「Candy(キャンディ)」は、トランペッターの定番として愛されてきたスタンダードです。ところが、いざセッションで合わせようとすると最初の1音でつまずきやすい——なぜなら、この曲はトニック(Ⅰ)ではなく、Ⅳの和音から始まるからです。このページでは、講師演奏・コード進行・リー・モーガンの名録音を手がかりに、Ⅳ始まりの曲でも迷子にならず「今どのコードを弾いているか」を掴むところまでを整理します。
Candyのつまずきポイントは、キーがB♭なのにⅣの和音(E♭M7)から始まること。ここさえ押さえれば、あとは素直なスタンダードです。
最初のコードを「E♭M7」と単独で覚えず、「B♭キーのⅣ」と度数で捉えるのがコツ。あとはコードトーンで進行を追い、今どこにいるかを音で確かめながら弾いていきます。セッションでは通常のサイズ(32小節)で演奏します。ライブではリー・モーガンのアレンジ(テーマだけ10-10-8-10)で演奏することもあるので、覚えておきましょう。
CANDYのテーマ・アドリブ演奏
元のメロディがわかりやすいように、なるべくシンプルに演奏しています。まずは音で、曲の輪郭をつかんでください。
▲ 大倉による講師演奏(テーマ〜アドリブ)
コード進行
Candyのコード進行です。冒頭のE♭M7が、この曲の“顔”であり“落とし穴”でもあります。

演奏スタイル(テンポ、リズム)
ミディアムからファースト・スウィングで演奏します。
ボサノバのリズムで演奏することもあります。
CANDYのポイント
Candyは通常、キーがB♭で演奏されます。最初のコードがⅣ M7 の E♭M7 から始まるので要注意です。これで大惨事になった事も何度かあります。
リーモーガンの演奏
セッションではリー・モーガンの録音のアレンジで演奏する事があるのでチェックしておきましょう。リー・モーガンのアレンジは、ドラムの「アート・テイラー」をフィーチャーリングしています。
ちょっと変わったアレンジで、テーマのAメロが終わるたびに4小節のドラムソロが入ります。なので——
- A 10小節
- A′ 10小節
- B 8小節
- A″ 10小節
の変則になっています。
これはテーマの時のみで、ソロでは一般的な32小節になります。ここを混同しないよう、テーマとソロは別物として数える意識を持っておきましょう。
この曲で練習すること
Candyは、「最初のコード=トニックとは限らない」という当たり前のようで見落としがちなことを、身をもって教えてくれる曲です。E♭M7を“ただのコード”として弾くのではなく、次の3つを意識してみてください。
① 最初のコードを「キーからの度数」で捉える
冒頭のE♭M7を単独で覚えると、「なぜここから始まる?」と迷子になります。B♭キーのⅣ(サブドミナント)だと分かっていれば、「Ⅳから入って、あとはこのキーの中を動いていくだけ」と見通しが立ちます。曲を覚えるときは、コード名だけでなくキーの中での度数(Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ…)で捉える癖をつけると、移調にも強くなります。(キーと度数の見つけ方(準備中))
② コードトーンで「今どこにいるか」を掴む
Ⅳ始まりでも迷わない一番の武器は、コードトーンで現在地を確かめながら弾くことです。とくに3度と7度——3度はコードのカラー(明るい/暗い)を決め、7度は次のコードへつながる音。この2音を追っていくと、「今は何のコードを弾いているか」が音で分かるようになり、Ⅳから始まってもテーマの途中でも見失いにくくなります。(コードトーンのマスター|1357の展開・接続・デジタルパターン)
③ セッションは通常のサイズ、ライブではリー・モーガン版も
セッションでは通常のサイズ(32小節)で演奏します。ただ、ライブではリー・モーガンのアレンジで演奏することがあるので、覚えておきましょう。リー・モーガン版で合わせるなら、テーマは10-10-8-10、ソロは普通の32小節。この“数の切り替え”を体に入れておくと、4小節のドラムソロが入っても慌てずに次のAメロへ戻れます。まずは進行を口ずさみながら、小節を数える練習から。
※「キーと度数の見つけ方」の教則ページは準備中です。教室では今日から学べます → 体験レッスン
「コードトーンを3・5・1・7の順番で追っていくと、リーディングトーンが全部つながっていく。こういう練習をすると、ツーファイブに限らず“ジャズっぽいニュアンス、コード進行を追っていくニュアンス”が掴めてくるんです。」
── 大倉(大倉ギター教室・講師歴20年)
CANDYについて
Candyは1944年に作曲されました。ジャズスタンダードではちょっと珍しく、当時の映画やミュージカルの曲ではなく、ヒットチャートの曲でした。
作曲・作詞は、Mack David/Alex Kramer/Joan Whitney の三人が楽譜等にクレジットされています。次の音源は、恐らく一番初めに発表された録音です。
▲ 恐らく最初期の録音とされる音源
CANDYジャズでの演奏
Candyを勉強するにはリー・モーガンの録音は必聴です。1957年のアルバム「CANDY」からの一曲です。
ナット・キング・コールが歌っているものも有名です。この録音でもトランペットがフィーチャーされており、トランペッターの定番曲になっています。
ボーカリストの「Ella Fitzgerald」は、この曲をバラードで歌っています。バラードでも凄くあいますね。
ちなみに、このバラードのリズムのことを「スロー・スウィング」のバラードといいます。
バラードでもスウィング系とイーブン系に大きく分かれるので、覚えておいてください。
次に読む・あわせて学ぶ
- 🎼 ジャズスタンダードを学ぼう!(曲の一覧・何から覚えるか)
- 🎯 コードトーンのマスター|1357の展開・接続・デジタルパターン/キーと度数の見つけ方(準備中)——Ⅳ始まりでも迷わない土台。
- 教室では今日から学べます → 体験レッスン
「Ⅳ始まりで迷子になる」を、実際に弾きながら卒業する
最初のコードを度数で捉える・コードトーンで現在地を掴む——文章だと分かった気になっても、本番の進行で実際にできているかは自分では判断しにくい部分です。実際に弾いてもらいながら、一緒に確認します。手ぶらでOK。楽器はこちらで用意します。
体験レッスンを申し込む →大阪市西区南堀江/桜川駅・西大橋駅から徒歩5分(四ツ橋・JR難波も10分圏)・手ぶらOK