「ボサノバギターを弾いてみたいけど、何から練習すればいいかわからない」——そんな悩みを抱えていませんか?
この記事では、ジャズギター講師の大倉がボサノバ専任講師・播磨先生に「練習の優先順位」を教えてもらいながら、効率的な上達のロードマップをお伝えします。大倉ギター教室のボサノバコースでも実際に活用している考え方なので、ぜひ参考にしてください。
まだ全体像をつかめていない方は、まず「【完全ガイド】ボサノバギター初心者が最初にやるべき5つのこと」もあわせてどうぞ。
執筆:大倉甲(大倉ギター教室代表・ジャズギター講師歴20年)/監修:播磨正明(ボサノバ専任講師・ギター歴40年超)
まず知っておきたい「ボサノバは2拍子」という大前提
練習メニューに入る前に、ボサノバのリズムの”考え方”を押さえておきましょう。ここを飛ばすと、どれだけ練習しても「なんか違う」演奏から抜け出せなくなります。
🎸 講師コメント ― 播磨先生
ボサノバは2拍子の中に16分音符がある構造です。ジャズの人は8分音符で譜面を書きがちですが、本来は16分音符で記譜します。最初はメトロノームを2拍子に設定して、等間隔(イーブン)に弾く練習から始めてください。
ステップ1 ― 基本コード6つを覚える(5弦・6弦ルートの考え方)
2拍子の感覚がつかめたら、最初に取り組むのはコードを覚えることです。ボサノバで使うコードはジャズと共通するものが多いですが、まず押さえるべきはたった6つ。ここでは「なぜ6つなのか」というロードマップ的な考え方をお伝えします。
大倉ギター教室では、5弦ルートはM7を基本形にして、そこから指を変化させてm7・7を派生させる方法で教えています。6弦ルートはm7を基本形にして、指を足してM7・7へと広げます。
▲ CM7(5弦ルート)のダイアグラム。この形が5弦ルート系の基本形になります
🎸 講師コメント ― 播磨先生
ボサノバのコードフォームは、ジョアン・ジルベルトのスタイルに倣ってベース音を入れずにコード部分だけで弾くのが基本です。6弦までガッと鳴らしたくなりますが、まずはコンパクトなフォームで練習しましょう。
各コードの押さえ方やフォーム変化の詳しい解説は、こちらの記事にまとめています。
▶ボサノバで使う基本コード6選|初心者でも押さえやすいフォームを解説
ステップ2 ― 基本リズムパターンを1つマスターする
コードが押さえられるようになったら、次は右手のリズムパターンです。ボサノバのリズムパターンにはいくつかのバリエーションがありますが、最初に覚えるのはたった1つで十分です。
▲ 基本リズムパターン1(最重要)。これだけで1曲弾き通せるパターンです
このパターンのポイントは以下の通りです。
- 1拍目だけ全弦を弾き、あとは親指(p)とフィンガー(i, m, a)の交互で弾く
- 親指は低音弦側、フィンガーは高音弦側を担当
- ベースの親指(p)にリズムのアクセントを置くことが最重要
- 2拍目のシンコペーション部分にアクセントが付きがちなので注意
🎸 講師コメント ― 播磨先生
2拍目の4分音符のベース(p)にしっかりアクセントをキープして弾いてください。シンコペーション部分にアクセントが引っ張られると、ボサノバ特有のゆったりした安定感が崩れてしまいます。
パターン2・3や詳しいTAB譜付きの解説は、こちらの記事をご覧ください。
▶ボサノバの基本リズムパターン3つ|右手の弾き方をTAB譜付きで解説
ステップ3 ― 右手の指を独立させるアルペジオ練習
コードとリズムパターンに加えて、もうひとつ並行して取り組んでほしいのが右手の指の独立です。ボサノバでは親指(p)でベースラインを刻みながら、人差し指(i)・中指(m)・薬指(a)でコードやメロディを弾き分ける必要があります。
▲ アルペジオ練習パターン。p(親指)のアポヤンドを意識して弾きましょう
右手のフォームで意識したいポイントは以下の通りです。
- m(中指)とa(薬指)は指の脇を閉めて、同一方向に弾弦する → 粒の揃った音が出る
- 指は第3関節から動かすイメージ。親指は付け根から動かす意識を持つとミスが減る
- a(薬指)のメロディパートと、i・m(人差し指・中指)のリズムパートを弾き分けることが目標
指弾きの基礎についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ボサノバの指弾き基礎講座|親指と他の指の役割分担を覚えよう
練習の優先順位とよくある失敗パターン
ここまでの3ステップを整理すると、ボサノバギターの練習ロードマップは次の通りです。
- 2拍子の感覚をつかむ(メトロノームを2拍子に設定、1・2で数える癖をつける)
- 基本コード6つを覚える(5弦ルート3種+6弦ルート3種)
- リズムパターン1つをマスター(パターン1だけで1曲弾ける)
- アルペジオで右手の独立を鍛える(並行して取り組む)
よくある失敗パターンをまとめます。
- 4拍子の感覚でリズムを取ってしまう → 2拍目・4拍目にアクセントが入り、ボサノバらしさが消える
- 等間隔(イーブン)に弾けていない → 基本中の基本だが、意外と見落としやすい
- 最初からシンコペーションを入れようとする → 体が混乱して基本パターンも崩れる
- 力を入れすぎている → 脱力の意識がないと、指が疲れてリズムキープが難しくなる
🎸 講師コメント ― 播磨先生
脱力も大切なポイントです。軽く弦に触れるだけの状態から少しずつ押さえていき、音が鳴った瞬間——それが必要最小限の力です。それ以上は全部無駄な力。右手の弾く強さに応じて左手の押す強さも変化させる意識を持つと、長時間の練習でも疲れにくくなりますよ。
まとめ:焦らず、1つずつ確実に
ボサノバギターの練習ロードマップを改めて整理します。
- 2拍子の大前提を理解する(「1、2」で数える習慣づけ)
- 基本コード6つを覚える(5弦・6弦ルートの派生で効率的に)
- リズムパターン1つを安定させる(パターン1だけでOK)
- アルペジオで右手の独立を鍛える(親指のアポヤンドがカギ)
大切なのは、たくさんのことを一度にやろうとしないこと。「これだけでいいの?」と思えるくらいシンプルに、1つずつ確実に積み重ねていくのが、ボサノバギター上達の一番の近道です。
大倉ギター教室のボサノバコースでは、この基本の流れをベースにしつつ、生徒さん一人ひとりのレベルや経験に合わせて柔軟にカリキュラムを調整しています。「自分に合った練習の進め方を知りたい」という方は、ぜひ一度体験レッスンにお越しください。
播磨先生のYouTubeチャンネルでは、実際の演奏やレッスンの雰囲気も公開しています。
▶ Bossa Nova Guitar HARIMA(YouTubeチャンネル)
「何から練習すればいいかわからない」を一緒に解決しませんか?
播磨先生があなたのレベルに合わせたロードマップを一緒に考えます。
よくある質問(FAQ)
Q. ボサノバギターの練習は1日何分くらい必要ですか?
A. 1日15〜30分でも、毎日続ければ確実に上達します。まずは基本コードの押さえ替えとリズムパターン1つを日課にしましょう。短時間でも「毎日触る」ことが大切です。
Q. ギター初心者でもボサノバから始められますか?
A. 始められます。ボサノバの基本コードは6つで、フォームも比較的シンプルです。播磨先生の恩師・佐藤正美氏も「ボサノバをやるのにクラシックの基礎は不要」とおっしゃっています。
Q. ボサノバの練習にはガットギター(クラシックギター)が必要ですか?
A. ガットギターが理想的ですが、アコースティックギターやエレキギターでも練習は可能です。まずはお手持ちのギターで始めてみてください。
Q. ジャズギターの経験があればボサノバもすぐ弾けますか?
A. コード知識は大いに活かせますが、リズムの取り方が根本的に異なります。4拍子の感覚を2拍子に切り替える練習が必要です。ジャズ経験者こそ、2拍子のアクセント位置を意識してみてください。
Q. コードとリズム、どちらを先に練習すべきですか?
A. まず基本コードを数個覚えてから、リズムパターン1つを合わせるのが効率的です。本記事のロードマップ順(コード → リズムパターン → アルペジオ)に進めることをおすすめします。
監修:播磨正明(はりま まさあき)
大倉ギター教室 ボサノバギター専任講師。ギター歴40年超。アントニオ・カルロス・ジョビンの音楽に衝撃を受け、ブラジル音楽に傾倒。1984年に三原淑治氏に師事、1991年NYでJoe Beck氏・Rick Stone氏に師事し現地セッションに参加。1993年LAでJohn Pisano氏からブラジル音楽のハーモニーエッセンスを習得。1994年より日本ボサノバギター第一人者・佐藤正美氏に師事し、大阪ライブで前座・共演を重ねる。2024年よりYouTubeチャンネル「Bossa Nova Guitar HARIMA」を運営中。

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