ボサノバに最適なガットギターの選び方|初心者向けおすすめポイント | 大倉ギター教室

ボサノバを弾くならガットギター(クラシックギター / ナイロン弦ギター)が最適です。ただし「クラシックギターならなんでもいい」というわけではありません。

ネック幅、ボディサイズ、弦高、ピックアップの有無——チェックすべきポイントはいくつかあります。この記事では、大倉ギター教室のボサノバ専任講師・播磨先生と代表・大倉に、ボサノバに適したガットギターの選び方を詳しく聞きました。

「まだギターを持っていない方」「アコギやエレキしか持っていない方」「1本目のガットギターを買おうとしている方」——すべての段階の方に向けた内容です。

執筆:大倉甲(大倉ギター教室代表・ジャズギター講師歴20年)/監修:播磨正明(ボサノバ専任講師・ギター歴40年超)

目次

なぜボサノバにはガットギター(クラシックギター)なのか

大倉大倉 💬
ボサノバといえばガットギターですが、そもそもなぜガットなんですか?
播磨先生播磨先生 🎸
一番の理由は音色です。ナイロン弦の柔らかく温かい音色が、ボサノバの雰囲気にぴったり合います。ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンなど、ボサノバの創始者たちは全員ガットギターを使っていました。
大倉大倉 💬
アコースティックギター(スチール弦)との違いは大きいですか?
播磨先生播磨先生 🎸
かなり違います。スチール弦はキラキラとした明るい音色で、弾き語りやフォークには合いますが、ボサノバの「囁くような」雰囲気とは相性が違います。ナイロン弦はアタックが柔らかく、コードを押さえたときのハーモニーの溶け合い方がボサノバに合っているんです。
ガットギター(ナイロン弦)とアコギ(スチール弦)の違い
ガットギター(ナイロン弦) アコギ(スチール弦)
音色 柔らかく温かい キラキラと明るい
弦の張力 弱め(指に優しい) 強め(指が痛くなりやすい)
ネック幅 広め(52mm前後) 狭め(43mm前後)
指弾き 非常に弾きやすい 弾けるが弦が硬い
ボサノバとの相性 最適 練習は可能
大倉大倉 💬
「まだガットギターを持っていない」という方は、まず手持ちのギター(アコギでもエレキでも)で練習を始めて大丈夫です。コードやリズムパターンの練習はどのギターでもできますから。ボサノバを続けたいと思った段階でガットギターを検討してください。

ボサノバ向きのガットギター — 5つのチェックポイント

大倉大倉 💬
ガットギターを選ぶとき、具体的にどこを見ればいいですか?
播磨先生播磨先生 🎸
5つのポイントを順番に見ていきましょう。

① ネック幅 — 52mm(クラシック標準)がおすすめ

播磨先生播磨先生 🎸
私はクラシックギター標準の52mm前後をおすすめしています。ボサノバは右手の指弾きでp・i・m・aの4本を使うので、弦と弦の間隔が十分にあった方が弾きやすい。エレガットの中にはネックが細い(48mm前後)モデルもありますが、指弾き中心のボサノバでは標準幅の方が有利です。

ただし、手が小さい方やアコギ・エレキからの移行で「広すぎて押さえにくい」と感じる場合は、やや細めのネックでも問題ありません。自分の手に合うことが最優先です。

② ボディサイズ — フルサイズが望ましいが「しっくりくる」が最重要

播磨先生播磨先生 🎸
フルサイズが望ましいです。ボディが大きい方が低音の鳴りが豊かで、ボサノバの親指のベース音が深く響きます。
大倉大倉 💬
とはいえ、特に最初の1本は構えたときにしっくりくるサイズ・形が一番大事です。フルサイズが体格に合わなければ、小ぶりなボディでも全く問題ありません。無理な姿勢で弾くと力みの原因になりますから。

③ 弦高 — 購入後の調整を前提に考える

大倉大倉 💬
弦高は重要なポイントです。新品のガットギターは弦高がやや高めに設定されていることが多い。弦高が高いと押さえるのに余計な力が必要になり、脱力して弾くことが難しくなります。
播磨先生播磨先生 🎸
購入後にサドル(ブリッジ側のパーツ)を削って弦高を下げる調整をおすすめしています。適切な弦高に調整するだけで弾きやすさが劇的に変わります
弦高調整について

大倉ギター教室でも弦高調整に対応しています。基本的にはお預かりしての調整になります(有償)。ご自身で調整するのが不安な方は、購入後にお気軽にご相談ください。楽器店で購入時に「弦高を下げてほしい」と依頼できる場合もあります。

④ ピックアップの有無 — 今の用途と将来の用途で判断

大倉大倉 💬
ピックアップ付きの「エレガット」と、ピックアップなしの純粋なクラシックギター。初心者はどちらがいいですか?
播磨先生播磨先生 🎸
自宅練習だけならピックアップなしで十分です。将来的にライブやセッションに出たい場合は、PA(音響機材)に接続できるピックアップ付きの方が便利。ただし、エレガットは次のセクションで詳しく説明しますね。

⑤ 音色の好み — 最後は「弾いていて気持ちいいか」

播磨先生播磨先生 🎸
同じ価格帯でもメーカーやモデルによって音色はかなり違います。明るい音、落ち着いた音、芯のある音——好みは人それぞれです。弾いていて「気持ちいい」と感じる音を選んでください。それが練習を続けるモチベーションになります。

指弾きの基礎を知っておくと、試奏のときにも役立ちます。


ボサノバの指弾き基礎講座|親指と指の役割分担を覚えよう

エレガットという選択肢 — ライブやセッションを見据えるなら

大倉大倉 💬
エレガットについて詳しく教えてください。僕はライブではよくGodin(ゴダン)のエレガットを使っていました。現在は製作者不明の古いクラシックギターを使っていますが、ライブではやはりエレガットが便利ですね。
播磨先生播磨先生 🎸
エレガットはピックアップが内蔵されたガットギターです。見た目や弾き心地はクラシックギターとほぼ同じですが、シールドケーブルでアンプやPA(音響機材)に直接つなげます。

エレガットのメリット

播磨先生播磨先生 🎸
ライブやセッションで音量を確保できるのが最大のメリットです。生音のクラシックギターにマイクを立てる方法もありますが、バンド編成ではハウリング(キーンという音のフィードバック)が起きやすく、音量バランスも取りにくい。エレガットならそのストレスがありません。

エレガットの注意点

大倉大倉 💬
注意点もあります。エレガットの中にはネックが細めに作られているモデルがあります。エレキギターやアコギからの持ち替えを想定して、弾きやすさを重視した設計ですね。
播磨先生播磨先生 🎸
ネックが細いと持ちやすいと感じるかもしれませんが、ボサノバの指弾きでは弦間隔が狭すぎて弾きにくいことがあります。エレガットを選ぶ場合も、ネック幅は52mm前後のクラシック標準サイズを選ぶのがベストです。
エレガットを選ぶ場合のチェックリスト

・ネック幅は52mm前後(クラシック標準)か?
・ボディはフルサイズか、自分に合ったサイズか?
・ピックアップの音質は好みに合うか?(試奏でアンプにつないで確認)
・チューナー内蔵か?(あると便利)
・予算に合っているか?(生音のクラシックギターより高めの傾向)

将来的にセッションに参加したい方はこちらもあわせてどうぞ。


ボサノバセッション参加ガイド|初めてのセッションで困らないために

初心者の最初の1本 — 予算別の考え方とおすすめブランド

大倉大倉 💬
初心者が最初の1本を買うとき、予算はどのくらいを考えればいいですか?
播磨先生播磨先生 🎸
最低でも3万円くらいは見てほしいです。それ以下の価格帯は作りが粗く、弦高が高すぎたりネックが反っていたりして、練習のモチベーションが下がる原因になります。ちゃんとしたものを求めるなら10万円くらいが目安です。
安い中古ギターに注意

中古ギターは状態が悪いものが多いため、初心者にはおすすめしません。ネックの反り、フレットの摩耗、ボディの割れなど、初心者では判断できない問題を抱えていることがあります。最初の1本は新品を購入するのが安全です。

予算3万円前後 — まず始めるための1本

入門用として十分な品質。基本コードの練習やリズムパターンの練習には問題ありません。ただし音色や弾きやすさには限界があるので、上達してきたらステップアップを検討してもいいでしょう。

YAMAHA(ヤマハ)

3万円台〜

安いモデルでも品質が安定しているのがヤマハの強み。初心者が最初の1本で失敗しにくいメーカーです。CGシリーズ、Cシリーズなどがガットギターのラインナップ。ネック幅52mmのクラシック標準モデルが揃っています。

Cordoba(コルドバ)

3万円台〜

スペイン・クラシックギターの伝統を受け継ぐブランド。価格帯が幅広く、入門モデルからプロ仕様まで揃っています。ボサノバやラテン音楽に使う人も多いメーカーです。

予算10万円前後 — 長く使えるクオリティ

音色、弾きやすさ、作りの精度が格段に上がる価格帯です。ボサノバを本格的に続けるならこのクラスから選ぶと長く満足できます。

小平(Kodaira)

10万円前後〜

日本の老舗クラシックギターメーカー。丁寧な作りと安定した品質が特徴で、クラシックギター愛好家からの評価が非常に高いです。この価格帯で国産のクオリティが手に入るのは大きな魅力。

ASTURIAS(アストリアス)

10万円前後〜

福岡に工房を持つ日本のギターメーカー。温かみのある音色と弾きやすさに定評があります。小平と同様、この価格帯で優れた国産ギターが手に入ります。

大倉大倉 💬
予算に迷ったら、まず3万円台で始めて「ボサノバを続けたい」と思ったら10万円クラスにステップアップ——という流れも現実的です。
播磨先生播磨先生 🎸
それでいいと思います。最初の1本は「始めるため」のもの。弾いてみて「もっといい音が欲しい」と感じたときがステップアップのタイミングです。

大倉ギター教室のボサノバコースでは、ギター選びについてもレッスンの中でご相談いただけます。

購入前に試奏しよう — 楽器店での確認ポイント

大倉大倉 💬
ガットギターは通販で買うより、楽器店で試奏してから買う方がいいですか?
播磨先生播磨先生 🎸
できれば楽器店で試奏してから買ってください。同じモデルでも個体差がありますし、スペック表ではわからない「抱えた感じ」は実物に触らないとわかりません。

試奏で最も重要なこと — 「抱えた感じ」

播磨先生播磨先生 🎸
試奏で一番大事なのは「抱えた感じ」です。椅子に座ってギターを構えたとき、体にフィットするかどうか。しっくりこないギターは長時間弾くのが辛くなりますし、姿勢が崩れて力みの原因にもなります。

初心者で「音色がわからない」場合は?

大倉大倉 💬
初心者だと「音色の違いがわからない」ということもあると思います。その場合は以下の3つで判断してください。
初心者の試奏チェックリスト

1. 見た目が好きか — 見た目が気に入ったギターは練習のモチベーションになる
2. 抱えた感じがしっくりくるか — 構えたときに体にフィットするか
3. 弾きやすいか(店員に聞く) — 弦高やネックの状態を店員に確認してもらう

播磨先生播磨先生 🎸
音色の違いがわからなくても恥ずかしいことではありません。弾いていくうちに耳が育って、「こういう音が好きだ」という好みが出てきます。最初は見た目と抱えた感じで選んで大丈夫です。

試奏で弾いてみること

ボサノバの基本コードを知っている方は、試奏で以下を試してみてください。

試奏で弾いてみるべきこと

1. 基本コード(M7やm7)を押さえてみる — 左手が押さえやすいか
2. 右手で指弾きしてみる — p・i・m・aで弾いたときの感触
3. 低音弦を親指で弾いてみる — ベース音の鳴りを確認
4. ハイポジション(7フレット以上)を押さえてみる — ネックの握りやすさ

基本コードの押さえ方はこちらで解説しています。試奏前に予習しておくと役立ちます。


ボサノバの基本コード6選|初心者でも押さえやすいフォームを解説

購入後にやるべきこと — 弦高調整のすすめ

大倉大倉 💬
購入したらそのまま弾いていいですか?
播磨先生播磨先生 🎸
弾くことはできますが、弦高の確認と調整はおすすめします。新品のガットギターは弦高がやや高めに設定されていることが多く、そのままだと押さえるのに余計な力が必要です。
大倉大倉 💬
弦高を適切な状態にするだけで弾きやすさがまったく変わります。「ギターが弾きにくい」と感じている方の多くは、実はギターの弦高が高すぎるだけだったりします。
播磨先生播磨先生 🎸
大倉ギター教室でも弦高調整に対応しています。基本的にはお預かりしての調整になりますが、タイミングによっては当日対応できることもあります。ギター購入後、最初のレッスンの際に持ってきていただければ状態を確認しますよ。

まとめ:最初の1本は「弾きたい気持ち」で選んでOK

この記事のポイント

1. ボサノバにはガットギターが最適 — ナイロン弦の柔らかい音色がボサノバに合う
2. ネック幅は52mm — クラシック標準サイズが指弾きに有利
3. ボディはフルサイズが望ましい — ただし「しっくりくる」を最優先
4. 弦高は購入後に調整 — 新品は高めが多い。調整で弾きやすさが劇的に変わる
5. 予算は最低3万円、ちゃんとしたもので10万円 — 安い中古はNG
6. おすすめブランド — ヤマハ・コルドバ(入門)、小平・アストリアス(本格)
7. 試奏で最も重要なのは「抱えた感じ」 — 音色がわからなくてもOK
8. エレガットはライブ・セッション用 — 自宅練習のみなら不要

大倉ギター教室のボサノバコースでは、ギター選びから弦高調整まで、楽器に関する相談にも対応しています。

「どのギターを買えばいいかわからない」方へ
体験レッスンでギター選びのご相談もお受けしています。教室のギターをお試しいただくこともできます。

無料体験レッスンはこちら

よくある質問(FAQ)

アコースティックギター(スチール弦)でボサノバは弾けますか?
弾けます。練習には問題ありません。ただしスチール弦とナイロン弦では音色がかなり異なるため、ボサノバらしい柔らかい音を求めるならガットギターがおすすめです。
エレキギターでボサノバの練習はできますか?
できます。コードやリズムパターンの練習はエレキでも可能です。まず手持ちのギターで始めて、ボサノバを続けたいと思ったらガットギターを検討してください。
エレガットとクラシックギター、初心者はどちらを買うべきですか?
自宅練習だけならクラシックギターで十分です。将来的にライブやセッションに参加したい場合はエレガットの方が便利です。どちらの場合もネック幅52mm前後のモデルを選んでください。
ガットギターの弦はどのくらいの頻度で交換すべきですか?
一般的には1〜2ヶ月に1回が目安です。弦が劣化すると音がこもり、チューニングも不安定になります。弦のメーカーや種類によっても寿命は変わります。
楽器選びで迷ったら教室で相談できますか?
はい。大倉ギター教室ではギター選びの相談にも対応しています。体験レッスンの際にお気軽にご相談ください。弦高調整(有償)にも対応しています。

播磨正明

監修:播磨正明(はりま まさあき)

大倉ギター教室 ボサノバギター専任講師。ギター歴40年超。高校1年でギターを始め、アントニオ・カルロス・ジョビンの音楽に衝撃を受けブラジル音楽に傾倒。1984年三原淑治氏に師事、1991年NYでJoe Beck氏・Rick Stone氏に師事しセッション参加。1993年LAでセルジオ・メンデス等ボサノバの名手と共演してきたJohn Pisano氏に師事。1994年より日本ボサノバギター第一人者・佐藤正美氏に師事し、大阪ライブで前座・共演を重ねる。2024年YouTubeチャンネル「Bossa Nova Guitar HARIMA」開設。
▶ YouTube:Bossa Nova Guitar HARIMA


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