Satin Dollは、ジャズのセッションでも定番中の定番。メロディは覚えやすいのに、いざアドリブとなると「コードがどんどん切り替わって指が追いつかない」とつまずきやすい曲です。理由ははっきりしていて、この曲は短いⅡ-Ⅴ(ツーファイブ)が次々に出てくる“Ⅱ-Ⅴの連発曲”だから。このページでは、テーマ演奏・コード進行・名演の参考音源に加えて、「この曲で何を練習すればいいのか」——連続するⅡ-Ⅴをコードトーンで追う練習までを押さえます。
この曲はテーマだと2拍ごとにコードが切り替わる“Ⅱ-Ⅴの連発”。だからスケールで埋めようとするより、各コードのコードトーン——特に3度と7度——で「今どのコードか」を追うのが正解です。
しかもテーマとアドリブでコード進行が変わる(後述)ので、「聴いて今の場所を掴む」力がそのまま試されます。やらないこと=速い切り替えを“指の丸暗記”で乗り切ろうとすること/最初から全部のコードにテンションを盛ること。まずはコードトーンだけで最後まで通せるようにするのが先です。
Satin Dollテーマ
まずはテーマ(メロディ)を、音で耳に入れてください。メロディを覚えてしまうと、このあとのコード進行の話もぐっと分かりやすくなります。
▲ Satin Doll のテーマ演奏(講師・大倉による演奏)
コード進行
この曲のコード進行です。ぱっと見て気づくのは、ひと小節のなかでコードが2回切り替わっているところが多いこと。これがこの曲の“Ⅱ-Ⅴ連発”の正体です。
演奏スタイル(テンポ、リズム)
ミディアムのスウィング
Satin Dollのポイント
テーマとアドリブ時のコード進行を変更する時があります。
冒頭の4小節
|Dm7 G7|Dm7 G7|Em7 A7|Em7 A7|
と通常テーマの時は進行するのですが、アドリブ時にはよく
|Dm7|G7|Em7|A7|
に変更してソロをします。他の曲でもこのような進行の時に、大きくとるような変更はよく行われます。
これにより演奏しやすくなるので覚えておきましょう。
「テーマとアドリブでは、コード進行を大きく取り直して弾くことがよくあります。他の曲でも同じような場面でよく行われる変更なので、覚えておくといい。」
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
だからこそこの曲では、“進行の丸暗記”より「今どのコードか」を耳で掴めるようにしておくことが効いてきます。
この曲で練習すること
「有名だから」だけでなく、連続するⅡ-Ⅴをコードトーンで追う練習がそのままできるのがこの曲の値打ちです。順番に見ていきましょう。
① 連続するⅡ-Ⅴを「今どのコードか」で捉える
冒頭の |Dm7 G7|Dm7 G7|Em7 A7|Em7 A7| は、キーCで読むと Dm7=Ⅱ・G7=Ⅴ・Em7=Ⅲ・A7=Ⅵ7。「Dm7–G7」も「Em7–A7」も、それぞれが小さなⅡ-Ⅴ(ツーファイブ)のかたまりです。しかもテーマだと2拍ごとに切り替わるので、指の勢いだけで弾くと必ず迷子になります。
まずやることは、スケールで埋めることではなく、各コードのコードトーン(1・3・5・7度)で今の現在地を確認すること。特に3度(コードのカラー)と7度を優先して押さえると、たった数音でも進行にぴたりと寄り添います。バッキングトラックを流し、コードトーンだけで最後まで通してみましょう。
② 「接続」で歌う(7→3の半音でつなぐ)
コードトーンは、ずっと 1・3・5・7 / 1・3・5・7 と同じ形で並べても「歌」になりません。大事なのはコードからコードへの接続。前のコードの音から、次のコードのいちばん近い音へつないでいきます。とくに7度 → 次のコードの3度は半音でつながり、Ⅱ-Ⅴの連なりがぐっと立ち上がります(例:Dm7の7度Cから G7の3度Bへ半音。さらにⅡ-ⅤがⅠ(C)へ解決する場面なら、G7の7度FからCの3度Eへ半音)。
大倉の指摘:「ランダムに弾く」といっても本当のランダムではなく、一つのコードが終わったら、次のコードのいちばん近い音へどう繋ぐか——そこをすごく意識してやること。毎日知らない曲でも1曲ずつ通していくと、コード進行に反応する速さ(反射神経)が鍛えられます。── 大倉(講師歴20年)
③ 速い切替(テーマ)と、大きい取り方(ソロ)を両方で
上の「ポイント」で見たとおり、ソロのときは |Dm7|G7|Em7|A7| と1小節1コードにゆったり取り直すのが定番。まずはこのゆっくりのソロ用進行でコードトーンを追い、慣れてきたらテーマの2拍ごとの切替にも挑戦——という順番が無理がありません。「同じ曲なのに、聴こえてくる進行が違う」を耳で判断できるようになると、Ⅱ-Ⅴがどっと出てくる他の曲にもそのまま効きます。
そしてⅡ-Ⅴを追えるようになったら、次のステップはツーファイブでどのテンションを足すか。コードトーンの追い方が土台になって、そこに自然につながっていきます。
※「テンションと251進行」の教則ページは順次公開予定です。教室では今日から学べます → 体験レッスン
Satin Dollについて
- 1953年
- Duke Ellington
- Billy Strayhorn
の共作。
元々デュークエリントン楽団のための曲でした。なので歌詞はなく、インストでの演奏でした。
後に歌詞が付けられ、歌うミュージシャンも増えていき人気曲になりました。
satin dollの参考動画
デュークエリントン楽団によるオリジナルの演奏。ビッグバンドでの演奏ですが、非常に参考になります。
ジャズギターの名盤「The Poll Winners」に収録されています。ギタリストは「バーニー・ケッセル」。雑誌等にもよくコピー譜があったので、コピーした方も多いのではないでしょうか。
個人的にも大好きなのが「ジョーパス」のエリントン特集のアルバムに入っている録音です。バーニーケッセルの影響も感じる演奏です。これは学生のころ、必死にコピーした記憶があります。
エラ&ベイシーから。このテイクも名演です。カウントベイシー楽団とエラフィッツジェラルドの、夢の共演です。
次に読む・あわせて学ぶ
- 🎸 ジャズスタンダードを学ぼう!(他の定番曲・曲選びはこちら)
この曲の練習と直結する教則ページ:
- 📘 コードトーンのマスター|1357の展開・接続・デジタルパターン — 3度・7度の追い方・コードからコードへの接続
- 📘 テンションと251進行(準備中) — ツーファイブでどの音を足すか
- 🎤 初めてのジャムセッションが怖い人へ|準備は「黒本+1曲」で十分 — この曲を人前で弾くまで
教則ページは順次公開予定です。教室では今日から学べます → 体験レッスン
連続するⅡ-Ⅴを「聴いて追える」ところまで、一緒に
コードトーンで進行を追えているか・テーマとソロで切り替わる進行に耳がついていけているかは、独学だと自分では気づきにくい部分です。体験レッスンでは実際に弾いてもらいながら、一緒に確認していきます。手ぶらでOK。楽器はこちらで用意します。
体験レッスンを申し込む →大阪市西区南堀江/桜川駅・西大橋駅から徒歩5分(四ツ橋・JR難波も10分圏)・手ぶらOK