今回は、大倉が20年の指導経験とアレクサンダーテクニークから磨いた脱力メソッドと、播磨先生のブラジル音楽での実体験を交えて、左手・右手それぞれのフォーム改善術をお伝えします。
執筆:大倉甲(大倉ギター教室代表・ジャズギター講師歴20年)/監修:播磨正明(ボサノバ専任講師・ギター歴40年超)
なぜ脱力が重要なのか|力みがギター演奏に与える影響
実は先日、近所の整骨院の先生に僕のギター演奏を見てもらったんです。すると「指だけで弾いていますね」と。指だけでなく、手のひら、さらに腕と肩、鎖骨につながっているイメージを持って、しかも外側の筋肉はキープしつつインナーの筋を脱力するイメージで弾いてくださいと言われました。あと、首にもとても力みが感じられるとのこと。今の自分にとってはとても難しいのですが、意識して取り組んでいるところです。
① 疲労とミスの増加 — 必要以上の力は筋肉を早く疲労させ、ミスタッチの原因になる
② 故障のリスク — 腱鞘炎やジストニアなど、深刻な障害につながることも
③ 音楽的な表現の制限 — ボサノバの繊細なタッチや柔らかいニュアンスは、力んでいると出せない
左手の脱力|最小限の力を見つける4ステップ(大倉メソッド)
ステップ1:最小限の力を知る
① まず弦に軽く触れるだけの状態からスタートする
② そこから少しずつ力を加えていく
③ 音がクリアに鳴った瞬間 = それが必要最小限の力
④ これ以上の力はすべて「無駄な力」
ステップ2:右手と左手を連動させる
・左手は一定の力で押さえ続けるものではない
・右手で強く弾くときだけ少し強く押さえ、軽く弾くときは軽く押さえる
・つまり左手の力は右手の弾く強さに連動して動的に変化する
・この「連動」の感覚が、脱力の核心
ステップ3:ポジション移動は円運動
・ポジション移動のとき、直線的に動かない
・円を描くようなイメージで手を運ぶと、力みが減る
・スケール練習でも「直線的にカチカチ押さえる」ではなく「円の流れで優しく」
・この意識だけで動きの滑らかさが大きく変わる
ステップ4:全身リラックス
・親指には力を入れない — ネックを握りしめない
・使っていない指は力を抜く・離す(ただし弦から大きく離しすぎない)
・肩・腕・背中など全身をリラックスさせる意識を常に持つ
・演奏中に「今、力が入っているところはないかな?」と定期的にチェック
レッスンでは、この4ステップを実際に講師が目の前でチェックしながら練習できます。
右手の脱力|指弾きのフォームとボディマッピング
第3関節から動かすイメージ
p(親指) — 低音弦側(4〜6弦)を担当。付け根から動かす
i(人差し指)・m(中指)・a(薬指) — 高音弦側(1〜3弦)を担当。第3関節から動かす
ボサノバの基本パターンでは、1拍目に親指で全弦を弾き、あとは親指とフィンガーの交互で刻みます。
ボディマッピングとアレクサンダーテクニーク
右手の指弾きの基礎についてはこちらで詳しく解説しています。
▶ボサノバの指弾き基礎講座|親指と他の指の役割分担を覚えよう
爪のケアも右手のタッチに大きく影響します。
やりがちなNG習慣と改善のヒント
NG① 使っていない指に力が入っている
左手でコードを押さえるとき、使っていない指までギュッと握り込んでしまう。右手も同様に、弾いていない指が硬直している。
使っていない指は意識的に力を抜き、弦から離す。ただし弦から大きく離しすぎないこと。すぐに使えるポジションに、リラックスした状態で待機させる。
NG② プリングの反発する力
プリングオフ(引っかけて音を出す奏法)は、他の指を握りながら1本だけ伸ばす「反発する力」を使う。この動きの繰り返しが故障の原因になりうる。
NG③ 力むとリズムが崩れる
のめり込んで力が入ると、リズムが不安定になりやすい。ボサノバの命であるイーブン(均等)なリズムが崩れてしまう。
脱力を保てていると、指の動きに余裕が生まれ、リズムも自然と安定する。「力を抜くとリズムが良くなる」は多くの生徒さんが体験する事実。
ボサノバのリズムパターンについてはこちらで詳しく解説しています。
▶ボサノバの基本リズムパターン3つ|右手の弾き方をTAB譜付きで解説
まとめ|脱力は一生の課題、まずは意識することから
Step 1:音が鳴る最小限の力を見つける(これ以上の力はすべて無駄)
Step 2:左手の力は固定ではなく、右手の弾く強さに連動させる
Step 3:ポジション移動は直線ではなく円運動のイメージ
Step 4:使っていない部分を解放し、全身をリラックスさせる
僕自身、アレクサンダーテクニークやボディマッピングの考え方をレッスンに取り入れていますが、こうした身体の使い方は目の前で実際に見てもらわないと伝わりにくい部分がとても多い。独学で悩んでいる方はぜひ一度、レッスンで体感してみてください。
播磨先生のYouTubeチャンネルでは、ボサノバギターの実演を公開しています。右手のタッチやフォームの参考にもなりますので、ぜひチェックしてみてください。
▶YouTube「Bossa Nova Guitar HARIMA」
脱力は実際に目の前で見てもらうのが一番の近道。
講師がフォームを丁寧にチェックするボサノバギターレッスン、まずは無料体験から。
よくある質問(FAQ)
大倉ギター教室 ボサノバギター専任講師。ギター歴40年超。高校1年でギターを始め、アントニオ・カルロス・ジョビンの音楽に衝撃を受けブラジル音楽に傾倒。1984年に三原淑治氏に師事、1991年NYでJoe Beck氏・Rick Stone氏に師事しセッション参加、1993年LAでJohn Pisano氏に師事し「ブラジル音楽のハーモニーエッセンス」を習得。1994年に日本ボサノバギター第一人者・佐藤正美氏に師事し、大阪ライブで前座・共演を重ねる。2024年よりYouTubeチャンネルを開設。
▶ YouTube「Bossa Nova Guitar HARIMA」
