フルアコ(箱モノ)で音量を上げた瞬間、「ボワーン」とハウリングが止まらない――ジャズギター最大の悩みのひとつです。結論から書きます。対策は「音量」「アンプの位置」「EQで周波数を削る」の3つ。とくにアンプの置き場所を変えるだけで、かなり改善します。
この記事では、教室やセッションで生徒・共演者によくアドバイスしている、その場でできるハウリング対策をまとめます。アンプそのものの選び方は ジャズギターアンプおすすめ(選び方ハブ) をどうぞ。
30秒の結論
- 音量は適量に。大きすぎればハウるし、ゲインを上げてもハウりやすくなる。
- アンプの位置がいちばん重要。ギター本体に音が飛ぶ向きにアンプを置かない。定番は自分の左後ろ(ギターは右側にあるため)。
- それでも出るならEQでハウる周波数をカット。10バンドのグライコやパライコ(Empress ParaEQ 等)が有効。
- 一部のアンプシミュ/エフェクターにはハウリング自動カット機能もある。
| 対策 | やること | 手軽さ |
|---|---|---|
| アンプの位置 | ギターに向けない・左後ろへ | すぐできる・効果大 |
| 音量・ゲイン | 適量に・ゲインを下げる | すぐできる |
| EQで周波数カット | グライコ/パライコで削る | やや上級・効果大 |
| 機材の自動カット | 対応エフェクター/アンシミュ | 機材次第で簡単 |
| ギター・Fホール | 設計で選ぶ/Fホールを塞ぐ | 根本対策 |
いちばん効くのは「アンプの位置」
ハウリングは、アンプの音がギターの箱を振動させて、それがまたアンプから出て…という“ループ”で起きます。だから、ギター本体にアンプの音を直接ぶつけないのが基本です。
よく言われる「アンプは自分の左後ろに置くといい」。理由はシンプルで、ギターは基本的に体の右側にあるから。アンプを左側に置くと、ギターの箱に音が回り込みにくくなり、ハウリングが軽減されます。
ハウってしまったら、まず自分の立ち位置とアンプ(スピーカー)の向きを見直してください。アンプとの距離・角度を少し変えるだけで止まることがよくあります。これはお金もかからず、その場でできるいちばんの対策です。
音量とゲインを見直す
当たり前ですが、音量が大きすぎればハウります。まずは適量に。そして見落としがちなのがゲインです。ゲインを上げるとハウりやすくなるので、ジャズのクリーンなら無理にゲインを上げないこと。
そもそもフルアコは「鳴らしすぎない」
ジャズのフルアコは、アンプを通す前提の楽器です。だから生音で鳴りすぎる必要はなく、むしろ「鳴らしすぎないこと」が大事。生鳴りが豊かすぎる個体(単板のギブソンなどはその傾向)は、その分ハウりやすくなります。「箱を盛大に鳴らす」より「アンプで増幅する」発想に切り替えると、ハウリングと付き合いやすくなります。
EQで「ハウる周波数」をピンポイントに削る
位置と音量を整えてもまだ出るなら、EQでハウっている周波数を狙って削るのが効きます。ハウリングは特定の周波数で起きるので、その帯域をカットすれば止まります。
道具は2つ。10バンドなどのグラフィックEQ、またはパラメトリックEQです。大倉は今はパライコの方が適切だと考えています(狙った周波数をピンポイントで削れるため)。実際に使っているのは Empress Effects ParaEQ MKII Deluxe で、ローカット・ハイカットが効くのが強みです。
ハウる帯域をその場で探して削るのは少し技術が要りますが、覚えると強力です。音作り全般のEQの考え方は ジャズギターの音作り・アンプEQ完全ガイド にまとめています。
機材まかせ:ハウリング自動カット機能
「周波数を耳で探すのは難しい」という人に朗報です。一部のアンプシミュレーターやエフェクターには、ハウリングを自動でカット制御してくれる機能があります。ハウっている周波数を自動で検出してカットしてくれる仕組みです。
手動のEQが難しければ、こうした機能のある機材に頼るのも立派な解決策。現場は時間が限られるので、「自動で止まる」道具を1つ持っておくと安心です。アンプシミュ自体の選び方は アンプシミュレーターの選び方 で扱います。
もっと根本から:ギターと「Fホール」で抑える
対処を重ねてもすぐ繰り返すなら、ギター側から根本的に抑える手があります。
ハウリングしにくい設計のギターを選ぶ
最近のフルアコは、あえて生鳴りを抑える設計が増えています。単板を使いながらも「アンプとギターで一つの楽器」という考え方で、生鳴りはほどほどでも、アンプを通したときに最高の音が出て、しかもハウリングしにくい。ハンドメイド系のギターに多い作り方です。
教室にもある Victor Baker(ビクターベイカー) や モフアギター がまさにこのタイプ。生鳴りは控えめですが、アンプで鳴らすと最高で、ハウリングにも強い。これから本格的に箱モノを選ぶなら、こういう設計のギターを選ぶこと自体が、強力なハウリング対策になります。
奥の手:Fホールを塞ぐ
お金をかけず今日からできる:Fホールに蓋
どうしても止まらないときの定番が、フルアコのFホールを中から塞ぐ方法です。アクリルの薄い板や、いちばん手軽にはクリアファイルを切って蓋にします。生音は下がりますが効果はてきめん。大倉も一時期これをやっていて、当時のハウリングの悩みはこれだけで解決していました。まず試すならコストゼロのこの手から。
よくある質問(FAQ)
Q. フルアコのハウリング、まず何をすればいい?
A. アンプの位置を変えるのが最優先。ギター本体に音を向けず、自分の左後ろに置きます(ギターが右側にあるため)。あわせて音量を適量に・ゲインを下げると、その場でかなり改善します。
Q. なぜアンプは左後ろがいいの?
A. ギターは基本的に体の右側にあるので、アンプを左側に置くとギターの箱に音が回り込みにくくなり、ハウリングが起きにくくなるためです。
Q. 位置を変えてもハウります。どうすれば?
A. EQでハウる周波数を削ります。10バンドのグライコやパライコ(Empress ParaEQ など)で、その帯域をカット。耳で探すのが難しければ、ハウリング自動カット機能のある機材を使う手もあります。
Q. ハウリングしにくいギターは? お金をかけない対策は?
A. 最近はあえて生鳴りを抑えた設計のフルアコが増えています(教室の Victor Baker・モフアギター など。生鳴りは控えめでもアンプで最高の音が出てハウりにくい)。お金をかけない奥の手は、Fホールをクリアファイルやアクリルで中から塞ぐ方法。生音は下がりますが効果てきめんです。
関連記事
ハウリングの相談、できます
「本番でハウって困っている」――そんな相談も、レッスンで受け付けています。
大阪・西区(南堀江・堀江)の教室で、実際にフルアコとアンプを鳴らしながら対策を一緒に確認できます。