Universal Audio の UAFX Enigmatic ’82 は、伝説のアンプ「Dumble(ダンブル)」系のサウンドを再現したコンパクト・アンプシミュレーターです。一言でいえば「細かいアンプの挙動まで再現する系」。つまみを動かすたびに、本物のアンプを触っているような感覚になります。
この記事では、Enigmatic ’82 の音のクオリティ、ダンブルらしさ、ジャズでの使い方、単機能ゆえのボードの組み方、レイテンシーや操作性まで、実際に使い込んだ視点でレビューします。
30秒の結論
- 再現度はトップ級。単独の音だけなら「Quad Cortex を超えているかも」と感じるほど。歪みの質感がアンプそのもので、目を瞑って弾くと本物と間違えそう。
- ダンブルのクリーンは基本Fender系。ソリッドギターで「クリーン〜軽い歪みの境目」を弾くと本領発揮。タッチで歪みが付いてくる気持ちよさがあります。
- 単機能(リバーブ等は無し)なので、空間系は別途ボードを組む前提。価格は ¥67,800。
- レイテンシーは約2.1msと短く、操作性も良好。コンパクトに良いアンプ1台を持ち出したい人に向きます。
| 向いている人 | あまり向かない人 |
|---|---|
| ソリッドギターでクリーン〜軽い歪みを弾く人 | 1台で空間系まで完結させたい人(単機能のため) |
| コンパクトに「良いアンプ1台」を持ち出したい人 | 何でも入った司令塔が欲しい人(→ Quad Cortex 等) |
| 本物のアンプ的なタッチ追従を重視する人 | フルアコの完全クリーンがメインの人(別機種でも可) |
音のクオリティ=「再現度」がすごい
まず驚くのが再現度の高さです。各つまみの効き方まで作り込まれていて、本物のアンプを触っているような感覚になります。本物のアンプならではの“汚れている部分”も“美味しい部分”も完璧に再現しているだろう、と感じる細かなこだわりがあります。音の抜け方もよく考えられています。
特に歪みの質感がアンプそのもの。タッチによって強弱がしっかり付き、目を瞑って弾けば本物のアンプと間違えるかもしれないレベルです。単独の音のクオリティだけなら、フラッグシップの Quad Cortex を超えているかも、と感じるほどでした。
ダンブルらしさと「クリーン〜歪みの境目」(ジャズでも使える)
そもそもダンブルのクリーンは基本Fenderです(Fenderを改造したのがダンブル)。私の場合、フルアコを使うときは完全なクリーンで弾きますが、ダンブル系の本領はソリッドギター。クリーンから、強く弾くと歪むくらいの音色がいちばんの魅力です。
レッスンでは、ギター本体のボリュームをMAXにして強く弾くと歪むセッティングにしておき、通常はボリュームを絞る・タッチを弱めることでクリーンを出します。この「クリーンと歪みの境目」を十分に楽しめるアンプで、軽いドライブの質感が本当にアンプそのもの。なお、ジャズでもウェス・モンゴメリーら昔のギタリストは真空管アンプで実際に音が歪んでいたので、こうした軽い歪みはジャズでも十分使えます。
単機能ゆえの運用=ボードの組み方
Enigmatic はアンプ機能に特化していて、リバーブなどの空間系は入っていません。なので使うにはペダルボードを組む前提になります。私の標準的なボード例は次のとおりです。
大倉のボード例
チューナー →(曲によって King Tone の Fuzz)→ Enigmatic ’82(アンプの歪み)→ Strymon BigSky MX(BigSkyのV2=リバーブとディレイを同時にかけられる) → ライブはPA/パワーアンプへ、レッスンではその後にルーパー。
この「単機能=ボードを組む煩わしさ」が、人によってはデメリットになります。実際、私自身も普段のメインからは外す時期があり、理由はこの煩わしさでした。逆に言えば、必要なものだけ自分で選んで足したい人には向いています。
どんな場面で選ぶ? 他のUAFXとの比較
私が Enigmatic を持ち出すのは、Quad Cortex を使わない場面=コンパクトに組みたいとき、そしてソリッドギターで仕事をするときです。箱モノ(フルアコ)のときはあまり使わないイメージ。シンプルに「良いアンプ1台」を持っていきたいときに、強い選択肢になります。
Universal Audio のUAFXプリアンプ/アンプ系は、どれも品質が高いです。特に Dream(Deluxe Reverb のプリアンプ) は良く、Strymon と弾き比べたことがありますが、UAの方が音がクリーンでキラキラした印象でした。傾向として、ジャズなら Strymon の方が向き、カッティングやポップス・ロックなど一般的なジャンルでは UA の方が上に感じます。
レイテンシー・操作性
- レイテンシーは約2.1ms。一般的にはかなり短い部類です。ダンブル系は元々“粘る”サウンドなので、むしろ少しレイテンシーがあった方がそれっぽく聞こえるかも、とも感じます。2msほどを聞き分けられる人はごくわずかでしょう。
- つまみは6個ほど。オルタネートスイッチを押しながら回すと別の役割が割り当てられ、実質倍のパラメーターを扱えます。覚えてしまえばUIは使いやすい。一部の細かい設定はスマホのBluetoothアプリで行います(本体だけで完結できれば、なお良かったところ)。
よくある質問(FAQ)
Q. UAFX Enigmatic ’82 はジャズで使える?
A. 使えます。フルアコの完全クリーンというより、ソリッドギターでのクリーン〜軽い歪みが得意。昔のジャズギタリストも真空管アンプで軽く歪ませていたので、その質感はジャズにもよく合います。
Q. リバーブやディレイは入っている?
A. 入っていません(アンプに特化した単機能)。空間系は別途ペダルを組み合わせます。私は Strymon BigSky MX などを後段に繋いでいます。
Q. 音質は Quad Cortex と比べてどう?
A. 単独の音のクオリティなら、Quad Cortex を超えているかもと感じるほど高いです。ただし Quad Cortex は何でも入った“司令塔”。1台完結なら Quad Cortex、コンパクトに良いアンプ1台なら Enigmatic、という選び方になります。
Q. レイテンシーは気になる?
A. 約2.1msと短く、ほとんどの人は気になりません。ダンブル系の粘るサウンドとも相性が良いです。
Q. 他のUAFX(Dreamなど)とどっちがいい?
A. どれも高品質です。傾向としてジャズのクリーンは Strymon、カッティング/ポップス/ロックなど一般ジャンルは UA が上に感じます。Dream(Deluxe Reverbのプリアンプ)は特にクリーンが綺麗でキラキラした音です。
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