信州・松本周辺のギター工房が一堂に集まる「信州ギター祭り」に行ってきたレポートです(訪問は2021年。各ブランドの印象は当時のものですが、工房の個性は今も変わらない財産なので、「ギター展示会の歩き方」ガイドとして全面更新しました)。大阪から日帰りはしんどかったですが、それ以上の価値がありました。
ギター展示会に行くメリット(結論)
- ビルダーさんと直接話せる――楽器への想い・設計の考え方を作り手から聞ける、一番の価値。
- ショーモデルが買える――展示会用に気合の入った「現時点の最高の1本」が並びます。通常ラインにない限定モデルは必ず試奏を。
- 知らないブランド・変わった材・試作品に出会える――楽器屋さんでは起きない出会いがあります(ノベルティも楽しい)。
- 近場の例=大阪ならサウンドメッセ、長野の信州ギター祭り、横浜方面の楽器フェスタ系など。時間と余裕があれば、行くと確実に楽しいです。
信州ギター祭りとは(日本材の可能性を感じるイベント)
信州には大小たくさんのギター工房があり、このイベントでは松本市周辺の工房が一堂に展示します。ほぼ全ブランドのブースを回って感じたのは、日本の木材を使う挑戦がどの工房にも共通していたこと。まだ発展途上とはいえ、可能性を感じる素材ばかりで、試奏していて本当に楽しいイベントでした。
地域密着型の小さめイベントだからこそ、ビルダーさんとゆっくり話せるのが最大のメリット。「あ、こんなギターあんねや」「こんな新製品あるんだ」という出会いと、作る側の意見を直接聞けるのが、私がこういうイベントに足を運ぶ理由です。以下、実際に試奏してお話しできた工房だけ紹介します(滞在時間が長くなりすぎて全部は回れませんでした…)。
出会った工房たち(2021年訪問時のレポート)
ダイナ楽器さん――OEMの雄のオリジナル機
数々のOEMギターを製作することで有名なダイナ楽器さん。知らず知らずのうちにここのギターを弾いたことがある人は多いはずです。今回はOEMではなく自社オリジナルを展示。特殊な塗装で触り心地が気持ちよく、「軽量ギター」がコンセプトとのことで、実際すごく軽かったのが印象的でした。
Sugi Guitar(スギギター)さん――木材へのこだわりの総本山
国産ハイエンドの代表格。今回は黒柿で製作したギター(指板はブビンガ)を弾かせてもらいました。社長の杉さんともお話しでき、スポルテッド材をギターに使ったのは世界で杉さんが最初だったという話など、木材の貴重な話をたくさん伺えました。高級感と美しさは別格です。
T’s Guitar(ティーズギター)さん――丁寧さが音に出る注目株
一本一本愛情を持って作られているのが伝わる、近年大注目のブランド。木工担当の職人さんと話せたのですが、ネックシェイプは相当に研究して手間をかけて削っているとのことで、実際めちゃくちゃ弾きやすい。音の立ち上がりの早さはネックに入れたカーボンの影響だそうです。
シンラインのテレキャスタータイプは箱感がいい感じに出ていて、立ち上がりも早く、正直欲しくなりました(大阪ではイケベ楽器さんに置いているモデルもあるので、気になる方はぜひ試奏を)。白いテレとストラトを足して2で割ったようなモデルは、立ち上がりが信じられないくらい早く、現代的な音楽に合いそうでした。
AP2さん――アリアプロの系譜
恥ずかしながら知らなかったブランドですが、アリアプロのカスタムショップが独立したのだそう(アリアプロといえばウルフ・ワケーニウスの使用でも有名)。いわゆる「日本のギター」の懐かしい空気があり、ハイフレットへのアクセスが抜群によく考えられていました。ロック系のギタリストに合いそうです。
Suzuka Guitar Design(スズカギターデザイン)さん――個人的No.1
初めて知ったブランドですが、今回いちばん好みでした。コンセプトは「木の音がなるギター」。当たり前のようでいて、他のギターより明確に木の音がします。ストラトタイプもテレタイプもホロウ構造(フルアコに近い設計)とのことで、ジャズでも違和感なく使えるはずです。
驚いたのはオリジナルPUで、コイルタップしても音量がほぼ変わらない。音色はシングルなのに音量はハムのまま――これには脱帽でした。お一人で製作されていて本数が作れないそうなので、見かけたら迷わず試奏をおすすめします。
ちなみにこのブースにあった岩手のAKG工房のハンドメイドアンプ(ダンブル系を参考に製作)もものすごく良くて、クリーンに粘りとパンチがあり、購入を真剣に考えたほどでした。こういう出会いがあるのも展示会ならではです。
momose(モモセ)さん――日本材の研究室
バッカス・ヘッドウェイなどを擁するディバイザーの百瀬さん。ここも日本の木材をいかに使うかに焦点を当てていて、桜・柿・檜・栃のギターを試奏させてもらいました。私のベストは檜。普段使われない日本材それぞれに音の個性があり、すごく勉強になりました(通常ラインでの販売はないそうですが、ゆくゆくはラインナップに期待)。
ギター展示会の歩き方(私のおすすめ)
- とにかく楽しむ。「こんなギターあんねや」「こんな新製品あるんだ」の感覚が一番大事です。
- 作っている人と話す。楽器への想い・設計思想を聞けるのは展示会だけ。買う買わないに関係なく、その後のギター選びの目が変わります。
- イベント限定モデル・試作品は必ず試奏。通常ラインにない「現時点の最高の1本」が来ています。掘り出し物の購入チャンスでもあります。
- ノベルティ・限定グッズもチェック。その時用に作られた楽しいものが多いです。
- 近場のイベントから気軽に。大阪ならサウンドメッセ、長野の信州ギター祭り、横浜方面の楽器フェスタ系など。時間と余裕があれば、行って損はありません。
寄り道(信州まで来たなら)
せっかく長野まで来たので、時間の許す限り観光も。信州名産のわさびが好きなので、無理を言って大王わさび農場へ連れて行ってもらいました。とれたてのわさびは香りがよく、辛いのに食べたあとはすっきり。
もちろん蕎麦もいただきました。蕎麦屋を見つけるたびに立ち寄り、結局3軒はしご。同じ信州そばでも店ごとに特徴があって、どこも美味しかったです。ギターと蕎麦、最高の遠征でした。
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「次の1本」探し、一緒にやりましょう
展示会や楽器店で気になったギターの相談、写真でのメール相談は無料です。大阪・西区(南堀江・桜川)の教室では、近所の楽器店への購入同行(ワンレッスン扱い)もやっています。