【2025年最新版】ジャズギター用自宅練習アンプ完全ガイド:選び方からおすすめモデルまで【大阪 大倉ギター教室監修】


この記事を書いた人

大倉 ギター教室 代表講師 大倉 甲(おおくら こう)

大阪市西区でジャズギターをメインにレッスンを行う「大倉ギター教室」代表。自身もジャズギタリストとして関西を中心に演奏活動を行う。理論と実践をバランス良く指導し、初心者からプロを目指す方まで幅広くサポート。特に機材に関する知識も豊富で、生徒一人ひとりに合ったアドバイスに定評がある。 大倉ギター教室ウェブサイト: https://okura-guitar.com

(この記事は、大倉ギター教室のブログ記事として執筆しています)

はじめに

こんにちは!大阪市西区で大倉ギター教室を主宰しております、ギター講師兼ジャズギタリストの大倉甲です。当教室では、ジャズギターをメインの一つにレッスンを行っています。(以前にもアンプに関する記事を書きましたが、今回は情報をアップデートした最新版となります。)

さて、皆さんはジャズギターの練習、特に「自宅での練習環境」について悩んだことはありませんか?中でも「アンプ選び」は多くのギタリストが直面する課題だと思います。「どんなアンプを選べば、あのジャズ特有の暖かくてクリアな音が出るんだろう?」「家で弾くのに最適なアンプって?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

ジャズギターのサウンドにおいて、アンプはギター本体と同じくらい、いや、それ以上に重要な役割を担います。特に、豊かな倍音を含んだ美しいクリーントーンは、ジャズギターの魅力を最大限に引き出すための鍵となります。良いアンプで練習することも上達のための一つの重要なポイントです。

しかし、自宅練習という環境は、音量制限があったり、スペースが限られていたりと、アンプ選びに特有の難しさをもたらします。大きな音量が出せないからといって、適当なアンプで練習していては、せっかくの練習効果も半減してしまうかもしれません。

この記事では、ジャズギタリストであり、日々多くの生徒さんの機材相談にも乗っている私の経験から、自宅練習に最適なジャズギター用アンプの選び方のポイント、アンプの種類と特徴、そして具体的なおすすめモデルまで、詳しく解説していきます。

この記事が、あなたのジャズギターライフをより豊かにするための一助となれば幸いです。

目次

なぜ自宅練習用アンプ選びが重要なのか? ジャズギターの観点から

「自宅で練習するだけだし、アンプは何でもいいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。しかし、特にジャズギターにおいては(いえ、ジャズギターに限らず全てのギタリストにとって)、自宅練習用のアンプ選びが非常に重要です。その理由は大きく3つあります。

1. ピッキングニュアンスとダイナミクスを鍛えるため

ジャズギターでは、繊細なピッキングニュアンスやダイナミクス(音の強弱)のコントロールがサウンドの表情を豊かにします。適切なアンプを使い、ある程度の音量(近隣に配慮した上で)で練習することで、自分のタッチがどのように音に反映されるかを正確に把握し、表現力を磨くことができます。小さすぎる音や、ニュアンスの出ないアンプでは、この重要な練習ができません。

2. 良いクリーントーンで「耳」を養うため

ジャズのコードワークやメロディラインは、美しいクリーントーンで奏でられてこそ、その響きの良さや音程感を正確に確認できます。濁った音や不自然な音のアンプで練習していると、正しい響きが分からなくなり、上達の妨げになる可能性もあります。良いクリーントーンは、良い耳を育むための基礎となります。私自身、明瞭なクリーントーンでピッキングのニュアンスをどれだけ再現できるかを、アンプ選びで最も重視しています。

3. 練習のモチベーションを維持するため

単純な話ですが、良い音で練習できると、ギターを弾くこと自体が楽しくなりますよね。気持ちの良いサウンドがアンプから出てくれば、自然と練習時間も増え、モチベーションの維持にも繋がります。逆につまらない音のアンプでは、ギターに触るのが億劫になってしまうかもしれません。

このように、自宅練習用アンプは、単に音を出すための道具ではなく、上達のための重要なパートナーなのです。

2. ジャズギター用自宅練習アンプ選び 5つのポイント

では、具体的にどのような点に注目してアンプを選べば良いのでしょうか? ジャズギターの観点から、特に重要な5つのポイントを解説します。

1. 最重要!サウンドキャラクター(音質)

何よりもまず「音」です。ジャズギターに求められるのは、基本的に暖かく、太く、それでいて明瞭なクリーントーンです。音が潰れずに、コードの構成音が分離して聴こえるか、単音弾きで十分なサスティーン(音の伸び)が得られるかなどをチェックしましょう。 また、ピッキングニュアンスへの追従性も非常に重要です。弱いタッチから強いタッチまで、どれだけ表情豊かに音を描き出せるかがポイントになります。 スピーカーサイズも音質に影響を与えます。一般的に、スピーカーサイズが大きい方が豊かな低音と音圧感が得られやすく、理想を言えば12インチスピーカーがベストだと私は考えています。しかし、自宅練習用としては、8インチや10インチでも優れたサウンドを持つモデルは多く存在しますので、サイズだけに囚われず、実際の出音で判断することが大切です。

2. 自宅環境に適した音量(ワット数)

ライブハウスで使うような大出力アンプは、自宅では宝の持ち腐れになるだけでなく、小音量時に本来の性能を発揮できない場合があります。自宅練習では、適度な音量で良い音質が得られることが重要です。 ワット数の目安はアンプの種類によって大きく異なります。

  • 真空管アンプ: 構造上、ある程度ボリュームを上げた方が良い音になる傾向があります。5Wもあれば自宅では十分な音量が出ますが、ピッキングのダイナミクス(強弱)をしっかり表現するには、少し余裕のある22W程度(Fender Deluxe Reverbクラス)までが自宅用としても現実的な範囲でしょう。これ以上大きいと持て余す可能性が高いです。
  • トランジスタ/デジタルアンプ: 真空管アンプに比べて、小音量でも音質の変化が少ないのが特徴です。20Wもあれば十分ですが、こちらも真空管同様、ある程度出力に余裕がある方がダイナミクスを出しやすく有利です。デジタルアンプの中には150Wクラスのものもありますが、マスターボリュームで音量を絞れるものがほとんどです。 最近では、アンプの出力を切り替えられるアッテネーター(パワーセーブ機能)を搭載したモデルもあり、これは自宅練習において非常に便利です。

3. サイズと重量

見落としがちですが、これも重要なポイントです。置きたい場所にちゃんと収まるか、事前にサイズを確認しましょう。また、たまにレッスンや友人とのセッションに持ち出す可能性があるなら、持ち運びできる重さかどうかも考慮に入れると良いでしょう。一般的にトランジスタやデジタルアンプは軽量なモデルが多い傾向にあります。

4. 練習をサポートする機能 自宅練習を快適にする便利な機能もチェックしましょう。

  • ヘッドホン端子: 夜間など音が出せない時間帯の練習には必須です。最近はヘッドホン出力時のサウンドにもこだわったモデルが増えています。
  • AUX IN(外部入力)端子: スマートフォンや音楽プレイヤーを接続し、好きな曲やカラオケ音源に合わせて練習できます。
  • 内蔵エフェクト(特にリバーブ): ジャズギターでは、音に深みと広がりを与えるリバーブがよく使われます。別途エフェクターを用意しなくても、アンプに良質なリバーブが内蔵されていると便利です。
  • EQ(トーンコントロール): Bass(低音域)、Middle(中音域)、Treble(高音域)を調整するEQは、サウンドメイクの要です。自分のギターや好みに合わせて、しっかりと効いてくれるかどうかも確認したいポイントです。
  • USBオーディオインターフェース機能: パソコンと接続して、演奏を録音したり、DTM(デスクトップミュージック)ソフトで活用したりできる機能です。練習の記録や楽曲制作にも興味がある方には便利です。

5. 予算

アンプの価格はピンからキリまであります。数千円で買えるものから、数十万円するものまで様々です。当然、価格が上がれば音質や機能も充実する傾向にありますが、大切なのは自分の目的と予算のバランスです。初心者の方が最初から最高級モデルを買う必要はありませんし、逆に安価すぎると満足なサウンドが得られない可能性もあります。後ほど価格帯別のおすすめモデルも紹介しますので、参考にしてみてください。

3. アンプの種類を知ろう!ジャズギターとの相性は?

ギターアンプには、大きく分けて「トランジスタ」「真空管」「モデリング」の3つのタイプがあります。それぞれの特徴と、ジャズギターとの相性を見ていきましょう。

トランジスタアンプ

  • 特徴: トランジスタ回路で音を増幅するタイプ。クリアでクセのない素直なサウンドが特徴です。真空管のような温かみや立体感は控えめですが、安定性が高く、軽量で、比較的安価なモデルが多いのもメリットです。故障が少なく、メンテナンスもほぼ不要です。
  • ジャズとの相性: ジャズギターアンプの定番として長年愛されてきたモデルには、実はトランジスタアンプが多いです。代表的なのがRoland JCシリーズPolytoneです。JCは、その耐久性の高さから多くのお店やスタジオに常設アンプとして置かれています(ただし、ジャズギタリストの中には独特のコーラスサウンドや硬めのトーンを好まない人もいます。JCの小型モデルなら自宅練習には良いかもしれません)。一方、Polytoneは、ジョー・パスやジム・ホールといった多くのジャズレジェンドが愛用したことで知られ、繋ぐだけで「いわゆるジャズギターの音」がすると言われるほど、ウォームで、音が潰れにくいクリーントーンが特徴です。近年のトランジスタアンプも技術進化により、真空管アンプに迫るようなサウンドを持つモデルも登場しています。
  • メリット: 耐久性、軽量、安価なモデルが多い、安定したクリアサウンド。
  • デメリット: 安価なモデルはサウンドがチープな場合も。真空管のような独特の温かみや艶、立体感は得にくい傾向。

真空管アンプ (チューブアンプ)

  • 特徴: 真空管(チューブ)を使って音を増幅するタイプ。独特のウォームさ、豊かな倍音、艶のあるサウンドが魅力です。ピッキングニュアンスへの反応が非常に良く、弾き手の感情をダイレクトに音に反映させやすいと言われます。
  • ジャズとの相性: Fender系の真空管アンプ(Deluxe Reverb、Princeton Reverbなど)は、ブルースやロックだけでなく、ジャズギタリストにも愛用者が多くいます。その煌びやかで深みのあるクリーントーンは、ジャズのコードワークやメロディを美しく響かせます。
  • メリット: 暖かく倍音豊かなサウンド、優れたピッキングニュアンス、シンプルな操作性(モデルによる)。
  • デメリット: 価格が高め、重量がある、真空管は消耗品であり交換が必要になる場合がある(ただし小型アンプでは体感上そこまで頻繁な交換は不要なことが多い)、本来の性能を発揮するにはある程度の音量が必要なモデルが多い。
  • 初心者へのおすすめ?: 個人的には、ジャズギター初心者の方には、小型の真空管アンプをおすすめします。理由は、ピッキングニュアンスによる音色の変化を最も体感しやすいからです。また、音色のキャラクターが基本的に一つなので、あれこれ迷わずサウンドメイクに集中できる点もメリットです。良い音で練習することは上達への近道です。

モデリングアンプ (デジタルアンプ)

  • 特徴: デジタル技術を使い、様々な有名アンプのサウンドやエフェクトをシミュレート(再現)するタイプ。一台で多彩なサウンドが出せるのが最大の魅力です。多くの場合、軽量・コンパクトで、スマートフォンアプリと連携して音色を編集したり、オーディオインターフェース機能が付いていたりと、多機能なモデルが多いです。
  • ジャズとの相性: 数年前までは「モデリングアンプはジャズにはちょっと…」という声もありましたが、近年の技術進化は目覚ましく、非常にリアルで高品質なサウンドを持つモデルが増えています。ジャズに適したクリーントーンを持つアンプモデルも多数収録されており、使い方によっては自宅練習用として非常に実用的な選択肢となっています。リバーブなどの空間系エフェクトのクオリティも高いモデルが多いです。
  • メリット: 多機能(アンプ/エフェクト多数)、一台で完結、軽量・コンパクト、比較的手頃な価格帯からある、オーディオ再生やPC連携機能が充実。
  • デメリット: 操作がやや複雑なモデルもある、選択肢が多すぎて迷いやすい(結果、全ての音が中途半端になりがち)。また、安価なモデルはサウンドクオリティが低い場合があり(音がデジタルっぽい、ニュアンスが出にくいなど)、個人的にはあまりおすすめできません。高品質なサウンドを求めるなら、ある程度の価格帯のもの(後述するStrymon Iridiumのようなペダル型シミュレーターなども含む)を選ぶ必要があると感じます。

どのタイプが絶対的に良いというわけではありません。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の好みや練習スタイル、予算に合わせて選ぶことが大切です。

4. 【目的/タイプ別】おすすめ自宅練習用ジャズギターアンプ紹介

ここからは、具体的なおすすめモデルをいくつか紹介します。あくまで選択肢の一つとして参考にしてください。(※価格は変動する可能性があるため、目安としてお考えください)

1. ジャズ特化型/定番トランジスタ

  • Henriksen Amplifiers The Bud / The Blu[Henriksen The Bud SIX] トランジスタ/デジタルアンプの最高峰とも言えるブランド。非常に高品位でナチュラルなクリーントーン。値段は張りますが、予算が許せば間違いのない選択肢の一つです。私が所有・レッスンで使用しているのもこのブランドです。スピーカー増設でさらにサウンドが向上します。2チャンネル入力可能なモデルもあり便利。
  • DV Mark JAZZ 12 / Little Jazz[DV Mark JAZZ 12] [DV Mark Little Jazz] 現代的なジャズサウンドを求めるなら。JAZZ 12は12インチスピーカー搭載で豊かな中低音、Little Jazzはよりコンパクト。両モデルとも暖かくクリアなトーンと、独特なモジュレーション感のあるリバーブが特徴。Little Jazzは**比較的手頃な価格帯(新品で5万円台半ば程度~)**ながら本格的なジャズサウンドが得られるため人気があります。
  • Polytone Mini-Brute (中古 or クローン系): 伝説的なジャズアンプ。現在は製造されていませんが、中古市場で探す価値はあります。近年ではそのサウンドを目指したクローンペダルなども登場しています。太く暖かいクリーントーンは唯一無二。
  • Roland JC-22 Jazz Chorus[Roland JC-22] 定番JCサウンドを自宅サイズで。ステレオ入力や高品位なコーラス、リバーブを搭載。クリアで分離の良いサウンドは健在ですが、ジャズギタリストの間では好みが分かれることもあります。

2. 真空管のウォームさを自宅でも

  • Fender Pro Junior IV / Blues Junior IV[Fender Pro Junior IV] [Fender Blues Junior IV] 小型フェンダーチューブアンプの定番。Pro Juniorはシンプルなコントロール、Blues Juniorはリバーブとマスターボリューム付き。ジャズにも使えるウォームで艶のあるクリーントーンが得られます。
  • Fender Princeton Reverb / Deluxe Reverb (Tone Master含む)[Fender '65 Princeton Reverb] [Fender Tone Master Deluxe Reverb] 少し大きくなりますが、王道のフェンダーサウンド。音量が許せば実機、難しければデジタル技術で再現しつつアッテネーターで音量調整可能なTone Masterシリーズも有力候補です。
  • その他の小型真空管アンプ (Bugera, Laneyなど)[Bugera V5 Infinium] [Laney CUB-SUPER10] 比較的安価な小型真空管アンプも探せば見つかります。Laney Cub 8やCub 10、Bugera V5などは、シンプルな構成ながら真空管ならではのサウンドを手軽に楽しめます。(3万円~5万円程度の予算ならこのあたりも候補になります)

3. 多機能・一台で色々試したいなら(モデリング系 ※注意点あり)

前述の通り、個人的には安価なモデリングアンプはあまり推奨しませんが、多機能性や利便性を重視する場合には選択肢となり得ます。選ぶ際は、できるだけ試奏してサウンドクオリティを確認することをおすすめします。

  • Yamaha THR-IIシリーズ (THR10II / THR30II Wireless)[Yamaha THR10II] デスクトップアンプの代表格。比較的高品質なアンプモデルとエフェクト、オーディオ再生機能が魅力。
  • Positive Grid Sparkシリーズ (Spark / Spark MINI)[Positive Grid Spark] アプリ連携による多彩な機能が特徴。練習サポート機能が充実しています。
  • BOSS Katanaシリーズ (Katana-50 MkII / Katana-Air)[BOSS Katana-50 MkII] 比較的しっかりしたサウンドでコストパフォーマンスが高いと評判です。

4. コンパクトさ・軽量さを重視するなら

  • AER Compact 60/4[AER Compact 60/4] アコースティック楽器用アンプの定番ですが、ジャズギター、特にフルアコ/セミアコとの相性は抜群です。楽器本来の音を素直に増幅してくれるPAシステムに近いキャラクター。私が所有していたBingoというモデルも同様の良さがありました。2チャンネル入力も便利。中古で購入する場合はガリ(接触不良によるノイズ)などに注意が必要です。
  • ZT Amplifiers Lunchbox Jr.[ZT Lunchbox Jr.] 驚くほど小型軽量ながら、パワフルなサウンド。持ち運びが多い方には有力な選択肢です。

5. アンプシミュレーター + モニタースピーカーという選択肢

最近注目しているのが、ペダル型やデスクトップ型のアンプシミュレーターと、フラットな特性を持つモニタースピーカーを組み合わせる方法です。高品質なシミュレーターを選べば、自宅で非常にリアルなアンプサウンドを得られます。

  • アンプシミュレーター例: Kemper Profiler, Strymon Iridium, Neural DSP Quad Cortex など
  • モニタースピーカー例: Yamaha HSシリーズ, IK Multimedia iLoud Micro Monitor など

特に Strymon Iridium [Strymon Iridium] とモニタースピーカーの組み合わせは、比較的手頃な価格(それでもシミュレーター単体で5万円以上はします)で非常に高品質なアンプサウンド(特にFender系が得意)が得られます。リバーブは搭載されていませんが、スピーカーキャビネットの鳴りや部屋鳴りを再現するRoom(Ambience)機能が付いており、これがリバーブのように自然な奥行きを与えてくれます。ヘッドホン出力の質も高いので、自宅練習環境としては非常にコストパフォーマンスが良いと感じています。

5. 自宅でできる!ジャズギターの基本的なアンプ・セッティング術

良いアンプを手に入れたら、次はサウンドメイクです。「ジャズらしい音」の定義は人それぞれで曖昧な部分もありますが、ここでは基本的な考え方とヒントをお伝えします。

1. 基本はフラットから

まずはアンプのEQ(Bass, Middle, Treble)を全て12時(真ん中)の位置に設定してみましょう。(※アンプによっては12時がフラットでない場合もありますが、まずは基準として)これがアンプの素の音を知るスタート地点です。

2. ギター本体のコントロールも活用

アンプだけでなく、ギター本体のボリュームとトーンも積極的に使いましょう。特にトーンコントロールはサウンドキャラクターを大きく変えます。ただし、ジャズだからといってギターのトーンを極端に絞りすぎるのは、音がこもってしまい逆効果になることが多いです。私はあまりおすすめしません。

3. EQで微調整

  • 低音 (Bass): 出しすぎると音がブーミーになり、バンドアンサンブルの中で他の楽器とぶつかりやすくなります。ジャズでは低音を出しすぎないことが一番のポイントかもしれません。少しカット気味にするか、フラット程度から試してみましょう。
  • 中音 (Middle): 音の太さや存在感に影響します。音が細い、抜けないと感じたら、少しずつMiddleを足してみましょう。フルアコやセミアコの場合は、Middleを上げすぎると鼻詰まりのようなサウンドになることもあるので注意が必要です。
  • 高音 (Treble): 音の輪郭や明瞭さを調整します。キンキンしすぎる場合は少しカットしますが、絞りすぎると音がこもってしまい、ピッキングニュアンスが見えにくくなるので注意が必要です。適度な煌びやかさを保つのがおすすめです。

4. リバーブのかけ方

リバーブは音に奥行きと広がりを与え、ジャズらしい雰囲気作りに役立ちます。かけすぎると音がぼやけてしまうので、軽くかかる程度から試してみましょう。リバーブの種類(スプリング、ホール、プレートなど)はアンプによって異なりますが、まずは好みで選んでみて、深さ(LevelやMix)と効き具合(TimeやDecay)を調整します。DV Markのアンプのように、少しモジュレーション(揺れ)がかかったリバーブも現代的なサウンドにはマッチします。

最終的には、自分の耳で聴いて心地よいと感じるポイントを探すことが大切です。

6. 失敗しないために!試奏のポイント

可能であれば、アンプは購入前に必ず試奏しましょう。その際にチェックすべきポイントをいくつか挙げます。

1. 自分のギターを持参する

可能であれば、普段使っている自分のギターで試奏しましょう。ギターとアンプの相性を確認できます。

2. ノイズ・ガリのチェック

特に中古品の場合、ボリュームやEQノブを回したときに「ガリガリ」というノイズが出ないか確認しましょう。また、無音時の「サー」というノイズが過大でないかもチェックします。

3. 小音量での音質

自宅練習では小さい音で弾くことが多いはずです。ボリュームを絞った状態でも、音が痩せすぎたり、こもったりせず、良い音質を保っているか確認しましょう。

4. クリーントーンの確認 (歪みポイント)

ボリュームを上げていったときに、どれくらいのレベルで音が歪み始めるかを確認します。ジャズではクリーンなヘッドルーム(歪まずに音量を上げられる余裕)が重要になることが多いです。意図しない歪みが出ないかチェックしましょう。

5. EQの効き具合

Bass, Middle, Trebleの各ノブを実際に回してみて、サウンドがどのように変化するか、自分の好みに調整できそうかを確認します。

6. ヘッドホン出力の確認

ヘッドホンでの練習を考えている場合は、できれば普段使っているヘッドホンも持参し、ヘッドホン端子からのサウンドも実際に聴いてみましょう。

店員さんに相談しながら、色々な設定を試してみるのがおすすめです。

7. よくある質問 (FAQ)

Q1. ヘッドホンで練習する際の注意点は?

A1. 長時間大きな音量で聴き続けると、耳に負担がかかり、難聴の原因になる可能性があります。適度な音量を心がけ、定期的に休憩を取りましょう。また、ヘッドホンによっては実際のスピーカーからの音とキャラクターが異なる場合があるので、その点も留意しておくと良いでしょう。開放型(オープンエア)のヘッドホンは比較的聴き疲れしにくいと言われています。

アンプシミュレーター(ソフトウェアやマルチエフェクター)じゃダメ?

A2. もちろん、それらも有力な選択肢です。特に最近の高品質なものは、自宅練習や録音には十分すぎるほどの性能を持っています。ただし、PCやオーディオインターフェースが必要だったり、操作に慣れが必要だったりする場合もあります。物理的なアンプの「スピーカーから音が出る」という感覚や、シンプルな操作性を好む方も多いです。ご自身の環境や好みに合わせて選ぶのが良いでしょう。

Q3. フルアコ/セミアコ以外(テレキャスターなど)でジャズを弾く場合のアンプ選びは?

A3. 基本的な選び方のポイントは同じです。ソリッドギター(テレキャスターやストラトキャスターなど)でジャズを弾く場合は、ギター自体のサスティーンが長い傾向にあるため、アンプ側で暖かみや太さを補ってあげるとバランスが取りやすいかもしれません。Fender系の真空管アンプなどは相性が良いことが多いです。逆に、トランジスタアンプで硬質なクリーントーンを狙うのも面白いでしょう。

Q4. 中古アンプを選ぶ際の注意点は?

A4. まずは試奏時のポイント(ノイズ、ガリ、動作確認)をしっかりチェックすることです。特に真空管アンプの場合は、真空管の消耗度も気になるところですが、外見だけで判断するのは難しいです。信頼できる楽器店で購入するか、詳しい人に相談するのが安心です。外観の傷や汚れなども確認しましょう。

まとめ

今回は、ジャズギター用の自宅練習アンプ選びについて、【2025年最新版】として選び方のポイントからおすすめモデルまで詳しく解説してきました。

たくさんの選択肢がありますが、最も大切なのは「自分が弾いていて気持ち良い、練習が楽しくなるサウンド」を見つけることです。そのためには、スペックや評判だけでなく、実際に試奏して自分の耳で確かめることが欠かせません。

この記事で紹介したポイントやモデルを参考に、ぜひあなたにとって最高のパートナーとなる一台を見つけてください。

そして、もしアンプ選びで迷ったり、もっと具体的なアドバイスが欲しかったりする場合は、ぜひ大倉ギター教室にご相談ください。当教室では、レッスン内で実機のアンプ(Henriksen、デラリバ、プリンストン、ケンパー、クアッド、DV MARKなど)を試しながら、あなたに最適な機材選びのサポートも行っています。ジャズギターのレッスンはもちろん、機材に関するご相談も大歓迎です。

→ 大倉ギター教室のレッスン詳細・お問い合わせはこちら

最後までお読みいただき、ありがとうございました!あなたのジャズギターライフが、素晴らしいアンプとの出会いによって、さらに充実したものになることを願っています。

紹介アンプ一覧


モデル名タイプ/カテゴリ主な特徴/コメント価格帯目安 (参考)
Henriksen The Bud / The Bluジャズ特化型 (トランジスタ/デジタル)最高峰クラスの高品位ナチュラルクリーントーン。2ch入力モデル有。スピーカー増設可。筆者(大倉)も使用。20〜25万円
DV Mark JAZZ 12ジャズ特化型 (トランジスタ)12インチスピーカー搭載。暖かくクリア、豊かな中低音。独特のリバーブ。10万円
DV Mark Little Jazzジャズ特化型 (トランジスタ)JAZZ 12よりコンパクト。暖かくクリアなトーンと独特のリバーブ。比較的手頃で人気。8万円
Polytone Mini-Brute (中古/クローン)定番トランジスタ伝説的ジャズアンプ。太くウォームで潰れにくいクリーントーン。(中古/モデル次第で5万円から)
Roland JC-22 Jazz Chorus定番トランジスタ定番JCサウンドの小型版。クリアで分離が良い。ステレオ入力、コーラス、リバーブ搭載。(ジャズでの好みは分かれる)4万円
Fender Pro Junior IV真空管小型フェンダー真空管。シンプルなコントロール。ウォームで艶のあるクリーントーン。8万円
Fender Blues Junior IV真空管小型フェンダー真空管。リバーブ、マスターボリューム付。ウォームで艶のあるクリーントーン。9.5万円
Fender ’65 Princeton Reverb真空管王道フェンダーサウンド。煌びやかで深みのあるクリーントーン。18万円
Fender ’65 Deluxe Reverb真空管王道フェンダーサウンド。Princeton Reverbより少し出力が大きい。23万円
Fender Tone Master Princeton Reverbデジタル (モデリング)Princeton Reverbをデジタルで再現。軽量。アッテネーター搭載で小音量にも対応。12万円
Fender Tone Master Deluxe Reverbデジタル (モデリング)Deluxe Reverbをデジタルで再現。軽量。アッテネーター搭載で小音量にも対応。13万円
Bugera V5 Infinium 真空管 (低価格帯)シンプル構成で手頃な小型真空管アンプ。4.5万円
Laney CUB-SUPER10 真空管 (低価格帯)シンプル構成で手頃な小型真空管アンプ。3万円
Yamaha THR-II (THR10II / THR30II Wireless)モデリング (デスクトップ)高品質なアンプ/エフェクト、オーディオ再生機能。デスクトップアンプの代表格。(安価モデリングには注意が必要という筆者の意見あり)4〜7万円
Positive Grid Spark (Spark / Spark MINI)モデリング (デスクトップ)アプリ連携、練習サポート機能が豊富。(安価モデリングには注意が必要という筆者の意見あり)3万円
BOSS Katana (Katana-50 MkII / Katana-Air)モデリングコストパフォーマンスが高い。幅広い音作りが可能。(安価モデリングには注意が必要という筆者の意見あり)4万円
AER Compact 60/4コンパクト / アコースティック寄り楽器本来の音を素直に増幅。フルアコ/セミアコとの相性抜群。PA的。2ch入力。20万円
ZT Amplifiers Lunchbox Jr.コンパクト超小型軽量ながらパワフル。持ち運びに便利。中古のみ、5万円
Strymon Iridiumアンプシミュレーター (ペダル型)高品質なアンプモデル(特にFender系)とRoom機能。ヘッドホン出力も高品質。モニタースピーカーとの組み合わせ推奨。リバーブ非搭載。6万円
Kemper Profilerアンプシミュレーター 様々なアンプをプロファイリング/シミュレート。多機能・高価格帯。23万円
Neural DSP Quad Cortexアンプシミュレーター 高性能なアンプ/エフェクトモデリング。タッチスクリーン搭載。29万円

※価格帯について:
上記はあくまで大まかな目安であり、新品・中古、販売店によって価格は大きく変動します。

大倉ギター教室のご案内

大倉ギター教室 ジャズ、ブルース、ファンク、ロック、ポップス、理論、アドリブ、弾き語りなど幅広く対応。 初心者の方、基礎から学びたい方、プロを目指す方まで、一人ひとりのレベルと目標に合わせた丁寧な個人レッスンを行っています。


  • レッスン案内・詳細: [レッスン、コース案内]
  • アクセス: 大阪市西区南堀江
    • 地下鉄四つ橋線 四ツ橋駅 より徒歩約8分
    • 地下鉄千日前線/阪神なんば線 桜川駅 より徒歩約5分
    • 各線 なんば駅 より徒歩約10分
  • 無料体験レッスンお申し込み: [お問い合わせ]
  • 電話番号: 080-2526-5574
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