こんにちは。「大倉ギター教室」の大倉です。
ジャズギターと音楽理論の完全読破ロードマップ、今回は第18回です。 今日の**結論(最重要ポイント)**からお伝えします。
💡 今日の結論:セカンダリードミナントは「プロの司会者」だ
- 正体: キー(調)の圏外からやってきた、「部外者のセブンスコード」(例:Cキー曲中のA7)。
- 役割: 次に来るコード(ターゲット)を**「主役」として盛り上げる**ために呼ばれた助っ人。
- 探し方: 盛り上げたいコードの**「完全5度上」**のセブンスコードを配置する。
「Cメジャーキー(ドレミファソラシド)」の曲なのに、なぜか「ド#」の音が入った「A7」が出てくる。 これはミスプリントではありません。計算された**「演出」**なのです。
1. 次のコードを「主役」にする魔法
Cメジャーキーの曲で、コードがこう並んでいたとします。 Cmaj7 → Dm7
これは「家(C)」から「カフェ(Dm)」へ行く、ごく普通の日常です。 ここに、**外部からプロの司会者(セカンダリードミナント)**を呼んでみましょう。
Cmaj7 → A7 → Dm7
すると、響きがこう変わります。 「家を出ました。…さあ皆さんご注目! 次に登場するのは、あの『Dm7』さんです! どうぞー!(ファンファーレ)」
突然現れた「A7」という強いコードが、次の「Dm7」を指名してスポットライトを浴びせるのです。 ただの日常だったDm7への移動が、一気に**「ドラマチックな登場」**に変わりましたね。
この「A7」のように、**「本来のキーの住人ではないけれど、次のコードを盛り上げるために一時的に呼ばれたドミナント」**のことを、**セカンダリードミナント(副属七の和音)**と呼びます。

2. 「5度上」の助っ人を呼べ!
では、どのコードを呼べばいいのでしょうか? ルールは簡単。**「盛り上げたい相手(ターゲット)の5度上のセブンス」**です。
これは以前学んだ**「ドミナントモーション(強烈な解決)」**の応用です。 「V7 → I」という動きが最強の引力でしたよね。 これを、一時的に作り出すのです。
【例:Dm7 に向かいたい時】
- ターゲットは「D(レ)」。
- 「レ・ミ・ファ・ソ・ラ」…5つ上の音は「A(ラ)」だ。
- じゃあ、**「A7」**を直前に置けばいいんだ!
【例:G7 に向かいたい時】
- ターゲットは「G(ソ)」。
- 「ソ・ラ・シ・ド・レ」…5つ上の音は「D(レ)」だ。
- じゃあ、**「D7」**を直前に置けばいいんだ!
ターゲットを「一時的な1度(トニック)」に見立てて、その直前に「専用の5度(ドミナント)」を配置する。 これを理論用語で**「V7 of V(ファイブ・オブ・ファイブ)」**などと呼んだりします。
3. 平坦な道に「ドラマ」を作る
ダイアトニックコード(家族)だけの進行は、平和ですが、時として退屈です。 そこにこの「セカンダリードミナント」を挟むことで、**「ハッとする驚き(ノンダイアトニック音)」と「強力な推進力」**が生まれます。
- Before:
C→Am→Dm→G7(のどかな散歩) - After:
C→E7→Am→A7→Dm→D7→G7(ジェットコースター)
ジャズの演奏では、楽譜に書いてなくても、演奏者が勝手にこの「助っ人」を呼び込んで、バッキングをスリリングにすることがよくあります。

いかがでしたか?
「A7」や「E7」が突然出てきても、もう怖くありません。 「あ、次のコードを主役にするために、司会者が来たんだな」と思って、次のコードを見てみてください。必ず「完全5度下」のコードがいるはずです。
次回は、このドミナントが連続して現れる**「ドミナントの数珠つなぎ(エクステンデッド・ドミナント)」**について。 「A7→D7→G7→C」のように、ゴールへ向かってバトンを繋ぐリレーの秘密に迫ります。
「記事を読んでも実践が追いつかない!」という方は、ぜひ大倉ギター教室へ遊びに来てください。 「頭でっかち」にならず、理論を弾きこなすコツ、教えますよ。