こんにちは。「大倉ギター教室」の大倉です。
ジャズギターと音楽理論の完全読破ロードマップ、今回は第29回です。 今日の**結論(最重要ポイント)**からお伝えします。
💡 今日の結論:ペダルポイントは「嵐の中の錨(いかり)」だ
- 定義: コードが次々と変わっても、ベース音(低音)だけはずっと同じ音を弾き続ける技。
- 由来: パイプオルガンの**足鍵盤(ペダル)**を踏みっぱなしにする奏法から。
- 効果: 上が動いて下が止まることで、**「雄大さ」や「強烈な焦らし」**を演出する。
「コードチェンジに合わせてベースラインを動かさなきゃ!」 そう思い込んでいませんか? プロは、あえて**「動かさない」**という選択をすることで、楽曲に魔法をかけています。
1. 動と静の「空撮ドローン視点」
通常、コードが「C → F → G」と動けば、ベース音も「ド → ファ → ソ」と動きます。 これは、地上で一緒に歩いている視点です。
しかし、ペダルポイント(持続低音)を使うとこうなります。 コードは「C → F → G」と動いているのに、ベース音はずっと「ドーーー(C)」のまま。
- 上(コード): 激しく景色が変わる(動)
- 下(ベース): 一点に留まっている(静)
これはまるで、「上空にホバリングしているドローンからの視点」です。 地上の景色は移り変わっているのに、カメラの位置(土台)は不動。 この「乖離(かいり)」が、楽曲に壮大なスケール感や独特の浮遊感を与えます。
元々は、教会のパイプオルガン奏者が、足(ペダル)で低い音をずっと踏みっぱなしにして、手だけで和音を変えていたことからこの名前がつきました。

2. 「錨(いかり)」か「溜め(ため)」か
ペダルポイントには、主に2つの使い方があります。
① トニック・ペダル(Iの音を伸ばす)
- 「嵐の中の錨」
- Cメジャーキーで、ずっと「ド(C)」を鳴らし続ける。
- イントロやエンディングでよく使われます。
- 上に乗るコードがFやGに変わって不協和になっても、土台が「ド(家)」なので、**「絶対に揺るがない安心感・雄大さ」**が出ます。映画のオープニングのような響きです。
② ドミナント・ペダル(Vの音を伸ばす)
- 「ジャンプ直前の溜め」
- Cメジャーキーで、ずっと「ソ(G)」を鳴らし続ける。
- サビの直前などで使われます。
- 「早くトニック(ド)に行きたいのに、ずっとドミナント(ソ)で焦らされる!」という、強烈な緊張感と期待感を生み出します。
3. 分数コード(Onコード)の正体
楽譜を見ていると、こんな進行に出会うことはありませんか?
C → F/C → G/C → C
「なんでわざわざ全部に『/C』をつけるの?」 これこそが、ペダルポイントの表記です。
本来なら不協和音になる組み合わせ(Gコードの時にベースがCなど)も、ペダルポイントという魔法を使えば、**「お洒落なテンション感」**に変わります。
これを**「アッパーストラクチャー(上部構造)」**の遊びとも言います。 土台(ベース)を固定することで、上のコードたちは首輪を外されたように自由に飛び回ることができるのです。

まとめ:今日の持ち帰りメモ
忙しい方のための3行まとめです。
- ペダルポイントは、コードが変わってもベース音を固定する技法。
- トニックペダルは「雄大さ」、ドミナントペダルは「焦らし(期待感)」を作る。
- 楽譜上の**「/C(オンコード)」の連続**は、ペダルポイントの合図。
次回は、近現代ジャズの摩訶不思議な世界へ。 コードの形をそのまま平行移動させる**「コンスタント・ストラクチャー」**について解説します。 「ドミソ」の形のまま、ドレミファソラシドを全部弾いちゃう!? そんなのアリ?
「F/CとかG/Cって、指が届かないよ!」という方は、大倉ギター教室へ。 親指を使ったり、あえて構成音を省略したりする「ギタリストのためのペダル奏法」を伝授します。