バーニーケッセル[Barney Kessel]

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バーニー・ケッセル(Barney Kessel)は、チャーリー・クリスチャンを徹底的に研究して育った、50年代を代表するジャズギタリストの一人です。ジャズ雑誌の人気投票で3年連続1位に輝き、名盤「ポール・ウィナーズ」を残しました。このページでは、彼の歩みと、いま私たちが彼から学べることを、演奏動画とあわせて紹介します。

30秒でわかる結論

バーニー・ケッセルの一番の聴きどころは、「憧れの人を耳で研究し尽くして、自分のものにした」その育ち方です。

10代でチャーリー・クリスチャンのレコードを擦り切れるほど聴き込み、そっくりに弾けるところから出発しました。ブルースを土台に持ちながら、それを洗練させたスタイルは、いまも「耳コピで上手くなる」お手本です。まずは肩の力を抜いて、動画で音を浴びるところから始めてください。

バーニー・ケッセルは 1923年10月17日、アメリカ・オクラホマ州の生まれ。父は靴職人で、音楽とは無縁な環境でした。12歳の頃に新聞を売って貯めた1ドルでギターを買い、最初の3ヶ月だけレッスンを受けた——人に習ったのは、公式にはこの3ヶ月だけだったらしいです(真相は謎ですが)。つまり、ほとんど独学。ここから先の上達は、まるごと「耳」で身につけたことになります。

目次

チャーリークリスチャンとの出会い

ケッセルは地元の黒人バンドで演奏していました。そのバンドに1年前まで在籍していたのが、チャーリークリスチャン[Charlie Christian]——「ギターをソロ楽器にした最初の人」と言われる、ジャズギターの起点になった人物です。

チャーリー・クリスチャンがベニー・グッドマンと共演した「フライング・ホーム」を聴いて衝撃を受けたケッセルは、彼のレコードを探しては研究する日々を過ごします。

16歳のとき、事件が起きます。当時高校生だったケッセルがオクラホマ大学のダンスバンドで演奏していると、故郷に帰ってきたチャーリー・クリスチャンがそれを聴きに来て、バンドに飛び入りでセッションをしたのです。その後3日ほど、一緒に過ごしたそうです。

▶ ケッセルが憧れたチャーリー・クリスチャンについては チャーリークリスチャン[Charlie Christian] のページで詳しく紹介しています。

バーニー・ケッセルは、ジョー・パスやケニー・バレルと並んで「もともとブルースを土台に持ったギタリストが、ジャズに入ってきた」系譜として語られることがあります。ただ、それはロックのブルースとは少し違います。

「彼らの場合は、もうちょっと洗練されているんです。普通のロック系のミュージシャンがやるブルースとは違う。」

── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)

初期のバーニーケッセルの歴史

1945年にリーダー・セッションを録音します。わずか4曲でしたが、その頃のプレイはチャーリー・クリスチャンそっくりでした。研究の成果が、そのまま音に出ていたわけです。

46年にはベニー・グッドマン、47年には名盤「ライオネル・ハンプトン」の「スターダスト」のレコーディングに参加。同47年には「チャーリー・パーカー」との共演も果たします。48年から50年頃はジャズから少し離れ、スタジオ・ミュージシャンとしての仕事をこなしました。

そして51年、オスカー・ピーターソンのバンドに大抜擢されます。これで一気に脚光を浴び、その後は「ベン・ウェブスター」「レスター・ヤング」「ビリー・ホリデイ」「ジュリー・ロンドン」といった歴史的ミュージシャンとの仕事を重ねていきました。

バーニーケッセルのリーダーデビュー作品

1954年に「イージー・ライク」を録音。ここから、リーダー作品を次々と残していくことになります。

名盤「ザ、ポールウィナーズ」

ジャズギタリストとして絶大な人気を誇ったケッセルは、ジャズ雑誌の「ダウンビート」「メトロノーム」「プレイボーイ」の楽器別人気部門で、56・57・58年の3年連続1位を獲得しました。

同じ紙面でベース/ドラム部門の1位を獲っていた、ベーシストの「レイ・ブラウン」、ドラマーの「シェリー・マン」——この3人で結成されたのが「ポール・ウィナーズ(Poll Winners=人気投票の勝者たち)」です。このバンドで、合計5枚のアルバムを発表しています。

ポール・ウィナーズ名義の5枚(すべてContemporary Records)

  1. The Poll Winners(1957年)
  2. The Poll Winners Ride Again!(1958年)
  3. Poll Winners Three!(1959年)
  4. Exploring the Scene!(1960年)
  5. Straight Ahead(1975年・15年ぶりの再結成盤)

ギター・ベース・ドラムというシンプルな編成での、息の合った演奏。ギタリストなら一度は聴いておきたいサウンドです。

▲ ポール・ウィナーズ(ギター=ケッセル/ベース=レイ・ブラウン/ドラム=シェリー・マン)

バーニーケッセルの使用ギター

1946年製のギブソン ES-350Pに、チャーリー・クリスチャン・ピックアップを使用。アンプは Polytone を使っていました。憧れのクリスチャンと同じ名を持つピックアップというのも、なんだか物語を感じます。

大倉より:機材は気になるところですが、「あの音を出したい」と思ったとき、じつは機材より弾き方の比率のほうがずっと大きいもの。「結局は弾き方。よく言うのは、機材はあまり重要じゃなくて、腕が8割ぐらい」——同じアンプに繋いでも、弾く人が変われば音は全然違います。── 大倉(講師歴20年)

バーニーケッセルの参考動画

スタンダード・ナンバー「Here’s that Rainy Day」の演奏です。

▲ スタンダード「Here’s that Rainy Day」

続いては、オスカー・ピーターソンのバンドでの演奏映像です。ピアノ=Oscar Peterson、ギター=Barney Kessel、ベース=Niels-Henning Ørsted Pedersen という顔ぶれです。

▲ オスカー・ピーターソン(p)/バーニー・ケッセル(g)/N.H.O.ペデルセン(b)

この人から学ぶこと・聴き所

① 「耳コピ」の手本として聴く

ケッセルは、ほぼ独学。憧れのチャーリー・クリスチャンのレコードを研究し尽くして、「そっくりに弾ける」ところまで自分のものにしました。上達の王道は、いまも昔もこれです。憧れの人の演奏を耳で拾って、真似して、そこから自分の言葉にしていく——ケッセルの歩みは、その一番わかりやすい実例です。

※耳コピの進め方は 耳コピの運用|何を・どうコピーするか にまとめています。

② 「ブルースを土台にした洗練」を感じ取る

ケッセルの演奏には、ブルースの匂いが色濃く残っています。でも、それはロックのブルースとは違う、洗練された響き。困ったときはブルースに立ち返る——という土台の作り方は、アドリブの逃げ道にもなり、独学の人にこそおすすめしたい考え方です。ケッセルの演奏を聴きながら、「どこがブルースで、どこがジャズとして洗練されているのか」を耳で追ってみてください。

③ トリオでの一体感を聴く

「ポール・ウィナーズ」は、ギター・ベース・ドラムのシンプルな編成。ピアノがいないぶん、ギターが和音(コンピング)とメロディの両方を担い、3人の呼吸がそのまま音になります。ソロだけでなく「バッキングでどう支えているか」にも耳を向けると、聴こえてくるものが変わります。

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