ジャズを始めて「まず1曲、セッションで出せる曲がほしい」と思ったとき、多くの人が最初に選ぶのがこの曲です。There Will Never Be Another You は、セッションでよくやる人気曲であり、初心者の登竜門とも言われる定番。このページでは、テーマ・コード進行・お決まりのエンディング(譜面PDFつき)に加えて、この曲で何を練習すればいいのかまで整理します。
この曲を1曲通して弾けるようになると、ジャズセッションで最初に出せる「持ち曲」が手に入ります。
keyはE♭、ミディアム〜ファストのスウィング。まずはテーマとお決まりのエンディング(下のPDF)を覚えて、1曲を通して演奏できる状態を作りましょう。ソロは、各コードのコードトーンとⅡ-Ⅴを追えるようにするのが第一歩。やらないこと=いきなり全コードで完璧なソロを目指すこと。テーマ → エンディング → コードトーンの順で、確実に積み上げてください。
There Will Never Be Another Youのテーマ
テーマのみ分かりやすいようにシンプルに弾いてみました。まずは音で、メロディの流れと雰囲気をつかんでください。
▲ 大倉によるテーマ演奏(シンプルなアレンジ)
There Will Never Be Another Youのコード進行

演奏スタイル(テンポ、リズム)
ミディアムからファーストスウィングで演奏されることが多いです。通常インストでのkeyはE♭になります。
There Will Never Be Another Youのポイント
セッションでもかなりの人気曲でよくやる曲、トップ10に入ります。初心者の登竜門的な曲なので覚えておきましょう。
特にエンディングは、繰り返した29・30小節目を半音上げて繰り返します。文字では分かりにくいので楽譜を用意しました。
セッションではお決まりのエンディングなので、慌てないように覚えておきましょう。
この曲で練習すること
「登竜門」と言われる通り、この曲はジャズの基礎をひと通り試せる教材です。テーマとエンディングを覚えたら、次はソロの練習へ。難しいことは要りません。次の順で、現在地を掴めるようにしていきます。
① コードトーンで「今どのコードか」を掴む
まずは各コードのコードトーン(1・3・5・7)を、コードチェンジに合わせて弾けるようにします。ルートから弾く癖がつきやすいので、3・5・7・1 → 5・7・1・3 → 7・1・3・5 と展開させて練習するのがコツ。特に3度と7度はコードの色を決める音なので、優先して押さえます。ここはコードトーンの覚え方と練習の順番|ジャズギターで次のコードへ迷わず繋ぐで体系的に扱う内容です。
② Ⅱ-Ⅴ-Ⅰを実曲で追う
この曲にはⅡ-Ⅴがいくつも出てきます。home key(E♭)のⅡ-Ⅴ-Ⅰは Fm7 → B♭7 → E♭maj7。前のコードの7度から次のコードの3度へ半音でつなぐ「7→3」の動きを意識すると、コード進行がぐっと聞こえてきます。これはⅡ-Ⅴ・テンション(準備中)で深めるポイントです。
③ さらに先へ:サブドミナントマイナーの響き
教室のカリキュラムでは、この曲は「酒とバラの日々」と並んで、サブドミナントマイナー(リディアン7th=解決しないセブンス)を学ぶ教材にもなります。まずはコードトーンとⅡ-Ⅴで現在地を掴めるようになってから、この響きに進むと理解が早いです。
※「Ⅱ-Ⅴ・テンション」の教則ページは準備中です。教室では今日から学べます → 体験レッスン
「ジャズのスタンダードは、難易度がそんなに大きく変わるものではないんです。ざっくり3段階くらいで、普通のレベルの曲が多い。だから最初の数曲を丁寧にやって基礎さえ理解してしまえば、あとはだいたい同じ。数曲やったら、あとは『この曲好きだな』と思うものを選んでいけばいいんです。」
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
ソロ練習の手順:
- バッキング(iReal Pro などの伴奏アプリでOK)を流し、各コードの1・3・5・7をコードチェンジに合わせて全部弾く。
- 慣れたら3・5・7・1など展開形に変え、ルートから始めない形にする。
- Ⅱ-Ⅴの箇所で7→3(前のコードの7度→次のコードの3度)を半音でつなぐ。
- 最後はコードとコードの一番近い音で接続していく。同じ形の繰り返しにしないのがコツ。
大倉の断言:コードトーンは、毎日知らない曲でも1曲ずつやっていくと、反応速度・反射神経が鍛えられます。── 大倉(講師歴20年)
「今どのコードか」を追いながら弾く練習は、アドリブ中に現在地を見失わないための土台になります。
There Will Never Be Another Youについて
1942年、ミュージカル映画「アイスランド」の曲。作曲は「ハリー・ウォーレン」。
1950年にジャズ・ヴィブラフォン奏者「ライオネル・ハンプトン」により録音され、その後ソニー・スティット、レスター・ヤング、アート・テイタム、チェット・ベイカー、ナット・キング・コールなど、ジャズミュージシャンがこぞって演奏した人気曲です。
参考音源
ライオネル・ハンプトンの演奏(録音1950年)。この時代の演奏なのか疑うような、すばらしい演奏です。
ギタリスト「ラッセル・マローン」の演奏です(Billy Taylor Trio)。手元がよく映っているので、ピッキングの研究がしやすそうな動画ですね。
若かりし頃のベーシスト「ニールス・ペデルセン」の貴重な映像です(ソニー・ロリンズ/デンマーク 1965)。この頃の彼の奏法は2フィンガーでした。それにしても超絶です。
チェット・ベイカーの名盤「sings」からです。最後ルバートで終わるのもいいですね。
次に読む・あわせて練習する
- 🎼 ジャズスタンダードを学ぼう!(他の定番曲も、役割つきで一覧から選べます)
「登竜門の1曲」を、セッションで出せる形まで一緒に
覚えたテーマ・お決まりのエンディング・ソロが「セッションで通用する形」になっているかは、実際に弾いてもらいながら、一緒に確認します。手ぶらでOK。楽器はこちらで用意します。
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