第15回:混ぜるな危険!「アボイドノート」とは

こんにちは。「大倉ギター教室」の大倉です。

ジャズギターと音楽理論の完全読破ロードマップ、今回は第15回です。 今日の**結論(最重要ポイント)**からお伝えします。

💡 今日の結論:アボイドノートは「わさび入りのケーキ」だ

  1. アボイドノート: 直訳すると「避けるべき音」。コードの響きを濁らせる取り扱い注意な音。
  2. 理由: コードの中にある大事な音と、半音(短9度)で激突してしまうから。
  3. 代表例: Cmaj7(癒やし)の上で鳴らす「ファ」(雑音)は、雰囲気ぶち壊し。

「テンションだと思って弾いたら、なんか音が汚い…」 その原因は、この「混ぜるな危険」のルールを破ってしまっているからかもしれません。

1. 「ショートケーキ」に「わさび」を入れるな

前回、テンションは「スパイス」だと言いました。 しかし、世の中には**「その料理には絶対に入れてはいけないスパイス」**が存在します。

例えば、甘くて美味しい**「イチゴのショートケーキ(Cmaj7)」。 ここに、お刺身には最高の「わさび(ファ)」**を大量に入れたらどうなるでしょうか?

…最悪ですよね。せっかくのケーキが台無しです。 「わさび(ファ)」自体が悪い音なわけではありません。お寿司(G7)には最高に合います。 しかし、**「組み合わせが悪すぎる」**のです。

音楽用語で**「アボイドノート(Avoid Note)」**と呼ばれる音は、この「わさび入りケーキ」状態を作ってしまう音のことです。聴いている人は「あ、ミスったな」と不快に感じてしまいます。

2. 「半音」の衝突事故

では、なぜ「ファ」はCmaj7と相性が悪いのでしょうか? それは、コードの性格を決める**「3度(ミ)」**と大喧嘩をするからです。

  • Cmaj7の3度:
  • アボイド(11th):ファ

「ミ」と「ファ」は、**半音(1フレット)しか離れていません。 コードの中で、大事な「ミ」が鳴っているすぐそばで「ファ」を鳴らすと、波長が干渉し合って「濁った不快な揺れ(ビート)」**が発生します。

イメージするなら、透明な湧き水(Cmaj7)に、黒いインク(ファ)を一滴垂らすようなものです。 一瞬で水全体がドロリと濁り、トニック特有の「透明感」や「安心感」が消え失せてしまいます。

3. 「一瞬」ならバレない?

「じゃあ、ファの音は一生弾いちゃダメなの?」 というと、そうではありません。

わさびも、一瞬だけ舌に乗せてすぐ水で流せば、刺激的なアクセントになりますよね。 それと同じで、**「経過音(パッシングトーン)」**として使うならOKです。

  • NG: ファーーーー(長く伸ばす)→「うわ、濁ってる!」
  • OK: ミ・ファ・ソ(すぐに通り過ぎる)→「お、滑らかな動きだね」

「混ぜるな危険」ですが、「一瞬通り過ぎるだけなら事故らない」。 これがアボイドノートとの正しい付き合い方です。

まとめ:今日の持ち帰りメモ

忙しい方のための3行まとめです。

  1. アボイドノートは、コードの響きを濁らせる「混ぜるな危険」な音。
  2. 主に**「3度」と「半音」でぶつかる音**(Cmaj7の時のファなど)が該当する。
  3. 長く伸ばさず、一瞬で通り過ぎるなら使っても良い。

次回は、マイナーキー(短調)の世界へ足を踏み入れます。 実はマイナーには**「3種類のスケール」**が存在するのをご存知ですか? その複雑怪奇な迷宮を、地図を持って攻略しましょう。

「自分の演奏、アボイドノートを弾いていないか不安…」という方は、大倉ギター教室へ。 プロの耳であなたのフレージングをチェックし、「安全で美味しい音」の選び方を教えます。