第14回:大人の隠し味「テンション」の入れ方(9th, 13th)

こんにちは。「大倉ギター教室」の大倉です。

ジャズギターと音楽理論の完全読破ロードマップ、今回は第14回です。 ここからの章は、脱・初心者を目指すための重要なステップです。まずは**結論(最重要ポイント)**からお伝えします。

💡 今日の結論:テンションは「高級スパイス」だ

  1. テンション: コードの機能(味)を変えずに、彩り(香り)だけを加える音。
  2. 9th(ナインチ): 透明感のある**「爽やかなスパイス」**。
  3. 13th(サーティーンス): 都会的で渋い**「大人のスパイス」**。
  4. ルール: 1・3・5・7度のお団子の上に、さらに積み上げた9・11・13階部分の音。

「Cmaj7」を弾いても、なんとなくCDの音と違う…。その原因は、この「スパイス」が入っていないからかもしれません。

1. 「ハンバーグ」に「トリュフオイル」をかける

これまで習った「1・3・5・7度」のコード。 これは料理で言えば、**パンと肉と野菜が入った「ハンバーガー」**です。これだけでも十分美味しいし、お腹いっぱいになります。

でも、高級レストランのハンバーガーは何かが違いますよね? そこで登場するのが**「テンションノート(Tension Note)」**です。

これは、仕上げに振りかける**「トリュフオイル」「ブラックペッパー」**のようなものです。

  • オイルや胡椒だけを舐めても美味しくありません(不協和音スレスレの緊張感)。
  • でも、ハンバーガーにかけると、味の本体(コードの機能)は変わらないのに、一気に**「高級でリッチな味」**に変わります。

ジャズギタリストは、普通の「C」という注文が来ても、勝手にこのスパイスを振りかけて「プロの味」にして提供しているのです。

2. ジャズの二大スパイス「9th」と「13th」

スパイスにも種類があります。ジャズで特によく使われる2つを紹介しましょう。

① 9th(ナインチ)=「透明感」

ルート(1度)のオクターブ上の「2度(レ)」の音です。 これを足すと、音がパッと明るくなり、**「透明感」「浮遊感」**が出ます。 クセがないので、メジャーコードにもマイナーコードにも合う万能スパイスです。

② 13th(サーティーンス)=「都会の香り」

ルート(1度)のオクターブ上の「6度(ラ)」の音です。 特にドミナント(G7など)に混ぜると、一気に**「夜のジャズバー」の雰囲気になります。 渋くて、都会的で、ちょっと気取った響き。まさに「大人の隠し味」**です。

3. なぜ「奇数」で呼ぶの?

「2度(レ)」や「6度(ラ)」と言えばいいのに、なぜわざわざ「9」とか「13」なんて大きな数字で呼ぶのでしょうか?

それは、**「お団子を積み上げた結果、高い場所にあるから」**です。

コードは「1つ飛ばし(3度堆積)」で積むのがルールでしたね。 1 → 3 → 5 → 7 と積んで、さらにその上に積んでいくと…

  • 7 の次は 9 (オクターブ上の2)
  • 9 の次は 11 (オクターブ上の4)
  • 11 の次は 13 (オクターブ上の6)

となります。 「2度」と言うと土台(1度)のすぐ隣にありそうですが、「9度」と呼ぶことで**「土台も7度も全部積んだ、その上の階にあるトッピングだよ」**ということが明確になるのです。

今回のポイントをおさらい

今日のお話、少し数字が大きくて混乱したかもしれません。最後に要点だけ整理しておきましょう。

  1. テンションは、コードを高級にする「スパイス」。
  2. 9thは「透明感」、13thは「都会的」な響き。
  3. コード(1,3,5,7)の上にさらに積むから、9, 11, 13と呼ばれる。

次回は、逆に**「混ぜると危険!」な音について。 なんでもかんでもテンションを入れれば良いわけではありません。料理を台無しにしてしまう「アボイドノート(回避音)」**について解説します。

「9thを押さえようとすると指が届かない!」という方は、大倉ギター教室へ。 実はプロは、指が届かない時に**「ある音」を省略**してズルをしています。その裏技、こっそり教えますよ。