第26回:ドリアン?ミクソリディアン?「モード」を整理する

こんにちは。「大倉ギター教室」の大倉です。

ジャズギターと音楽理論の完全読破ロードマップ、今回は第26回です。 今日の**結論(最重要ポイント)**からお伝えします。

💡 今日の結論:モードは「同じDNAを持つ7人の兄弟」だ

  1. 正体: メジャースケールの**「開始音」をずらしただけ**。使っている音(材料)は全く同じ。
  2. キャラ: 「ド」から弾けば優等生、「レ」から弾けばお洒落、「ファ」から弾けば不思議ちゃん。
  3. 覚え方: 丸暗記せず、メジャースケールとの**「間違い探し(特性音)」**で覚える。

「新しいスケールを7個も覚えるの!?」 いいえ、違います。覚えるのは1個(メジャースケール)だけです。 あとは「どこから弾き始めるか」を変えるだけで、魔法のように響きが変わるのです。

1. 主役が入れ替わる「衣装チェンジ」

「Cメジャースケール」の構成音は、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の7音です。 これを**「誰を主役(リーダー)にするか」**によって、モードの名前が変わります。

  • が主役(ド〜ド): アイオニアン(いつものドレミ)
  • が主役(レ〜レ): ドリアン
  • が主役(ミ〜ミ): フリジアン
  • …(以下続く)

使っている音の材料は「白鍵だけ(Cメジャー)」で全く同じです。 しかし、主役(トニック)が変わることで、音の重心が変わり、聴こえてくる風景がガラリと変化します。

これは、一人の俳優(構成音)が、演じる役柄に合わせて**「衣装チェンジ」をするようなものです。 中身は同じ人でも、スーツを着れば「真面目なビジネスマン」に見えるし、サングラスをかければ「ワイルドなロッカー」に見える。 それが「モード(教会旋法)」**の正体です。

2. ジャズで使う「主要4兄弟」の性格診断

7人全員覚えるのは大変なので、ジャズで頻繁に登場する**「主要な4人」**の性格を紹介します。 それぞれのコード(I, II, IV, V)に対応した専属の担当者がいます。

① アイオニアン(Ionian)=「クラスの優等生」

  • **「ド」**からスタート(Imaj7用)。
  • いつもの「ドレミ」。明るくて、安定していて、誰もが安心する王道の響きです。

② ドリアン(Dorian)=「都会的でクールな次男」

  • **「レ」**からスタート(IIm7用)。
  • マイナー調ですが、暗すぎず**「洗練されたお洒落さ」**があります。
  • ジャズやシティポップの「都会的な雰囲気」は、だいたいこの次男の仕業です。

③ リディアン(Lydian)=「夢見がちな空想家」

  • **「ファ」**からスタート(IVmaj7用)。
  • メジャーよりもさらに明るく、重力から解き放たれたような**「浮遊感」「神秘的」**な響きです。
  • ジブリ映画やディズニー映画の「空を飛ぶシーン」でよく使われます。

④ ミクソリディアン(Mixolydian)=「ファンキーな自由人」

  • **「ソ」**からスタート(V7用)。
  • 陽気だけど、ちょっと泥臭い。ロックブルースファンクのようなワイルドな明るさです。

3. 「ほくろ(特性音)」で見分ける

「性格はわかったけど、音の違いが覚えられない…」 そんな時は、「普通のドレミ(アイオニアン)と、どこが違うか?」という間違い探しをしてください。

その「たった一つの違い」こそが、そのモードの性格を決定づける**「特性音(Characteristic Note)」**です。 兄弟を見分けるための「ほくろ」や「チャームポイント」だと思ってください。

  • リディアンのほくろ:普通のメジャーより、4番目の音が高い(#4)
    • この「#4」が、あの宇宙っぽい浮遊感の正体です。
  • ミクソリディアンのほくろ:普通のメジャーより、7番目の音が低い(b7)
    • この「b7」が、ロックっぽい泥臭さの正体です。
  • ドリアンのほくろ:普通のマイナーより、6番目の音が高い(ナチュラル6)
    • 普通のマイナーは6度が低くて暗いですが、ドリアンはここが高いので「お洒落」に聞こえます。

アドリブをする時は、この「ほくろ(特性音)」をあえて強調して弾いてあげると、 「おっ、こいつモードの違いをわかってるな!」 と評価されます。

まとめ:今日の持ち帰りメモ

忙しい方のための3行まとめです。

  1. モードは、スタート地点を変えてキャラ変したもの(同じDNA)。
  2. ドリアンはお洒落、リディアンは浮遊感、ミクソはワイルド。
  3. それぞれの**「特性音(チャームポイント)」**を意識して弾き分ける。

次回は、ドミナントコード(V7)上で使える「最強のスケール」について。 ジャズメンがこよなく愛する、少し危険でアウトな響き**「オルタードスケール」**の正体に迫ります。

「ドリアンを弾こうとすると指が迷う…」という方は、大倉ギター教室へ。 実はギターなら、**「いつものドレミのポジションを2フレットずらすだけ」**でドリアンになるんです。そんな「ギタリストならではの裏技」をお教えします。