こんにちは。「大倉ギター教室」の大倉です。
ジャズギターと音楽理論の完全読破ロードマップ、今回は第10回です。 今日の**結論(最重要ポイント)**からお伝えします。
💡 今日の結論:コード進行は「ドラマの脚本」だ
- トニック(T): 主人公の**「実家」**。最も安定し、落ち着く場所(起・結)。
- サブドミナント(SD): 気分転換の**「カフェ」**。物語を展開させる場所(承)。
- ドミナント(D): スリルのある**「吊り橋」**。早く実家に帰りたくなる緊張状態(転)。
- 法則: 音楽は**「安定 → 緊張 → 安定」**を繰り返して進む。
曲を聴いていて「あ、終わったな」と感じたり、「盛り上がってきた!」と感じるのは、この3つの役割がしっかりと仕事を果たしているからです。
1. 音楽は「緊張と緩和」の繰り返し
音楽がなぜ人の心を動かすのか。それは**「緊張(テンション)」と「緩和(リラックス)」**を繰り返しているからです。
ずっと安定しているだけでは退屈ですし、ずっと緊張していると疲れてしまいます。 このバランスをコントロールするために、コードには3つの役割(機能)が与えられています。
- トニック(T):安定。「ああ、落ち着く」
- ドミナント(D):緊張。「うわっ、どうなるの!?(早く落ち着きたい!)」
- サブドミナント(SD):展開。「お、ちょっと雰囲気が変わったな」
この3つをうまく並べることで、「家を出て(T)、カフェに寄り道して(SD)、吊り橋でドキドキして(D)、急いで家に帰る(T)」という**ドラマ(カデンツ)**が生まれるのです。

2. 「ドミナント」が物語を動かす鍵
特に重要なのが、**ドミナント(D)の役割です。 キーがCメジャーの場合、「G7」**がこの役を担当します。
G7というコードの中には、「トライトーン(三全音)」という非常に仲の悪い音程(不協和音)が含まれています。 これが**「不安定で気持ち悪い! 早く解決したい!」**という強烈なエネルギーを生み出します。
このエネルギーがあるからこそ、その後にトニック(C)が来た瞬間の**「解決感(ホッとする感じ)」**が際立つのです。 ドラマで言えば、最大のピンチ(D)があるからこそ、ハッピーエンド(T)が感動的になるのと同じですね。
3. 7人の住人は「3つの派閥」に分かれる
前回、ダイアトニックコードには7人の住人がいると言いました。 彼らはバラバラに行動しているわけではなく、この3つの役割(派閥)のどれかに所属しています。
① トニック派(安定チーム)
- Imaj7 (Cmaj7) :リーダー
- IIIm7 (Em7) :代理メンバー
- VIm7 (Am7) :代理メンバー
② サブドミナント派(展開チーム)
- IVmaj7 (Fmaj7) :リーダー
- IIm7 (Dm7) :代理メンバー(ジャズではリーダーより出番が多い!)
③ ドミナント派(緊張チーム)
- V7 (G7) :リーダー
- VIIm7(b5) (Bm7b5) :代理メンバー
主要メンバー(I, IV, V)以外も、実は**「代理コード」**として、リーダーと同じような仕事ができるのです。 例えば、「Cmaj7(家)」の代わりに「Am7(親戚の家)」を使っても、同じ「トニック(安定)」としての機能は果たせます。
これを知っていると、コード進行を自由にアレンジ(リハーモナイズ)できるようになります。
いかがでしたか?
「コード進行を覚えるのが苦手」という方は、アルファベットの羅列として暗記しようとしているからかもしれません。 「家からカフェに行って、崖に行って、帰宅する」という物語の流れとして捉えると、驚くほど頭に入ってきますよ。
次回は、ジャズで最も美しいとされるコード進行の黄金比、**「ツーファイブワン(II-V-I)」**について解説します。今日の「3つの役割」を理解していれば、一瞬で理解できるはずです。
「理論を最短ルートで身につけたい方は、大倉ギター教室へ。無駄な練習を省いて、楽しく上達しましょう。」