I’ll Close My Eyes(アイル・クローズ・マイ・アイズ)は、セッションでもよく取り上げられるスタンダード。メロディは素直なのに、いざアドリブとなると「キーがどんどん変わって、どこを弾いているのか分からなくなる」とつまずきやすい曲です。理由ははっきりしていて、前半8小節が2小節ごとに別のキーへ転調していく“Ⅱ-Ⅴ(ツーファイブ)の連続”だから。このページでは、テーマ演奏・コード進行・名演の参考音源に加えて、「この曲で何を練習すればいいのか」——1つのⅡ-Ⅴを各キーへ移調していく練習までを押さえます。コード進行は There Will Never Be Another You[ジャズスタンダードを学ぼう] に似ています。
この曲は前半8小節が2小節ごとに別キーへ移る“Ⅱ-Ⅴの連続”。だから難しいコードの塊として丸暗記するより、「1つのⅡ-Ⅴのフレーズを、キーを変えて移調していく」練習曲として捉えるのが正解です。
キーがちょこちょこ変わるので最初の1曲にはやや難しめ。でもとてもよくあるコード進行なので、練習曲としては本当にぴったりです。やらないこと=各2小節をバラバラのコードとして指で丸暗記すること/最初から全部のⅡ-Ⅴにテンションを盛ること。まずは1つのⅡ-Ⅴを各キーへきれいに移調できるようにするのが先です。
I’ll Close My Eyesのテーマ演奏
まずはテーマ(メロディ)を、音で耳に入れてください。メロディを覚えてしまうと、このあとのコード進行の話もぐっと分かりやすくなります。
▲ I’ll Close My Eyes のテーマ演奏(講師・大倉による演奏)
コード進行
この曲のコード進行です。前半をよく見ると、2小節ごとに、少し違うキーのⅡ-Ⅴ(ツーファイブ)が並んでいるのが分かります。これがこの曲の“2小節ごとに転調する2-5”の正体です。
演奏スタイル(テンポ、リズム)
元々はバラードでしたが、ブルーミッチェルがミディアムテンポのスウィングで演奏し、セッションではブルーミッチェルのようなスタイルで演奏されることが多いです。
I’ll Close My Eyesのポイント
前半8小節は、二小節毎に転調していく2-5で構成されています。9、10小節目はサブドミナントから、サブドミナントマイナー(サブドミマイナー)になります。
基本的には2-5のパターンが中心なので、最初はリックを移調する練習にも役立つ曲になっています。
曲のkeyがちょこちょこ変わるので、一番最初に練習する曲としてはやや難易度は高いですが、良くあるコード進行なので練習曲にぴったりです。
「前半8小節は、2小節ごとに転調していく2-5でできています。基本が2-5の連続だから、1つのリック(フレーズ)を移調していく練習にぴったり。キーがちょこちょこ変わるぶん最初の1曲にはやや難しいけれど、とてもよくあるコード進行なので、練習曲として本当におすすめです。」
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
この曲で練習すること
「有名だから」だけでなく、1つのⅡ-Ⅴを各キーへ移調していく練習がそのままできるのがこの曲の値打ちです。順番に見ていきましょう。
① 「2小節ごとの小さなⅡ-Ⅴ」を1つずつ捉える
前半8小節は、2小節ずつがそれぞれ別のキーの小さなⅡ-Ⅴ(ツーファイブ)になっています。つまり、覚えるのは「バラバラの難しいコード」ではなく、“同じⅡ-Ⅴが、キーを変えて出てくるだけ”。この見方に切り替えるだけで、ぐっと弾きやすくなります。
まずやることは、スケールで埋めることではなく、各コードのコードトーン(1・3・5・7度)で今の現在地を確認すること。特に3度と7度を優先して押さえると、たった数音でも「今どのキーのどこにいるか」がはっきりします。バッキングトラックを流し、コードトーンだけで最後まで通してみましょう。
② 1つのリック(フレーズ)を、キーを変えて移調していく
この曲が「移調練習にぴったり」なのは、Ⅱ-Ⅴが2小節ごとに、少しずつ違うキーで並んでいるから。お気に入りのⅡ-Ⅴのフレーズを1つ選び、最初の2小節のキーで弾いたら、次の2小節のキーへ移調してそのまま弾く——これを前半8小節ぶん、順番に繰り返します。1曲を通すだけで、同じフレーズをいくつものキーで弾く練習が自然にできてしまいます。
大倉の指摘:ツーファイブのフレーズは、コードトーンを3・5・1・7の順で弾くと、全部のリーディングトーン(導音)が繋がっていく——これを「デジタルパターン」と言います。こういう練習をすると、ツーファイブに限らず“コード進行を追っていくジャズらしいニュアンス”が掴めてきます。── 大倉(講師歴20年)
③ 9・10小節の「サブドミ → サブドミマイナー」を耳で感じる
上の「ポイント」で見たとおり、9・10小節目はサブドミナントから、サブドミナントマイナー(サブドミマイナー)へ動きます。ここは進行の“味”が変わる聴きどころ。指の場所ではなく、音の切なさ・色の変わり目を耳で覚えるのがコツです。この響きは他のスタンダードにも何度も出てくるので、ここで耳に入れておくと後がずっと楽になります。
そしてⅡ-Ⅴを移調で追えるようになったら、次のステップはツーファイブでどのテンションを足すか。コードトーンで追う土台ができていれば、そこに無理なくつながっていきます。
※「テンションと251進行」の教則ページは順次公開予定です。教室では今日から学べます → 体験レッスン
I’ll Close My Eyesについて
1945年に「ビリー・リード」が作曲しました。その後、イギリスの歌手「ドロシー・スクワイヤー」により歌われ、録音されました。
参考音源
まずは「ドロシー・スクワイヤー」による原曲です。バラードでの歌唱で、最近のセッションではあまりバラードでは演奏されません。1コーラス歌った後に、元々は違うメロディがあったようです。
Blue Mitchel。現在セッションで演奏されている、最も一般的なアレンジの演奏です。このイントロは定番のイントロなので、聞いて覚えておきましょう。
サラ・ヴォーンによるバラードでの歌唱。メロディが分かりやすいので、おススメです。
次に読む・あわせて学ぶ
- 🎸 ジャズスタンダードを学ぼう!(他の定番曲・曲選びはこちら)
この曲の練習と直結する教則ページ:
- 📘 テンションと251進行(準備中) — 2小節ごとのⅡ-Ⅴにどのテンションを足すか
- 📘 コードトーンのマスター|1357の展開・接続・デジタルパターン — 3度・7度の追い方・コードからコードへの接続
- 🎤 初めてのジャムセッションが怖い人へ|準備は「黒本+1曲」で十分 — この曲を人前で弾くまで
教則ページは順次公開予定です。教室では今日から学べます → 体験レッスン
2小節ごとに変わるⅡ-Ⅴを、移調で自在に
1つのフレーズを各キーへきれいに移調できているか・転調のたびに現在地を見失っていないかは、独学だと自分では気づきにくい部分です。体験レッスンでは実際に弾いてもらいながら、一緒に確認していきます。手ぶらでOK。楽器はこちらで用意します。
体験レッスンを申し込む →大阪市西区南堀江/桜川駅・西大橋駅から徒歩5分(四ツ橋・JR難波も10分圏)・手ぶらOK