こんにちは。「大倉ギター教室」の大倉です。
ジャズギターと音楽理論の完全読破ロードマップ、今回は第23回です。 今日の**結論(最重要ポイント)**からお伝えします。
💡 今日の結論:ディミニッシュは「音楽界の瞬間接着剤」だ
- 正体: 「短3度」だけで積まれた対称的なコード(金太郎飴)。どこを切っても同じ形。
- 役割: 全音離れたコードの間を埋める**「接着剤(パッシング・ディミニッシュ)」**。
- 裏の顔: 実は**「ルートを省略したセブンズコード(A7b9等)」**と同じ機能を持っている。
楽譜に「dim」と書いてあると、お化けが出たような不気味な音がしますよね。 でも怖がらないでください。これは**「最高のハッピーエンドを迎えるための演出」**なんです。
1. どこを切っても同じ顔?「金太郎飴コード」
ディミニッシュコード(dim7)は、非常に特殊な構造をしています。 全ての音が**「短3度(半音3つ分)」**の間隔で、均等に積み重ねられているのです。
- Cdim7 = C (短3度) Eb (短3度) Gb (短3度) A (短3度) C…
まるで**「金太郎飴」のように、どこから切っても(どの音をルートにしても)、構成音の関係性が全く変わりません。 この「逃げ場のない対称性」と、中に含まれる「トライトーン(不協和音)」が、あのホラー映画のような不気味な浮遊感**を生み出しています。
「何かが迫ってくる…!」という不安な響き。 これこそが、次のコードへ解決した時の「安心感」を倍増させるスパイスになるのです。

2. コードとコードを繋ぐ「瞬間接着剤」
では、この不気味なコードをどこで使うのか? 一番の使い所は、**「コードとコードの隙間」**です。
例えば、「Cmaj7」と「Dm7」というコード進行。 ルートは「ド」と「レ」で、全音(2フレット)離れています。 この隙間は、少し距離があって寂しいですよね。
そこで、この隙間に**「C#dim7(ドのシャープ)」**という接着剤を流し込みます。
- Before:
Cmaj7(ド) → (隙間) →Dm7(レ) - After:
Cmaj7(ド) →C#dim7(ド#) →Dm7(レ)
すると、ベース音が「ド → ド# → レ」と半音でピッタリ繋がります。 あんなに不気味だったディミニッシュが、ここでは**「強力な接着剤」**として機能し、離れた2つのコードを滑らかに結びつけてくれるのです。
これを**「パッシング・ディミニッシュ(経過的なディミニッシュ)」**と呼びます。

3. 正体は「仮面を被ったドミナント」
なぜ C#dim7 は、あんなに Dm7 に行きたがるのでしょうか? 実は、C#dim7 の正体は**「A7(b9)」**なんです。
C#dim7の構成音を見てみましょう。(ド#・ミ・ソ・シb) これに、Dm7へ向かうドミナントである「A(ラ)」の音を足してみると…? 見事に**「A7(b9)」**というコードになります。
つまり、ディミニッシュコードとは、 「ドミナントコード(A7)から、ルート(A)を引っこ抜いた状態」だったのです。
- C → C#dim7 → Dm
- C → A7(b9) → Dm (セカンダリードミナント)
この2つは、やっている仕事(機能)はほぼ同じ。 ディミニッシュは、不気味な仮面を被っていますが、中身は**「解決したくてたまらないドミナント」**だったのです。だからあんなにスムーズに繋がるんですね。
まとめ:今日の持ち帰りメモ
忙しい方のための3行まとめです。
- ディミニッシュは、短3度積みの**対称的(金太郎飴)**なコード。
- 全音離れたコードの間を半音で繋ぐ**「接着剤」**として使う。
- その正体は、**「ルートを省略したセブンズコード」**である。
次回は、曲の雰囲気をガラッと変える大技。 **「転調(Modulation)」**について解説します。カラオケのキーチェンジとは違う、魔法のような転調テクニックとは?
「ディミニッシュの押さえ方が覚えにくい…」という方は、大倉ギター教室へ。 金太郎飴の性質を利用して、**「1つの形を覚えるだけで4種類のディミニッシュが弾ける」**というギター特有の裏技をお教えします。