こんにちは。「大倉ギター教室」の大倉です。
ジャズギターと音楽理論の完全読破ロードマップ、今回は第27回です。 今日の**結論(最重要ポイント)**からお伝えします。
💡 今日の結論:オルタードスケールは「激辛スパイス」だ
- 正体: ドミナント(V7)上で使える、最も緊張感(アウト感)が強いスケール。
- 成分: 4つのオルタードテンション(b9, #9, #11, b13)が全部入り。
- 裏技: 「G7」で使いたかったら、**半音上の「Abメロディックマイナー」**を弾けばいい。
「オルタード(Altered)」とは、「変更された」「改造された」という意味です。 普通のドレミを極限まで改造して、毒をたっぷり注入したのがこのスケールです。
1. 家庭のカレー vs 激辛スパイスカレー
ドミナントコード(G7など)の上で使うスケールには、ランクがあります。
- 初級:ミクソリディアン(普通のメジャースケール出身)
- いわゆる「家庭の中辛カレー」。安定していて美味しいですが、驚きはありません。
- 上級:オルタードスケール
- スパイスを大量投入した**「激辛本格カレー」**。
- 一口食べた瞬間に汗が吹き出すような刺激(不協和音)がありますが、その奥に強烈な旨味があります。
なぜそんなに刺激的なのか? それは、このスケールの中に**「全てのオルタードテンション(b9, #9, #11, b13)」**が含まれているからです。 さらに、安定の象徴である「完全5度」の音が入っていません。
つまり、「耳を安心させる成分を排除し、耳を刺激する成分だけを詰め込んだ」という、とんでもない劇薬なのです。 しかし、この味を一度知ってしまうと、普通のミクソリディアンでは物足りなくなる……そんな中毒性があります。
2. 覚え方の裏技「半音上のメロディックマイナー」
「そんな複雑なスケール、覚えられるか!」 と思ったあなた。安心してください。ジャズマンたちは、誰もまともに覚えていません。 実は、**「ある別のスケール」**と中身が全く同じなんです。
それが、第16回で登場した「メロディックマイナー(ジャズマイナー)」です。
【魔法の公式】 〇〇オルタード = 半音上のメロディックマイナー
例えば、「G7」でオルタードな響きを出したい時。 G(ソ)の半音上は…「Ab(ラb)」ですね。 迷わず、**「Abメロディックマイナー」**を弾いてください。
なんと不思議。それだけで、G7に対する「b9, #9, #11, b13」の音が全て自動的に鳴ってしまうのです。 これを理論用語で**「スーパーロクリアン・スケール」**とも呼びますが、やることは「半音上のマイナーを弾く」。これだけです。

3. 「絶叫マシン」の後の安堵感
この激辛スパイス、いつ投入すればいいのでしょうか? ベストタイミングは、**「解決する直前(V7)」**です。
特に、**「G7 → Cm7」**のように、マイナーコードへ解決する時に相性抜群です。
- G7(オルタード発動): 「うわーっ! 不協和音だ! 怖い! 落ちるー!」(絶叫マシンの落下)
- Cm7(解決): 「ふぅ…助かった…着地した…」(地面に足がついた安堵感)
解決する直前に、あえて**「最悪の事態(ドロドロした緊張)」**を演出することで、その後の解決がよりドラマチックに、感動的に聞こえるのです。 これぞジャズのアドリブにおける「マッチポンプ」の美学です。
まとめ:今日の持ち帰りメモ
忙しい方のための3行まとめです。
- オルタードは、テンション全部入りの**「激辛スパイス」**。
- G7で使いたければ、**半音上の「Abメロディックマイナー」**を弾く。
- 解決直前に使うことで、スリリングな展開を作れる。
次回は、これまで学んだ「機能(トニックやドミナント)」のルールが通用しない世界へ。 ブルースやファンクで使われる**「ドミナント機能を持たない7thコード」**について解説します。ジェームス・ブラウンの世界です。
「メロディックマイナーの指使いを忘れちゃった…」という方は、大倉ギター教室へ。 オルタードを一発で弾ける「手癖フレーズ」を伝授します。これさえあれば、セッションで「おっ、ジャズっぽいね!」と言われること間違いなしです。