少ない音でも、これだけ歌える」という実例として、コードトーンの練習をしている人がいちばん耳コピしたいギタリストの一人です。
「コードトーンだけでアドリブはできます。ただし音数が少ないぶん、リズムを工夫しないとちゃんとしたアドリブにはなりません。音だけを見れば成立はするんですが、しっかりしたメロディを作るには、リズムの要素が大事になってくるんです。」
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
グラントグリーンのデビュー作
1961年に名門レーベルのblue noteから「グランツファーストスタンド」でデビューしています。グラントグリーンらしくオルガントリオでの演奏です。
この時代の他のギタリストに比べて結構テクニカルなプレイをしています。
オクターブ奏法、コードソロ等ウエスが好んで取り上げていたプレイスタイルはほぼせずに、ひたすらシングルノートでの演奏スタイルです。
グラントグリーンの使用ギター
以下は当時(各年代)の使用機材です。時期によって持ち替えています。
- 1960年代中盤まで:ギブソン「ES-330」
- その後:ギブソン「L7」/エピフォン「エンペラー」(共にピックアップはP-90タイプ)
- 1970年代のファンクジャズ期:ダキストの「ニューヨーカー」(ピックアップは「ディアーモンド」)
グラントグリーンが亡くなった後、ダキストのギターは「ジョージベンソン」に渡ったそうです。
ギブソン「ES-330」
せっかくなのでこのギターを簡単に紹介しておきます。有名なセミアコの「ES-335」と形はほぼ同じなのですが、ES-335はセミアコなのに対し、ES-330はセンターブロックの入っていないフルアコになります。
ピックアップもP-90のシングルコイルに変更されています。
エピフォン「カジノ」
エピフォンのカジノは、このギター(ES-330)の廉価版です。カジノのほうが売れて有名になったので、元のES-330はあまり有名ではないです。
ES-330が気になるなら、まずカジノを試してみてもいいかもしれません。
グラントグリーンのおすすめアルバム
バップ期なら「The Complete Quartets With Sonny Clark」。メンバーが最高で、オールスターが揃っています。
ソニークラーク[piano]/サムジョーンズ[bass]/アートブレイキー[drum]/ルイスヘイズ[drum](8曲目以降)。バップのアイドルプレイヤーをバックに、ご機嫌な演奏を聴けます。現在もよく演奏するスタンダードばかりの選曲なので、ジャズ初心者にもおすすめです。
そして後期のファンク期なら「Live at the Lighthouse」です。このアルバムでは、あきらかにファンクの代名詞「ジェームスブラウン」から影響のうけたサウンドになっています。
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グラントグリーンの参考動画
あまり映像は残ってないようですが、1969年の映像です。時期的にもスタイルが変わるころの演奏で、興味深い内容です。1曲目にファンクのナンバーを演奏したと思ったら、バップも演奏したりしています。
▲ グラント・グリーン 1969年の演奏映像(スタイルの過渡期)
グラント・グリーンから学ぶこと・練習すること
① コードトーンで「歌う」——シングルラインの手本にする
彼のいちばんの学びどころは、コードソロもオクターブも使わず、シングルノートだけで最後まで歌い切っているところです。使っている音の多くは、コードの骨格=コードトーン(→ コードトーンの覚え方と練習の順番|ジャズギターで次のコードへ迷わず繋ぐ)とその周りのわずかな音。「派手な技を足さなくても、コードトーンをちゃんと鳴らせばこれだけ歌える」——コードトーンを練習中の人が、目標のサウンドとして耳に入れておくと近道になります。
② リズム・グルーヴで歌わせる
音数が少ないぶん、彼のソロを支えているのはリズムとスウィング感です。同じコードトーンでも、どこで音を置くか・どう跳ねさせるかで、まったく歌い方が変わります。オルガントリオやファンク期の演奏は、まさにグルーヴで歌わせるお手本。コードトーンを覚えたら、次は「メトロノームやバッキングに乗せて、リズムで表情をつける」ところまで練習を進めると、彼の良さが自分の中で腑に落ちます。
③ 耳コピで盗む——音数が少ないから入門向き
グラント・グリーンは音数が多くないので、実は耳コピ(トランスクライブ)の入門にも向いています。曲全体をコピーする必要はありません。1〜2小節の短いフレーズを、まず耳で完全に覚えてから、指板で探す。速くて取れなければ再生速度を落としてOKです。特に60年代のハードバップ期は、私が「最初に聴くべき」とすすめている時代でもあります。詳しいやり方は耳コピの運用|何を・どうコピーするかにまとめています。
大倉の断言:「コピー(耳コピ)せずに上手くなった人は、まずいてない」——これはもう断言できます。まず1小節、長くても2小節くらいの短いフレーズをひたすらリピートして、耳で完全に覚える。それを指板で弾いてみる。これを積み重ねるのが、上達の一番の近道です。── 大倉(講師歴20年)
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「コードトーンだけで歌う」を、あなたのギターで
グラント・グリーンのように、少ない音でも歌わせるには、コードトーンとリズムの結びつきを自分の手で掴むのが近道です。何をどう聴いて、どこから真似すればいいか——実際に弾いてもらいながら、一緒に確認します。手ぶらでOK。楽器はこちらで用意します。
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