Days Of Wine Roses酒とバラの日々[ジャズスタンダードを学ぼう]

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酒とバラの日々(Days of Wine and Roses)は、ジャズを始めた人が「ここを越えたら初心者卒業」と言われる登竜門の一曲。メロディは覚えやすいのに、2小節目でいきなり出てくる Eb7 の意味が分からず立ち止まる人がとても多い曲です。このコードの正体がサブドミナントマイナー(SDM)。このページでは、テーマ演奏・コード進行・名演の参考音源に加えて、「この曲で何を練習すればいいのか」——サブドミナントマイナー(Eb7)でリディアン7thを使う練習までを押さえます。教室のレッスンでも、早い段階で取り上げている曲です。

30秒でわかる結論

この曲の山場は2小節目の Eb7=サブドミナントマイナー。ここでリディアン7thを使うのが、この曲の練習の目的です。まずコードトーンで“翳りのある響き”を耳で掴んでから、リディアン7thで弾きます。

Eb7のコードトーン(Eb・G・Bb・Db)を鳴らすと、明るいキーFの中にふっと差し込む陰りが聴こえます。これが同主調(Fマイナー)から借りてきたSDMの色。やらないこと=「同主調変換」という名前だけ覚えて満足すること/響きを耳で掴まないまま、スケールで全部を埋めようとすること。コードトーンで響きの差を体に入れてから、リディアン7thで色をつけます。

目次

Days Of Wine Roses酒とバラの日々のテーマ

まずはテーマ(メロディ)を、音で耳に入れてください。元のメロディがわかりやすいように、なるべくシンプルに演奏しています。

▲ 酒とバラの日々のテーマ演奏(講師・大倉による演奏)

酒とバラの日々のコード進行

酒とバラの日々のコード進行(2小節目Eb7=サブドミナントマイナー)

この曲のコード進行には、ジャズを学ぶ上で非常に大事なコードがたくさん出てきます。そういう意味でも、ジャズ初心者にはとても勉強になる一曲です。

まず2小節目のEb7。これはサブドミナントマイナーになります。なので同主調変換です。リディアン7thスケールやFmスケールがよく使用されます。

そしてGmに向かう2-5。ここに出てくるBbmも、2小節目とおなじサブドミナントマイナーです。

最初の8小節だけでも、かなりの理論の知識が必要になります。まずは2小節目のコードの意味を理解することが、初心者脱出の肝です。

演奏スタイル(テンポ、リズム)

原曲ではバラードで演奏していますが、セッションでは主にスウィングのリズムで演奏します。

※原曲はバラード(1962年のジュリー・ロンドンの録音もバラード)。そのゆったりした表現・間の取り方をじっくり掘り下げたい人は ジャズバラードが間延びする人へ|歌わないソロの原因は「埋め方」 へ。

「枯葉でアプローチノートとディミニッシュ変換を勉強したら、その次が酒バラ(酒とバラの日々)やアナザー・ユー。ここでリディアン・セブンスを勉強します。これはサブドミナント・マイナーのところで使うもので、“解決しないセブンス・コード”が出てくる曲だから、そこで実際に使う練習をしていくんです。」

── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)

つまりこの曲は、サブドミナントマイナーでリディアン7thを実際に使う練習の定番曲です。リディアン7thを当てはめる前に、まずコードトーンでこの“響きの差”を耳で掴んでおきましょう。

この曲で練習すること

この曲で練習するのは、2小節目のEb7=サブドミナントマイナー(SDM)でリディアン7thを使うことです。その準備として、まずSDMの“響き”を耳と指で掴み(①②)、それからリディアン7thで弾きます(③)。

① サブドミナントマイナーの「響きの差」をコードトーンで掴む

この曲のキーはF。ふつうに読めば明るいメジャーの曲です。ところが2小節目でいきなりEb7が顔を出す。Eb7のコードトーンは Eb・G・Bb・Db。このうち EbとDb は、明るいキーF(メジャースケール)には無い音——どちらも同主調(Fマイナー)から借りてきた音です。とくに Db の“翳りのある響き”が、サブドミナントマイナーの正体です。

練習はシンプル。1小節目のコードトーンを鳴らし、続けて2小節目 Eb7 のコードトーンを鳴らす。「明るい → ふっと翳る」——この響きの差を、名前(同主調変換)を暗記するより先に、耳と指で覚えます。

さらに、Gmに向かう2-5に出てくる Bbm も同じサブドミナントマイナー。曲の中で同じ“翳り”が何度も顔を出していることに気づけると、進行がぐっと立体的に聴こえてきます。

② コードトーンは3度と7度から

「コードトーンを弾く」といっても、4音すべてを均等に鳴らす必要はありません。コードの響きを決めるのは、じつは3度と7度です。Eb7なら3度=G、7度=Db——①で見た“翳りの音”Dbは、まさにこの7度。この2音を狙って弾くだけで、たった2音でもSDMの色がしっかり出ます。

「3度はコードのカラーを決める音。7度は“次のコードへ向かう”ために弾く音です。だからコードトーンの中でも、まず3度と7度を優先して覚えてほしい。」

── 大倉(講師歴20年)

注意点はひとつ。ずっと 1・3・5・7 / 1・3・5・7 と同じ形で並べても「歌」にはなりません。前のコードの音から、次のコードのいちばん近い音へつなぐ。とくに7度 → 次のコードの3度の半音の動きを意識すると、進行がぐっと立ち上がります(コードトーンの追い方=コードトーンのマスター|1357の展開・接続・デジタルパターン)。

③ 響きが分かったら、リディアン7thで弾く

SDMの響きの差が耳に入ったら、いよいよこの曲の目的、Eb7でリディアン7thスケールを使う練習です(Fmスケールもよく使われます)。上の断言のとおり、リディアン7thはサブドミナントマイナーのところで使うもの。「コードトーンで響きを掴む → リディアン7thで弾く」の順番で進めます。使い方の手順は リディアン7thの使い方|解決しない7thコードと「半音が重なる4音」 にまとめています。

そしてこの先には、こうした借用和音を自分で選んで曲を塗り替えていくリハーモナイゼーションの世界があります(後述のマーク・ターナー版のように、キーごと変えてしまうアレンジもその一例です)。

※リハーモナイゼーション(準備中)の教則ページは順次公開予定です。教室では今日から学べます → 体験レッスン

Days Of Wine Roses酒とバラの日々について

酒とバラの日々(Days Of Wine Roses)は、1962年公開の映画「酒とバラの日々」のテーマ曲。アカデミー歌曲賞、グラミー賞の最優秀楽曲賞・最優秀編曲賞を受賞した名曲です。

1962年のジュリー・ロンドンの録音が知られています。現在はスウィングで歌われることが多いですが、原曲はバラードでの録音でした。

酒バラの参考音源

名盤、オスカー・ピーターソンの「We Got Requests」に収録されています。このアルバムは僕自身めちゃくちゃ好きで、何百回と聞きました。このスウィング感は最高に気持ちいいです。

ギタリスト「Pat Martino」。こちらの演奏も名盤で、僕自身のジャズギター人生に大きく影響を受けた演奏です。マイナーコンバージョン理論で演奏されているので勉強にも最適なtakeです。是非分析してみてください。

コンテンポラリーの演奏もあります。テナーサックス奏者のマーク・ターナーの録音です。このアレンジではヴァンプが追加され、曲の前半と後半でKEYが変わっています。前半16小節ではF、後半16小節ではAbのアレンジ。元ネタはビル・エヴァンスのアレンジで、このKEYを途中で変えるバージョンは、プロや上級者の集まるセッション・ライブでも演奏されます。

最後に「エラ&ジョー・パス」のduoです。ギターと歌のduoのお手本みたいな演奏です。改めて聞くと、やはり最高の演奏。このスタイルをもう一度よく研究してみようと思わせてくれます。

次に読む・あわせて学ぶ

この曲の練習と直結する教則ページ:

リハーモナイゼーションの教則ページは順次公開予定です。教室では今日から学べます → 体験レッスン

大倉ギター教室・体験レッスン

Eb7でリディアン7thを使えるところまで、一緒に

Eb7の翳りを耳で掴めているか、リディアン7thを名前の暗記で止めずに実際に使えているか——独学だと自分では気づきにくい部分です。体験レッスンでは実際に弾いてもらいながら、この曲を題材に一緒に確認していきます。手ぶらでOK。楽器はこちらで用意します。

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