ジョーパス[メジャー7(トニックメジャー)のリック]

30秒でわかる結論

このページのジョー・パスのリックを覚えると、メジャーセブンス(CM7)の上で使える「トニックメジャーの語彙」が1つ手に入ります。しかもこの語彙は、コードトーンさえ分かっていればEm7・Am7でもそのまま使い回せます。まずは8分音符の形を1つ、そこから3連符・コードソロへと発展させていけます。

引き算(やらないこと):7つのフレーズを一度に覚えようとしないこと。まずは「8分主体の例」を1つだけ、考えなくても手が動くまで。増やすのはそのあとです。

ジャズギターの巨匠ジョーパスのリック

ジョーパスの教則ビデオより採譜した物です。

あまり教本等でも紹介されていない[トニックメジャー] のリックを紹介したいと思います。

ジョーパスのリックの楽譜

1弦 6弦 1 CM7 8分主体の例 3 4 5 5 3 7 10 2 8 8 7 10 8 6 5

TABは上が1弦。まずはこの「8分主体の例」を1つだけ、考えなくても手が動くまで。

1弦 6弦 1 CM7 3連主体の例 3 4 5 5 3 7 10 8 8 7 3 3 3 2 10 8 6 5 3
1弦 6弦 1 CM7 ② 7 6 5 4 3 5 3 5 2 4 3 2 1 0
1弦 6弦 1 CM7 ③ 2 5 4 3 4 5 5 3 2 7 10 7 10 8 9 9 10 3 7
1弦 6弦 1 CM7 ④ 10 7 8 10 7 8 10 7 2 8 9 10 8 9 10 7 9 3 10 7 9 6 8 5
1弦 6弦 1 CM7 ⑤ 5 6 5 3 5 4 2 5 3 2 3 2 1 0 4 3
1弦 6弦 1 CM7 ⑥ 7 9 10 9 8 7 10 7 2 8 9

印刷用PDF(譜面・TAB)

採譜元の映像ではかなりの数のリックを演奏していまいたがここでは最初の七個のフレーズをまとめて紹介したいと思います。大切なフレーズが沢山紹介されていたので順次楽譜を作成し紹介できたらなと思います。

フレーズのポイント

全てのフレーズはトニックメジャーを想定しているのでKEY=CのときのCM7はもちろんEm7,Am7で使用可能です。ジョーパス本人はCM7と時のフレーズと言ってました。

ほぼすべてのリックがCM7のコードトーンを中心にしメジャースケールで構成されています。

半音の動き等ややこしい箇所もありますが何度も演奏して慣れましょう。

なぜ「CM7のリック」がEm7・Am7でも使えるのか

上のオレンジ箱にある「CM7はもちろんEm7・Am7で使用可能」というのは、丸暗記の裏ワザではなく、ちゃんと理屈があります。キー=CのなかでCM7(I)・Em7(iii)・Am7(vi)は、どれも「トニック機能」の仲間で、コードの構成音がかなり重なっているからです。

CM7=C・E・G・B、Em7=E・G・B・D、Am7=A・C・E・G。見てのとおり、CM7の中心音(E・G・B や C・E・G)がEm7・Am7にもそっくり入っています。だからCM7のコードトーンを骨組みにしたこのリックは、運指を変えずにそのままEm7・Am7へ持っていける——これがトニックメジャーのリックを1つ覚える「おいしさ」です。逆に言えば、この使い回しは「今どのコードトーンを弾いているか」が分かっていて初めて成立します。指のポジションだけを覚えても、コード(伴奏)が変わった瞬間に外れます。

この関係は、ひっくり返しても使えます。CM7が鳴っているときに、あえてEm7の音を弾く——これが代理和音(三度代理)の考え方です。キーがCでCメジャーが響いているときにEm7を弾く、IVのFメジャーのときにAm7を弾く。トニックの機能を持つコードどうしはお互いに代理になるので、入れ替えて使えるわけです。CM7のリックがEm7・Am7でそのまま通用するのも、まったく同じ仕組みの裏返しです。

しかもCM7のときにEm7のアルペジオを入れると、9thを含んだ形になるので、すごくいい響きになります。代理和音を入れたのは、たぶんチャーリー・パーカーが最初です。教室でも、コードトーンの次はまずこの3度代理から学んでもらいます。→ 三度代理(代理和音アルペジオ)|3度上のアルペジオを差す

「リックを何回弾いても本番で出てこないのは、たいてい練習の数が足りていないから。それでも出てこない時は、そのフレーズが何スケールでできているのか、コードトーンがどうなっているのかを分かっていない。仕組みが分かっていないと、指は覚えても音楽として出てこないんです。」

── 大倉(講師歴20年)

この「コードトーンで現在地を掴む」やり方は、コードトーンの覚え方と練習の順番|ジャズギターで次のコードへ迷わず繋ぐで一からやります。

▶ 教室では今日から学べます。体験レッスンで、あなたのリックがなぜ本番で出てこないのかを一緒に見ます。

7つのフレーズ ── 難度と使い所の早見表

譜例(8分主体・3連主体・②〜⑥)を読み解いた、難度と「どこで使うか」の目安です。上から順にやさしい順ではなく、まず「8分主体の例」を軸に、気に入ったものを足していってください。

8分主体の例

難度:やさしい(★☆☆)/8分音符主体でリズムが素直。CM7のコードトーンを骨格にメジャースケールで隙間を埋めた基本形。

使い所:CM7一発の場面・テーマ直後の「最初のひと言」。まずはこれを完コピ。

3連主体の例(「8分主体の例」のリズム変奏)

難度:中(★★☆)/音は「8分主体の例」と同じ、運指も同じ。3連符のタイム取りだけが課題。

使い所:「8分主体の例」に慣れたら同じ指のままリズムだけ変える。スウィング感を強めたい所で。

② 半音下行ライン

難度:中(★★☆)/後半に半音を含む下行(♯つき)。クロマチックの動きが混じる。

使い所:フレーズの締め・下行で落ち着かせたい所、ターンアラウンド。

③ 低→高の起伏ライン

難度:中(★★☆)/低い音から入り中高音へ登って解決。跳躍を含む。

使い所:ソロ中盤で音域を上げたい時、低→高で「盛り上げ」を作る所。

④ 同型反復シーケンス

難度:やや難(★★★)/同じ形を並べるシーケンス。粒を揃えて速く弾くと難しい。末尾に半音(♯)で締め。

使い所:同じ形を畳み掛けて緊張を作る、ソロの山場。

⑤ 開放弦を交えるライン

難度:中(★★☆)/3連符を含み、開放弦や低フレットを交えたローポジション寄り。

使い所:開放弦を絡めた明るい響き、ハイポジションからローへ降りる橋渡し。

⑥ 短いスケール的フレーズ

難度:やさしい〜中(★☆☆〜★★☆)/短めのスケール的な動き。

使い所:短いフィル、フレーズとフレーズの「つなぎ」に1〜2拍で差し込む。

※難度は譜面から見た目安です。人によって難しく感じる所は違うので、あくまでスタート地点として。

ジョーパスのソロギターのスタイルに発展

コードソロに発展

ジョーパスのソロギターのアイデアの原点ともいえる手法です。まずは譜例を見て下さい。JoePassトニックリック

1弦 6弦 1 CM7 コードソロに発展 3 5 4 3 4 5 5 3 2 5 5 5 7 10 9 8 10 10 9 8 8 3 5 5 5 7 5 5 5 5 3 4 5 3 3 4 6 3 3 5 4 5

トップにメロディ、その下にCM7の展開形。同じフレーズがそのままコードソロになります。

一番最初に紹介されていたフレーズを次はハーモニーをつけて演奏しています。ジョーパスのスタイルの特徴としてあまり複雑なハーモニーは使用せずになるべくシンプルなハーモニーで音楽を作っていきます。

コードソロに発展させる方法としてトップノートにメロディを配置します。

今回の場合その下にCM7のコードの展開系を持ってきています。

テクニック的にやや難易度高めなのですが挑戦してみてください。

他のフレーズもコードソロに変換する練習もしてみてもいいでしょう。

「トップにメロディ、その下にコードを重ねる」——ここでやっていることは、そのままコードソロ(ソロギター)の入り口です。ジョー・パスの『ヴァーチュオーゾ』がまさにこの延長線上にある、無伴奏でメロディと伴奏を1本で成立させる世界です。

「ウェスやジョー・パス、ジム・ホールのコードの押さえ方は、現代のギタリストに比べればありきたりで、指の都合・押さえやすさを優先している。だからこそ真似して応用できる。いきなりオリジナルを作ろうとするより、定番の形を何パターンか覚えるのが先です。」

── 大倉(講師歴20年)

この譜例をきっかけに本格的にやるなら、ギター1本でジャズらしく弾きたい|コードソロ・ソロギター入門 へ。

▶ 教室では今日から学べます。体験レッスンで、この1フレーズをコードソロに変換する所まで一緒に。

このリックで練習すること

1. 度数(コードトーン)で骨格を掴む。7つのフレーズに共通する作りは、CM7のコードトーン(C・E・G・B)を軸に、メジャースケール(C D E F G A B)の音で隙間を埋め、半音でなめらかにつなぐ、というものです(オレンジ箱の大倉の指摘のとおり)。だから練習の軸は音を1つずつ追うことではなく、「今どのコードトーンに乗っているか」を意識すること。ここが掴めると、同じ運指のままEm7・Am7へ移せます。

2. 使い所は上の早見表で。まずは「8分主体の例」をCM7一発のバッキングで。慣れたら「3連主体の例」でリズムを変え、③や④で音域や緊張を作る、という順で引き出しを増やします。

3. 変奏(自分の言葉にする)。「8分主体の例」を(a)3連符に、(b)Em7・Am7でそのまま、(c)最後にコードソロ化——と1フレーズを何通りにも展開してみる。これが「1つを深く」やる練習です。

「『覚えた』というのは、いつでも自由に使えて、考えなくても出てきて、いろんなキーで弾けて、自分で改造できること。つまり自分の言葉にしてしまうこと。だから1年に数個できれば十分。ただ弾けるだけは、覚えたうちに入りません。」

── 大倉(講師歴20年)

練習の手順(大倉式):

  1. CM7(またはキーC)のバッキングを流し、覚えたい1フレーズをひたすら弾く。
  2. 毎日、同じフレーズを繰り返す。大倉の目安は「II-V-Iの4小節なら毎日50回・10分以内」。この1フレーズなら、まず数十回を毎日。
  3. 手が回ってきたら周りを少し自由に弾いてみて、それでも狙ったフレーズが崩れなくなったら音を足していく(崩れるうちはまだ足す時期ではない)。
  4. 気に入った1つは、まずEm7・Am7でそのまま試す。そのうえで弾きやすい別のキーにも移してみる(難しいキーまで無理に全部やらなくてOK)。

数を弾いても出てこない時は、たいてい「仕組みが分かっていない」か「まだ回数が足りていない」かのどちらかです。どちらでつまずいているかで、やるべき練習は変わります。

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大倉ギター教室・体験レッスン

この1フレーズを「自分の言葉」にする所まで、一緒に

リックが本番で出てこないのはなぜなのか——実際に弾いてもらいながら、一緒に考えます。CM7からEm7・Am7への持っていき方、コードソロへの発展まで、あなたの手に合わせて。手ぶらでOKです。

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