第12回:ジャズの黄金比「ツーファイブワン(II-V-I)」

こんにちは。「大倉ギター教室」の大倉です。

ジャズギターと音楽理論の完全読破ロードマップ、今回は第12回です。 今日の**結論(最重要ポイント)**からお伝えします。

💡 今日の結論:II-V-I は「ホップ・ステップ・ジャンプ」だ

  1. ツーファイブワン: II(2度)→ V(5度)→ I(1度) という黄金のコード進行。
  2. 役割: ホップ(助走)→ ステップ(緊張)→ ジャンプ(着地) という完璧な流れ。
  3. 強進行: ベース音が「レ→ソ→ド」と均等にジャンプするため、最もスムーズで勢いがある

ジャズの楽譜を開けば、8割はこの動きで埋め尽くされています。まさに**ジャズの「公用語」**です。

1. いきなりゴールするより、助走をつけよう

前回、不安定な「G7(ドミナント)」から、安定した「C(トニック)」への解決(V7→I)を学びました。 これだけでも解決感はあるのですが、唐突に「ハイ、終わり!」と言われたような、少し素っ気ない感じもします。

そこで、G7の前に**「Dm7(サブドミナント)」というクッションを挟みます。 これが「ツーファイブワン(II-V-I)」**です。

  • Dm7 (II) :サブドミナント(展開・助走) ↓
  • G7 (V) :ドミナント(緊張・踏切) ↓
  • Cmaj7 (I) :トニック(解決・着地)

これを陸上競技の**「三段跳び」**に例えてみましょう。

  1. ホップ (Dm7): 軽く地面を蹴って、物語を始めます。「さあ、行くぞ」という準備です。
  2. ステップ (G7): グッと力を溜めて踏み切ります。「飛ぶぞ!」という緊張のピークです。
  3. ジャンプ (Cmaj7): 狙った場所にピタッと着地。「決まった!」という最高の開放感です。

この3段階を踏むことで、音楽に**「心地よい勢い」「ストーリー性」**が生まれるのです。

2. ベース音の「均等なジャンプ」が気持ちいい

なぜ、この「レ(II) → ソ(V) → ド(I)」という流れがスムーズなのでしょうか? それは、ベース音(ルート)の歩幅に秘密があります。

指板で確認してみましょう。

  • レ (D) から ソ (G) への距離
  • ソ (G) から ド (C) への距離

実はこれ、どちらも**「完全4度上(または完全5度下)」という、全く同じ距離のジャンプなんです。 これを専門用語で「強進行(きょうしんこう)」**と呼びます。

まるで階段を一段飛ばしで「ポン、ポン、ポン」とリズミカルに降りていくような、規則正しくて力強い動き。 耳が「次はここに来るはずだ」と予測した通りの場所にベース音が着地してくれるので、聴いていて最高に気持ちが良いのです。

3. ジャズスタンダードは「II-V-I」のパズル

ジャズの曲(スタンダードナンバー)の楽譜を見てみてください。 『Fly Me To The Moon』も『Autumn Leaves』も、よく見るとこの**「II-V-I」のブロックだらけ**です。

逆に言えば、このツーファイブワンさえ指に覚え込ませてしまえば、どんな曲でも半分くらいは弾けるようになったも同然なのです。

「Dm7 – G7 – Cmaj7」 まずはこの3つのコードを、一息でスムーズに弾けるように練習しましょう。それがジャズギターへのパスポートになります。

ギターを手に取って確かめよう

理屈がわかったら、あとは指で覚えるだけです。 Cメジャーキーのツーファイブ(Dm7-G7-Cmaj7)を弾いて、**「ホップ・ステップ・ジャンプ」**の重力を感じてみてください。

次回は、この心地よい解決をあえて裏切るテクニック。 「終わると見せかけて終わらない?」という**「偽終止(ぎしゅうし)」**などのバリエーションを紹介します。

「ツーファイブの押さえ方がたくさんあって覚えられない!」という方は、大倉ギター教室へ。 プロが現場で使う「これだけ覚えればOK」な省略フォームをお教えします。