「手のひらサイズのKemper Player、実際のところどうなの?」 「上位機種と同じ音がするって本当?機能制限は後から解除できる?」 「ペダルボードに入れたいけど、使いこなせるか不安…」
コンパクトなペダルサイズで登場し、大きな話題を呼んでいる「Kemper Profiler Player」。その手軽さや価格から注目を集めていますが、一方で初期状態での機能制限など気になる点もありますよね。しかし、このPlayer、実は有償アップグレードによって秘められたポテンシャルを解放できるんです!
こんにちは! 大阪市西区でギター・ベースレッスンを行っている【大倉ギター教室】代表講師の大倉 甲です。当教室ではKemper PowerHeadを導入していますが、今回、友人がPlayerを教室に持ち込んでくれたため、じっくりと試奏する機会に恵まれました。
この記事では、実機を試奏した感想と、これまでのギタリスト・ギター講師としての経験に基づき、Kemper Playerのリアルな実力、メリット・デメリット、そして重要な「有償アップグレード」についても詳しく触れながら、使いこなしのヒントまで徹底的にレビューしていきます!(2025年4月11日現在)
Playerの導入を検討している方、Kemperに興味がある方、コンパクトで高機能な機材を探している方にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
- Kemper全体の概要や基本機能については、こちらの記事も参考にしてください。

1. Kemper Playerってどんなモデル? – コンセプトと概要
Playerが登場した背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、Kemperのフラッグシップモデルが持つ高品質なアンプサウンドを、より手頃な価格で提供するという狙いがあるでしょう。これは他の多くのエフェクターブランドで見られる流れと同様です。
しかし、単なる廉価版ではなく、近年の技術進歩による小型化の恩恵も大きいと感じます。そして、ペダルボードのシステム化が一般化したことも、このコンパクトなPlayerの登場を後押ししたのではないでしょうか。
上位機種であるStageやHead/Rackとの最も本質的な違いは、やはりその「サイズ」と、初期状態では「機能が絞り込まれている」点でしょう。ただし後述するように、有償アップグレードによって機能を大幅に拡張できるのがPlayerの大きな特徴です。
Kemper社としては、すでに他のペダルでシステムが完成しているギタリスト、Kemperサウンドを試したい入門者、上位機種ユーザーのサブ機、そして**「最初はシンプルに、後から機能を追加したい」**と考える層などをターゲットにしていると推測します。
2. 外観とサイズ感:ペダルボードへの収まりは?
Playerのデザインやケンパーカラーのグリーンは、個人的には好印象です。安っぽさはなく、Kemperらしい質実剛健さも感じられます。
サイズ感は、BOSSのツインペダルシリーズ(DD-20やRV-500など)に近く、一般的なコンパクトエフェクターよりは一回り大きいですが、多機能なアンプシミュレーターとしては驚くほどコンパクト。重量も約1.1kgと軽量です。
実際にペダルボードに組み込んだわけではありませんが、このサイズなら多くのボードに問題なく収まるでしょう。ジャック類も後面に配置されており、接続も標準的です。
筐体の作りもしっかりしており、ノブやフットスイッチの感触も良好。GAIN、EQ、VOLUMEといったアンプの基本コントロールに関わるノブがアクセスしやすい位置に配置されている点は、演奏中の微調整を考えると非常に良い設計だと感じます。
3. 【重要】Playerが化ける!有償アップグレード「LVL II & LVL III」徹底解説
Playerを評価する上で絶対に欠かせないのが、この有償ソフトウェア・アップグレードの存在です。初期状態(LVL I)でも魅力的なPlayerですが、アップグレードすることでその真価を発揮し、上位機種に迫る、あるいは同等の機能を手に入れることができます。

「LVL II」アップグレード:エフェクトのフル解放と便利機能の追加
まず最初のステップが「LVL II」アップグレードです。これを導入することで、Playerの機能は以下のように強化されます。(価格: 約¥20,780 ※2025/4時点)
- 利用可能なエフェクト種類の大幅増加(初期38種類 → 全91種類): これがLVL IIの最大の目玉。上位機種に搭載されている全てのKEMPER FXタイプが利用可能になります。高品質なリバーブ、ディレイ、ピッチシフター、モジュレーション、KEMPER Drive/Fuzz、Shaper、各種EQなどがアンロックされ、音作りの幅が格段に広がります。個人的には「Studio Equalizer(パラメトリックEQ)」と「Cirrus Reverb」の追加は非常に大きいと感じます。クオリティは上位機種同等です。
- Morphing機能の追加: 複数のパラメータを滑らかに変化させるKemper独自の強力な機能。サウンドに劇的な変化を与えられます。
- その他の便利機能追加:
- Output EQ: 会場などに合わせた最終的な音質補正に。
- True Impedanceスイッチ: ファズ等のペダル接続時のインピーダンス整合。
- Rig X-Fade Time: Rig切り替え時の音の繋がりをスムーズに。
- Beat Scanner: 曲のテンポ(BPM)を検出。
【重要】LVL IIでのエフェクトブロック数: 注意点として、LVL IIにアップグレードしても、同時に使用できるエフェクトブロックの数は最大4つ(アンプ/Cab含む)のままです。使えるエフェクトの「種類」は大幅に増えますが、「同時使用数」は変わりません。
「LVL III」アップグレード:Stageに匹敵するフル機能へ!
LVL IIを導入した上で、さらに機能を開放するのが「LVL III」アップグレードです。(LVL IIからのアップグレード価格: 約¥24,000 / LVL II+III バンドル価格: 約¥44,000 ※2025/4時点)
- 同時使用エフェクトブロック数が8つに増加: これがLVL III最大のメリット。Pre-Stack x4, Post-Stack x4の合計8ブロックが同時使用可能になり、上位機種と全く同じように複雑なエフェクトチェインが組めます。
- Looper機能の追加: 練習や曲作りに便利なルーパー機能が追加されます。
- Parallel Path機能の追加: エフェクトを並列処理し、より高度な音作りが可能になります。
- Rigメモリの大幅増加: 保存できるRig数が625 Rig / 125 banksに増加。膨大なサウンドを持ち運べます。
LVL IIIまでアップグレードすると、機能的には(外部エフェクトループがない点を除き)上位機種とほぼ同等になります。
アップグレードの費用対効果と導入方法
アップグレードの価格設定は絶妙だと感じます。LVL IIIまでアップグレードすると合計約4.4万円の追加費用がかかりますが、Player本体(約12万円)と合わせても約16.4万円。これはStage(新品約22万円)よりも安価です。
判断基準:
- 可搬性最優先でフル機能が欲しい → Player + LVL III
- 足元での操作性やディスプレイも重視 → Stage
導入にはPC/Mac、Rig Manager Ver 3.8以上、Profiler OS Ver 12以上が必要です。おそらくRig Manager経由で購入・アクティベートする流れになるでしょう。(詳細は公式サイトをご確認ください。一度適用すると返金不可です。)
どんな人にアップグレードはおすすめ?
- LVL II おすすめな人: Playerのサウンドは気に入っているが、特定のエフェクト(高品質リバーブ、多機能ディレイ、ピッチシフター等)が欲しい人。Morphing機能を使いたい人。
- LVL III おすすめな人: Playerをメイン機材として一台で完結させたい人。同時に多くのエフェクトを使いたい人。Looper機能が欲しい人。費用を抑えつつStageに近い機能が欲しい人。金銭的に許せば、Playerのポテンシャルを最大限引き出せるLVL IIIは非常に魅力的です。
無料OSアップデートとの関係: これらの有償アップグレードはオプションです。Kemperは従来通り無料のOSアップデートも提供しており、基本的な機能改善などはそちらで対応されると考えられます。
4. サウンドクオリティ:小さいけど音は本物?(アップグレードも踏まえて)
改めてサウンドについて。結論として、Playerの基本的なアンプサウンドのクオリティは上位機種と遜色ないレベルです。Kemper Kone搭載キャビネットで比較しましたが、同じRigを使えば出てくる音はほぼ同じ。これは驚異的です。
教室の有料Rigを使っても期待通りの素晴らしいサウンドが得られました。クリーンからハイゲインまでリアルなアンプサウンドは健在です。
ただし、Kemper全体に言えるローがやや曇る傾向はPlayerでも感じました。これを解消するには、内蔵のパラメトリックEQ(LVL IIで追加されるStudio EQが特に有効)を使いこなし、的確に不要な帯域をカット、必要な帯域をブーストすることが非常に重要です。
LVL IIアップグレードで追加される高品質なリバーブ(Cirrus Reverbなど)やディレイ、モジュレーション系エフェクトを使えば、サウンドの奥行きや表現力は格段に向上します。LVL IIIで同時8エフェクトが可能になれば、さらに複雑で作り込んだサウンドも実現可能です。
キャビネットシミュレーターについては、内蔵Cabも使えますが、よりこだわるなら外部IRデータの読み込み(対応)や、当教室のようにKemper Koneキャビネットを使うのがおすすめです。
5. 操作性:シンプルさとアプリ連携(アップグレードによる変化は少ない)
Playerの操作性は、アップグレードしても基本的な部分は変わりません。
- 本体操作: アンプの基本コントロールとフットスイッチに割り当てた機能が中心。直感的ですが限界もあります。
- LED表示: 慣れが必要。Rig名の確認などはできません。
- Rig Managerアプリ: 詳細設定やRig管理には依然として必須です。使い勝手は良好。
- ライブでの操作: LVL IIIでRigメモリが増えても、本体スイッチだけでの素早いアクセスは難しいでしょう。音色数が少ないなら本体のみ、多いなら外部フットスイッチ増設が推奨されます。
6. 機能チェック:できること・できないこと(アップグレード後)
アップグレード後のPlayerの機能を見てみましょう。
- 同時使用エフェクト数: 初期は最大4つ。LVL IIIで最大8つに増加。
- エフェクトの種類: 初期は38種類。LVL IIで全91種類に増加。クオリティは上位機種同等。
- Looper / Parallel Path: LVL IIIで追加。
- Rigメモリ: 初期は50。LVL IIIで625に増加。
- Bluetoothオーディオ: 搭載。練習に便利。
- USBオーディオインターフェイス: 搭載。宅録に利用可能。
- プロファイリング機能: なし(どのレベルでも不可)。
- センド/リターン端子: なし(どのレベルでも不可)。
アップグレードによってエフェクト関連の機能は大幅に強化されますが、ハードウェア的な制限(プロファイリング、センド/リターン)は変わりません。
7. 実践!Player(&アップグレード)のメリットを最大限活かすには?
Player(特にアップグレード後)のメリットは**「コンパクトさ」「上位機種譲りのコアサウンド」「(LVL IIIでの)十分な機能性」「比較的手頃な価格(アップグレード込みでも)」**にあります。
これを活かすシーンは多彩です。
- ペダルボードの「アンプ心臓部」として: 最もPlayerらしい使い方。
- 自宅練習システムの中核に: 小音量でも高品質。Bluetoothも活用。
- DTM/宅録用のアンプシミュレーターとして: USBで手軽に録音。
- ミニマルなライブセット: LVL IIIなら、これ一台+エクスプレッションペダル等で完結も可能。
- ジャズギタリストに: 高品位なクリーンサウンドと必要十分なエフェクト。
使いこなしのヒント&良い音を作るコツ:
- 前段に高品質なバッファを置く: サウンドにハリと艶が出ます(Kemper全般におすすめ)。
- 良いRigを使う: サウンドの核。有料Rigも検討価値あり。
- パラメトリックEQを使いこなす(重要!): ローの曇りを取り、音抜けを良くする鍵。LVL IIで追加されるStudio EQが効果的。
8. Player(&アップグレード)の弱点? デメリットと注意点
アップグレードしても残る、あるいは新たに出てくるデメリットや注意点です。
- 初期状態での機能制限: アップグレードしない場合はエフェクト種類・数に制限あり。
- 拡張性の低さ: センド/リターンがないため、複雑なシステム構築は不可。
- ディスプレイ非搭載: ライブ中のRig名確認などが不便。
- アプリへの依存度: 細かい設定にはアプリがほぼ必須。スマホ忘れ等のリスク。
- 追加コスト: フル機能(LVL III)を求める場合、本体価格+約4.4万円の追加投資が必要。
- 操作性: Stageに比べると、本体でのリアルタイムな操作性は劣る。
9. Playerはどんな人におすすめ?(アップグレードも考慮して)
アップグレードの選択肢も含めて、おすすめユーザーを考えます。
- 初期状態(LVL I)がおすすめな人:
- とにかく安価にKemperサウンドを試したい人。
- 使うエフェクトが非常に少ない(アンプ+リバーブ程度)人。
- ペダルボードのアンプ役として割り切って使う人。
- LVL IIアップグレードがおすすめな人:
- 特定のKemperエフェクト(高品質リバーブ、ピッチシフター等)を使いたいが、同時使用数は4つで十分な人。
- Morphing機能を使いたい人。
- LVL IIIアップグレードがおすすめな人:
- Playerをメイン機材とし、一台で音作りを完結させたい人。
- 同時に多くのエフェクトを使いたい、Looper機能が欲しい人。
- 可搬性を最優先しつつ、Stageに近い機能性を求める人。
- Stage/Head/Rackがおすすめな人:
- 予算があり、最初からフル機能を使いたい人。
- センド/リターンが必須な人。
- ディスプレイや豊富な物理ノブによる操作性を重視する人。
- プロファイリング機能を使いたい人。
Kemper初心者にとって、まずはPlayer(LVL I)から始めて、必要に応じてアップグレードしていく、というのは非常に良い選択肢(アリ)だと思います。
10. まとめ:Kemper Player(+Upgrade)は「買い」なのか?
個人的な評価としては、Kemper Playerは非常に魅力的で、特にアップグレード後のポテンシャルを考えると「買い」な選択肢だと強く感じます。上位機種と同等のコアサウンドをこのサイズで実現し、さらにアップグレードでStageに匹敵する機能まで手に入れられるというのは驚異的です。
機能制限や拡張性の低さといった割り切りは必要ですが、それが自身の使い方にマッチし、必要であればアップグレードも厭わないのであれば、これ以上ないほどスマートでパワフルな機材となるでしょう。もしパワーアンプが不要な環境であれば、当教室に導入するメイン機材としてPlayer(+LVL III)を選んでいた可能性も高いです。
最後に、購入を検討している方へのアドバイスです。Playerはアップグレードも含めると決して安い買い物ではありません。ご自身の使い方、必要な機能、そして予算をよく考え、可能であれば試奏するなどして、慎重に検討しましょう。一方で、Kemperシリーズは中古市場でも人気があり、リセールバリューも比較的高いです。「まず買って試してみて、合わなければ…」という考え方も、場合によってはアリかもしれません。
【大阪 大倉ギター教室】からのお知らせ
「Kemper Player、気になるけどアップグレード含めて迷う…」 「Kemperの基本的な音作りやRig選びを相談したい!」 「他のアンプシミュレーター(TONEX, Iridium, Quad Cortexなど)とも比較して決めたい!」
大倉ギター教室では、Kemper Playerの実機は現在所有しておりませんが、当教室で使用しているKemper PowerHeadを使って、Kemperの基本的な音作りの考え方やRig選びのご相談に対応可能です。アップグレードに関するご相談もお受けできます。
また、当教室にはIK Multimedia TONEX Pedal、Strymon Iridium、Neural DSP Quad Cortexといった他の人気アンプシミュレーターの実機もございますので、それぞれの特徴やサウンドの違いを比較しながら、あなたに最適な機材選びをサポートすることも可能です。
もちろん、機材相談だけでなく、ギター/ベースの演奏テクニックに関するレッスンも随時受け付けております。
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