第24回:世界を変える「転調」テクニック

こんにちは。「大倉ギター教室」の大倉です。

ジャズギターと音楽理論の完全読破ロードマップ、今回は第24回です。 今日の**結論(最重要ポイント)**からお伝えします。

💡 今日の結論:転調は「部屋の移動」である

  1. 転調(Modulation): 単なる音の平行移動ではなく、「別の景色(キー)」への空間移動
  2. ピボット転調: 共通のコード(回転扉)を使って、気づかれないように部屋を移動する。
  3. ダイレクト転調: 準備なしに壁をぶち壊して隣の部屋へ飛び込む(ラスサビの盛り上げ等)。

「あれ? いつの間にか雰囲気が変わってる…」と思わせるか、「うおー! 変わったー!」と叫ばせるか。 転調にはこの2つの演出方法があります。

1. キー(調)は「部屋」である

音楽における「キー(Key)」とは、**「部屋」**のようなものです。

  • Cメジャーの部屋: 白い壁、明るい窓、Cmaj7という家具がある。
  • Gメジャーの部屋: オレンジの壁、暖かい暖炉、Gmaj7という家具がある。

ずっと同じ部屋にいても快適ですが、長い曲だと少し飽きてきますよね。 そこで、曲の途中で**「別の部屋へ移動(転調)」**して、聴いている人の気分をリフレッシュさせるのです。

問題は、**「どうやって隣の部屋へ移動するか?」**です。

2. 回転扉ですり替える「ピボット転調」

一番スマートな方法は、**「回転扉(ピボットコード)」**を使うことです。

例えば、Cメジャーの部屋と、Gメジャーの部屋。 実はこの2つの部屋には、「Am7」という共通の家具が置いてあります。

  • Cキーの住人にとって、Am7は「6番目のコード」。
  • Gキーの住人にとっても、Am7は「2番目のコード」。

どちらの部屋にも存在できるコード。これを**「ピボットコード(共通和音)」**と呼びます。

【移動の手順】

  1. Cメジャーの部屋で遊んでいる。
  2. 「Am7(回転扉)」に入る。
  3. 聴き手はまだCの部屋だと思っている。
  4. しかし、扉を出た瞬間、そこはもうGメジャーの部屋だった!

「Am7」という共通の軸(ピボット)を通ることで、段差を感じさせることなく、気づかないうちに景色をすり替えることができるのです。 これがジャズやクラシックで使われる「スムーズな転調」です。

3. 壁をぶち壊す「ダイレクト転調」

もう一つの方法は、扉なんて探しません。 **「壁をドカーンと突き破って、隣の部屋へワープする」**方法です。

準備(ピボット)なしに、いきなり新しいキーのコードを弾きます。 これを**「ダイレクト・モジュレーション(直接転調)」**と呼びます。

  • 使用例: ポップスの「ラストのサビ」で半音上がる時。

「ジャーン!(Cキー終了)…ジャーン!!(Dbキー開始)

聴き手には「うわっ!?」という衝撃が走ります。 車で言えば、アクセル全開でギアを一気にトップに入れるようなもの。 スムーズさはありませんが、「ここからラストスパートだ!」という高揚感を演出するには最高のテクニックです。

今回のポイントをおさらい

今日のお話、少し難しかったでしょうか? 最後に要点だけ整理しておきましょう。

  1. 転調は、音楽の「場面転換(部屋の移動)」。
  2. ピボット転調は「回転扉」。共通のコードを使ってスムーズに移動する。
  3. ダイレクト転調は「ワープ」。衝撃を与えて盛り上げる。

次回は、いよいよ**「実践編:ジャズスタンダードの分析」**に入ります。 これまでに学んだ24回分の知識を総動員して、名曲『枯葉(Autumn Leaves)』の謎を解き明かします。全ての伏線が回収されますよ!

「転調が多い曲だと、今どこにいるのか分からなくなる…」という方は、大倉ギター教室へ。 指板全体を使って、キーが変わっても迷子にならない「コンパスのような見方」をお教えします。